明けましておめでとうございます🎍
虹のコンキスタドール『君のこと好きなのバレてます!?』の話をしたくてきました。
この曲のサビはこういう感じ。
やっば
君のこと好きなのバレてます!?
まった
ほんとはばれるようにわざとで
す!?
やっば
そんなわけないことバレてます!?
この歌詞のサビは敬語かタメ口かでいうと敬語で書かれています。
敬語で書かれている歌詞はJ-POPの中でいうとやや少数派ですが、めちゃくちゃ珍しいというわけではありません。
つい先日考えてた虹のコンキスタドール『君がいて良かった!了解です。』も敬語でしゃべっています。
だけど今回の『君のこと好きなのバレてます!?』は、敬語とタメ口のバランスがすごくいい感じ。
コードスイッチングがあるんだよね〜〜。
そこに注目してみたいと思って書きました!
タメ口は内向けの言葉、敬語は外向けの言葉
この曲の最初はこういう感じ。
30度を超えちゃって
めちゃくちゃ最速でやって来たから
やばみやばみ
予習不足でもさ、夏、
始まっちゃいそうな感じですね
「感じですね」という終わり方。
ここは外向けの言葉だからなのか、敬語で終わっています。
35度も超えちゃって
めちゃくちゃかわいい水着とか
買って
浮かれまくり
こんなんでこの先、
平常心で大事なこと言えるかな?
「言えるかな?」は自分の内面に向けての言葉だからなのか、タメ口で終わっています。
「言えますかな?」「言えるでしょうか?」みたいになってたら敬語フラグを立てられるはずなんだけどな〜〜。
外に向けてか内に向けてかによって、言葉づかいが変わっています。
でも外向けの投げかけだからと言って、必ず敬語になるというわけではありません。
そういうわけで、ねえみんな?
夏の予定どう?
ってざっくり
誘えばさりげない
感じでいけてるよね?
「ねえみんな?/夏の予定どう?」はどう?
ここは外向けの投げかけだけどタメ口です。
敬語なら「夏の予定どうですか?」みたいになるはずなのに……。
外向きか内向けかを整理するために登場人物を整理します。
大声で言うまでもないことですが、この曲では、登場人物は3人います。
主人公、「君」、「みんな」、の3人です。
「君」は主人公にとって気になる存在です。
「みんな」は主人公にとっては気の置けない(=緊張しない間柄の)存在です。
そして主人公は「君」には敬語で、「みんな」にはタメ口でしゃべります。
主人公にとっては「君」が想いを寄せる人だけど、それはまだぜんぜん成就してなくて、だから話しかけるときにちょっとぎこちない敬語が出ちゃってます。
主人公はいずれ「君」と心を許し合える関係になりたいから、いずれタメ口でしゃべりたいと思ってはいるけど、それは(たぶん)まだ成就していません。
一方で主人公にとって「みんな」はいつもいっしょにいる存在で、心を許せる仲間で、だから内面で独り言を言うのと同じように「みんな」にはタメ口で話しかけることができます。
表にまとめるとこうです。
君 | みんな | |
---|---|---|
立ち位置 | 外側 | 内側 |
関係 | ぎこちない | 仲良い |
言葉づかい | 敬語 | タメ口 |
言葉づかいの変化が関係性を示しているともいえます。
主人公にとっての「君」の立ち位置の微妙な移り変わりが、この敬語とタメ口を通じて染み出してしまっているのです。
続く歌詞の部分を見てみるとこういう感じ。
でも自分をよくみてる
人ってわかるらしい
え、いや、うそ
はい、もうそれ確定?
「みんな」といっしょに「夏の予定どう?」とかって聞けばいいんじゃん?みたいな話をしている過程で、主人公は衝撃的な話に気づきます。
「自分をよくみてる/人ってわかるらしい」んだって。
主人公が「君」のことよく見てるってことはもう公知の事実です。
ってことは「君」は主人公に見られてるってこともわかるってことじゃん?
「君」の側は、「最近主人公ちゃんからの視線を感じるんだよな〜〜」って思っています。
そこへきて当の「君」が主人公の目の前に登場します。
やっば
君のこと好きなのバレてます!?
さっきまで主人公は「みんな」としゃべっていたからタメ口だったのに、「君」が登場したから敬語です。
しかも主人公は自分の想いが実は「君」にバレてたんじゃないかって疑惑が浮上したばかりなので挙動不審もひとしお(?)
まった
ほんとはばれるようにわざとで
す!?
いったん取り繕ったりもします。
でも直後にそれはさすがに不自然だったって気づきます。
やっば
そんなわけないことバレてます!?
いや、そんなわけないですよね、わかってますよ〜〜って展開で逃げ切りを図ったり。
が、取り繕いの繕い直しを重ねていったらだんだん原形をとどめなくなってきちゃってることに、主人公も自覚的です。
それだったらいっそ言っちゃえばいいじゃん。
嘘つけないから言うね、好き
こんな風に、何でもかんでも顔に出て、その場で取り繕い続けるシーンを追いかけられるところがこの歌詞のいいところです。
さらにこの「好き」には「です」とかがありません。
「嘘つけないから言うね、好き」が突然のタメ口なのです。
ここまで、タメ口は独り言か仲間内でしか使われない言い方でした。
なぜここで?という疑問が浮かびます。
ここまできたらさ、
おもいっきり好きが
バレちゃうくらいの
恋にする?
主人公はまだ「君」との付き合い方の方針を決めあぐねていて、もう一歩踏み込んだことを提案したりもしてみます。
その一環としてのタメ口「好き」だったのです。
そのあとの部分もまだタメ口続いてます。
でも「君」の反応は違ったみたいで、
いや、そうじゃない?
またすぐに弱気になったりもします。
まだ
君にだけ好きなのバレてたい、です
で、結局「君」に好きなのバレてるのは認めるとして、それがみんなにバレるのはもうちょっとあとにしたい、って方向に着地します。
ここで、最後に「です」が付け加わってます。
やっぱタメ口はまだ早かった〜!って感情が出てると思うんですよ。
主人公は最初、昨日まで同様敬語で「君」と接しようとするものの、もはや主人公の気持ちは「君」にバレていて、いままでと同じ関係ではありません。
だからこうなったらいっそ、と敬語をやめて、タメ口にすることにより、一気に距離を近づけられないか模索します。
ところがやっぱりそんなことはできそうになくて、最後の最後に「、です」を付け加えるような微妙な距離感の敬語に戻ってしまいサビが終わります。
この感情の揺れを、歌詞でも丁寧になぞりつつ、敬語かタメ口かでも味わうことができる、っていうのがこの歌詞のいいところだと思うんですよね。
この歌詞は短いサビの間にゆれをできるだけたくさん乗せた感じがあって、スピード感がすごくて、それがこの歌詞を好きになったきっかけなのでした🎢
虹のコンキスタドール『君のこと好きなのバレてます!?』でした。
この曲に限らず全体的に、虹コンは敬語とタメ口混ぜる歌詞けっこう多くて、混ぜ方の方略だいたいこの感じだと認識しています。
タメ口の中に出てくる突然の敬語に戦略があって、それがわたしたちの心を揺り動かすんですね〜〜!
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