こんにちは!
虹のコンキスタドール『終末でーと部!』の話をしにきました!!
この曲、ファンの間でもメンバーの中でもたいへん考察が盛り上がっている案件でして……。
終末でーと部めちゃカワイイのにたまに不穏で好き
— モモノ (@momono4343) January 23, 2022
わかる。
終末でーと部!めちゃくちゃ可愛くて好きなんですけど、
— かなとこ☁️ (@zatoba_k719) January 21, 2022
「ゲーセンは暗いから手を繋いでいようか」→手繋ぐくらい暗いゲーセンってどこ??廃墟?
「終末でーとの途中では帰るの禁止!」
→冷静にデートの途中で帰るやついるん?そんな相手怖すぎだろ
ってところだけ気になる🤔
気になる。
メンバーも、インタビューでめちゃくちゃ語っています。
この人個人配信でもずっと語ってた回あったよな……(めっちゃよかったです)。
という感じで、各方面で話題が尽きない曲なのです。
曲調はかわいいイメージですが、思えばタイトルがちょっと変で、
❌ 週末でーと部!
⭕️ 終末でーと部!
となっています。
終末? 世界の終末とかそういう系?という疑念が湧いてくるし、そこをきっかけに、いろんな不審な点ががんがん浮かび上がってきます。
というわけで、自分もこのブームに首を突っ込んでいこうと思います! 対戦よろしくお願いします!!
1番
歌詞の中で大事な部分にタイトルがあると思います。
この曲では、タイトルはサビの終わりにこういう感じで登場します。
終末でーと部、大革命♡
先行研究はたくさんあるんですが、この「大革命」に着目した考察は見当たらなかったので、今回ここに重きを置いて考えてみます。
タイトルのすぐそばにあるし、ほかでなかなか使わない「、」が使われているし、というところが目を引いたからです。
多くの先行研究と同様、わたしもこの曲の登場人物は男の子と女の子ひとりずつだと思いました。
そしてこの曲は、ふたりの人物が代わる代わる話し手になっています。
ステレオタイプは承知の上で、言葉づかいに注目して分けてみます。
「ほしいの」といった語尾とか「好きピ」といった語彙には女の子らしさがあるかも。
そして「来んな」といった言い方や、「僕」みたいな人称代名詞には男の子感がある気もします。
また、(ネットの歌詞サイトにはないんですが、)「終末でーと部、大革命」の後には円盤の歌詞カード?にはハートが付いていて、女子感があります。
という観点で塗り分けると、このような感じになりそうです。
同じ話者が連続することもあるけど、Aメロをふたりで分け合い、サビをふたりで分け合ってる、という観点で見ると、お互いが対等に話し合っている風が感じられます。
ではここで、話の内容を見てみます。
ではAメロから。女の子パートです。
ねえねえ聞いてよ明日って
くだらない映画も相まって
横顔が綺麗だとキスしてほしいの
曲の最初であることもあって、ふつうの甘いラブソングに見えるように仕立ててあります。かわいい。
続く部分もAメロ。男の子パートです。
ねえねえ正義の味方って
遅れるぐらいなら来んなって
怖いね全部壊したいね
最初の映画の話題を引き継いで、男の子が正義の味方の話をしています。かわいいですね。
この部分では男の子、結構威勢のいいことを言っています。
「遅れるくらいなら来んなって」「全部壊したいね」という部分に共通するのは、終末を自分で決めたいという思想です。
Aメロの時点では、女の子がうっとりデートに夢見ているのに対して、男の子はそのデートを「終末でーと」にしようとしています。
主導権を握っているのは、男の子です。
だから、サビで
僕と終末でーとをしませんか?
退屈しのぎのつもりでも
バレバレな手汗とぎこちない会話
「終末でーとをしませんか?」と投げかけをするのは男の子の側です。「バレバレな手汗とぎこちない会話」で、緊張しているようなところもあるけど、だけど男の子のほうは、自分でそれを切り開こうとします。
「終末でーと」とは、世界に大きな亀裂が入って、ふたりだけが残った世界でのデートなのだと思います。そういう世界で男の子が女の子側にいいとこ見せたいんだよねわかるよ。
それを受けての女の子はこう返します。
終末でーとの途中では
帰るの禁止!
わかったら返事してね
「はい」は一回!
好きピは無限大
終末でーと部、大革命♡
(はい!!)
女の子は、そんな男の子に乗っかって、「「はい」は一回!/好きピは無限大」とヤンデレをかましたりしています♡
だけどこのサビの時点で、女の子側は密かにいくつも釘を刺しています。
まず「終末でーとの途中では」というシーン。「途中」を決めるのには終わりを決める必要があります。
「帰るの禁止」と歌う女の子は、つまり、「終わりを決めるのは私の側」ってことを歌っているのだと思います。
男の子はさっき、威勢のいい言葉で終末を決めたがっていたけど、実際には「遅れるぐらいなら来んな」って言うだけだったり、「壊したい」って言うだけだったりします。壊す気があるなら「壊した」って言っちゃえばいいのに、言ってないってことは口だけです。
女の子側は「帰るの禁止」って言っています。禁止は発語内行為だから、「禁止」って発言する時点で禁止しているのと同じなんですよね。口だけの男の子と違って、この発言には本質的に行動が伴っています。女の子が一歩前を歩んでいるのです。
この女の子の強かさは、直後の部分にも現れています。
(ちょっと待って…バカ♡)
「ちょっと待って」というのは、つまり「まだ時が来ていない」ということです。さっきの「帰るの禁止」と、言ってることが一貫しているんですよね……。
しかも女の子がこの気概を持っていることに、男の子はまだ気づいていないと思います。女の子側の言葉づかいは、ただ甘いだけに響いています。
2番
少し飛ばして、2番のサビを見てみます。
サビ前半男の子側からの目線です。
僕と終末でーとをしませんか?
駆けも引きも自由気ままに
ゲーセンは暗いから手を繋いでいようか
「駆けも引きも」という言葉には深みがあります。恋愛の駆け引きのことなのかとも思ったけど、
「駆け」→「欠け」
「引き」→「挽き」
と考えると……リョナ??って可能性が浮かび上がってくるからです。
男の子は終末でーとで、女の子に対して嗜虐心を持っているとわたしは思っています。
「手を繋いでいようか」と男の子が言うのは、女の子に逃げられないようにするためです。
どこかのタイミングでとどめを刺そうと、男の子はチャンスを窺いながら、物陰の多いゲームセンターを歩くのです。
ところが、この曲ではずっと女の子側が一枚上手です。
続く部分は女の子側のターン。
終末でーとの最後には
次の予約を!
止めないでね鼓動の音
僕は純粋
無垢無垢だって∞
終末でーと部、大満足
(はい!)
「止めないでね鼓動の音」というのは、さっきの「欠け」「挽き」を察知しての牽制です。
ところで、ここの部分「僕」って出てくるから男の子パートじゃないの?って感があると思います。
が、この「僕」って自称ではなくて呼びかけだと思うんですよね。
「ボクぅ? どうしたの??」
のやつ。
なぜなら「僕は純粋」ってフレーズ、自称では使わないと思うから。
一方で、女の子が男の子に「あなたは純粋無垢だね!」ならぜったい言うでしょ、って思ったからです。
Aメロの中で連が変わったら話者が変わるし、サビの中で連が変わったら話者が変わります。
この曲はそういうルールで続いています。
Cメロ
ところで、インプロ(即興劇)で、登場人物の関係性が変わることを「ティルト」って言います。
この曲での“ティルト”は、次の連になります。
女の子が語るシーン。
(ほら君の番だよ……って
どうしたの?よそ見して
なんか時間経つの早いね
なんでだろう
って意地悪しないでよ!ワカラズヤ!)
「君の番だよ」は象徴的なフレーズです。
なぜならこの女の子は、1番でこう言っていたからです。
(ちょっと待って…バカ)
って。
1番の時点では、女の子はまだ時が来ていない、と考えていました。
そこがCメロでは「君の番だよ」って言うんですよね。時は来た、ということだと思うんです。
ららら!
なんでもかんでも(ラブコメ展開!)
ご都合主義のお約束~!
このあと、この曲で唯一の2行アキがあります。
そして、ずっと女の子の語りしかこの曲には出てきません。
男の子はしゃべれなくなるから。
この部分が、この曲の“ティルト”です。
いつか大人になってしまうのなら
忘れてしまうというのなら
大切な何かは離さないでいて
峠を越えた分かれ道で
待っていてほしい
うんともすんとも言わないで
目だけ見ててよ
本気の本気さ
華金去って大本命
本命本命!
このふたりは大人になることはないのだと思います。
なぜなら男の子は、いまの(若い)年齢のまま女の子に殺されようとしているから。
そして、女の子は最初からもう死んでいるから。
男の子が狙っていた女の子は、実は最初から死んでいて、すべては女の子側の策略通りだった、ということだと思うのです。
「峠を越えた」の「峠」は生死の境界。
「華金去って」は金曜日が去る=週末になる=終末になる、ということです。
続くラスサビ。
いままでと違うところがひとつあります。
いままではサビが2つの連に分かれていたのに、ラスサビだけは1つの連になっているということです。
1番2番はふたりでしゃべっていたのに、最後はひとりしか話者がいない、と思っています。
僕と終末でーとをしませんか?
退屈しのぎのつもりでも
バレバレな手汗とぎこちない会話
終末でーとの途中では
帰るの禁止!
わかったら返事してね
「はい」は一回!
好きピは無限大
終末でーと部、大革命♡
(はい!!)
最後のサビで、女の子はいままでずっと男の子に言われていたセリフ「僕と終末でーとをしませんか?」をそのまま男の子に返します。
この言葉の裏に隠されていた嗜虐心が、すべて男の子側に跳ね返されていくのです。
それに1番2番では「「はい」は一回!/好きピは無限大」はふたりの相互の会話でした。
だけど最後はモノローグです。
(わん、つー、すりー♡)
この「すりー」のタイミングだけ少し早いんですよね。
男の子は不意を突かれて、突き落とされてしまったんだろう……な。
まとめます。
女の子は最初から死んでいて、現世に残っている男の子を冥界に引きずり込もうとする、というのがこの曲の構図だと思うのです。
男の子はそれを知らずに、女の子に対して嗜虐心を持って接近し、そしてそれが叶えられずにいつの間にか自分自身の命を失おうとしていたのです。
終末でーと部、大革命♡
の部分にあった「大革命」ってはこの転換のことだと、わたしは思いました。
トランプゲームの大富豪と同じで、革命で形勢が逆転するのです。
ということで、虹のコンキスタドール『終末でーと部!』でした。
虹コン、歌詞がほんとうによくて、いままでこんな感じの歌詞を読んだことがありました。
hacosato.hatenablog.com hacosato.hatenablog.com hacosato.hatenablog.com hacosato.hatenablog.com
実はこれ以外にも前に書いてていま非公開にしているのがあるので、機会あったらまた日の目を浴びてほしい……。
対戦ありがとうございました!
2022/03/21 YouTubeへのリンクを追加