こんばんは!
5日でも20日でもないけど歌詞の話をしにきました!
Mrs. GREEN APPLE『ダンスホール』のお話です。
いつだって大丈夫
この世界はダンスホール
君が居るから愛を知ることがまた出来る
「大好き」を歌える
って歌詞。
「大丈夫だよ!」って応援してくれる曲はありがちみたいに思われてる感じがするんですけど(要出典)、実際にはJ-POPの中には最近そんなに多くないような気がしてて(要出典)、この曲の存在はけっこう貴重です(要出典)。
アイドル曲には応援の曲って比較的あって、わたしが思いつくのだと
hacosato.hatenablog.com hacosato.hatenablog.com
この辺が直近は印象的でした。
だけど、今回の『ダンスホール』はどちらともあまり似ていません。
そういう話をするよ〜!
結論
Mrs. GREEN APPLE『ダンスホール』の応援ぶりの特徴は、ネガティブな描写が多い、ということです。
ネガティブな部分とポジティブな部分がなんならだいたい同じぐらいあります。
たとえばAメロ。
知らぬ間に誰かいる
「誰かがいる」のは基本的にポジティブな表現になることが多いと思います。寂しいときとか寄り添ってほしいしね。
ところが、1番Aメロ全体を見るとこういう感じ。
知らぬ間に誰かいる
それに甘えすぎてる
何処かできっと僕の事を
恨んでる人がいる
「知らぬ間に誰かいる」の後ろに「それに甘えすぎてる」と続きます。
「誰かいる」点に甘んじていることを主人公は不甲斐なく思っているみたいです。
続く「何処かできっと僕の事を/恨んでる人がいる」は疑いなくネガティブなことです。
ということは、この4行は全体としてネガティブなことを歌っているということになります。
続くBメロはこう。
溜息を吐いて吸って吸って吐かれては
幸せを見逃しちゃうけど
きっと結構ありがち
足元にあるもの
「溜息を吐いて吸って吸って吐かれて」の部分がネガティブな描写であることは疑いないと思います。
「幸せ」が「足元にあるもの」という描写は良い意味にも悪い意味にも取れそうです。
幸せは近くにあるからあとはそれを手にするだけ、と取るなら良い意味。
幸せは近くにあるのにもかかわらず見逃しがち、と取るなら悪い意味です。
今回はどちらとも言えないですが、ポジティブなことだけを歌っている歌詞ではないとはいえそう。
こんな風にこの歌詞、ネガティブなことをかなりたくさん歌うのです。
1版の歌詞全体を行ごとにポジネガで塗り分けてみるとこういう感じになると思います。
赤がボジティブ、青がネガティブです。
知らぬ間に誰かいる
それに甘えすぎてる
何処かできっと僕の事を
恨んでる人がいる
溜息を吐いて吸って吸って吐かれては
幸せを見逃しちゃうけど
きっと結構ありがち
足元にあるもの
いつだって大丈夫
この世界はダンスホール
君が居るから愛を知ることがまた出来る
今日もほら陽が昇る
時代が周るダンスホール
悲しいことは尽き無いけど
幸せを数えてみる
この部分だけだと、ポジティブ6行、ネガティブ7行で、ネガティブ部分の方が多いってことになってしまっています。
客観的に図るのはちょっと難しいのでこれが正しいかどうかは別になりますが、とはいえネガティブな描写が多いというのは歌詞を見ていても感じるところ。
一般に応援歌ってネガティブなことを少しは織り交ぜないと変になります。
たとえば前に歌詞のこと考えたSixTONES『Good Luck!』。
こちらを先ほどと同様に2色に塗り分けてみます。
Wake up, it's a new day
相変わらず世界は
今日も忙しく回ってる
Oh no うんざりだね
ちっぽけな僕ら 叶えたい夢があんだ
がむしゃらになって
泣いて 転んだって 笑われたって
カッコ悪くてもいいんじゃない?
今日はいい天気 ほら、飛び出して
(Let's enjoy! Good luck!)
何回だって It's OK!
最後はやっぱり笑って踊ろうぜ
一回きりの人生だから (You & I)
飾らずいきましょう
明日は明日の風に乗ってさ
ありのまま進め Good Luck!
っつうわけで、ふつうにポジティブ多いですよね〜〜世の中背中を押される曲はいっぱいありますが、少しのネガティブが入って、トータルだいたいこれぐらいのバランスになるはず。
その点で、『ダンスホール』は珍しいです。
さて、こんなにネガティブな描写が多いのに、疑いなく背中を押されている感覚になれる理由の一つは、ネガティブな描写の緻密さがあると思います。
たとえば
メンタルも成長痛を起こすでしょう
痛みはネガティブなことだけど、それを「成長痛」という言葉で描くのが巧みです。この痛みは一時的なもので、未来には成長が待っていることを端的に示すことができているからです。
「無理をせず自分らしくいて」
それが出来たら悩んでないよ
「自分らしく」も応援歌の定番フレーズですけど、それに対して「それが出来たら悩んでないよ」と歌うのも地に足がついたリアクションです。
別に応援を否定するわけではなく、前向きだけど前に進めないところを丁寧に描いたネガティブ、という感じがします。
今日もまた怒られる
気持ちの穴がポンっと増える
「怒られる」もネガティブな描写の定番だけど、心に空いた穴を「気持ちの穴がポンっと増える」ってオノマトペを使って歌うとなんかポップな響きになります。
あとは、ポジティブ側の描写が「ダンスホール」から一歩もブレない、というのも大事なことのように思います。
この曲のサビの繰り返しは多くて、わりと毎回歌詞が変わります。
だけど変わる歌詞にいちいち「ダンスホール」はついてまわります。
いつだって大丈夫
この世界はダンスホール
今日もほら陽が昇る
時代が周るダンスホール
結局は大丈夫
この世界はダンスホール
また陽が昇る
時代が周るダンスホール
You know? その笑顔が僕だけの太陽
君が笑える為のダンスホール
こうして繰り返してくれるから、わたしたちは安心してこの応援に身を委ねることができるのだと思います。
今日もとってもいい歌詞でした!
Mrs. GREEN APPLE『ダンスホール』でした。
今年何回か5日と20日に書けなかった日があるんですけど、きょうのコレをカウントしたら2023年に24本の文章は書けたはず!
それでは良いお年を〜〜!