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5日と20日は歌詞と遊ぼう。

毎月5日と20日に、J-POPやボカロ曲などの歌詞を読んだり、統計したりしています。twitterは@hacosato。

2016年 忘年会カラオケ選曲ブログを集計したら400曲超えた。

根性マイニング まとめ

こんにちは! 12月になりました。
12月といえば忘年会。
忘年会といえばカラオケです。

というわけで、ここ数日忘年会のカラオケ選曲に関するブログの記事とかがめっちゃ増えてます。みんなそんなに困ってるの…。

なのですけど、その品質は玉石混交です。
だってさ、2016年の忘年会でたとえば『あったかいんだからぁ♪』は正直きつくない!?!?
(って思うのに、調べた中には『あったかいんだからぁ♪』を紹介しているページ2つありました)

めっちゃ思うんですけど!

お前ぜったい去年の引き写ししてるだろ!?!

一方で、こういう記事を読んでいる側の人にもなんとなく悲壮感が漂っています。だいたい忘年会のカラオケ選曲ページの最初にはこういう感じのことが書いてあるのです。

いよいよ忘年会シーズン! 二次会ではカラオケに行く人も多いのではないでしょうか?
 
でもそこで選曲を失敗してしまうと? 上司もいるのにしらけた雰囲気。このままでは忘年もままならない!
 
そんな失敗をしないように、オススメの曲をご紹介します!!
そんなにカラオケのことで脅さなくたっていいじゃん! ろくにリサーチもしてないくせに!!

というわけで、今日はそんな忘年会のカラオケ選曲についてのブログの記事をたくさん集めて集計しました。

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やはりクズなのでは…からのどんでん返し - flumpool『星に願いを』

歌詞を読む

巧みな構成

flumpool『星に願いを』っていう曲の歌詞、冒頭見てくださいよ。

君がいない 日々の意味をいま知って
すべて何もかも 捨てて駆け出した

よくできてると思いませんか??

Aメロではシチュエーションの説明があります。
「君がいない 日々の意味をいま知って」
っていう部分だけで

  • 「君」という人物がいなくなって数日経った
  • 主人公はその意味を知らなかった
  • けどいま知った

ということがわかります。

これだけで、主人公は男性で、付き合っていた女性と別れて少し経ったところなんだろう、ってことがすでにわかるでしょ。
コンパクトな文章にこれだけの情報をぎゅっと詰め込めるの、テクニックを感じる!!


星の下で 今も心は飲み込んで
誰かのためだけに 笑ってるの?

Aメロの後半は主人公の内省に終始しています。さっき「君がいない」と歌ったばかりなのに、主人公は「君」がいまどうしているかばかりを気にしていて、要は未練が残っているんだってことがわかりますね。

このたった4行で、この曲の設定がほぼ見えるのでした。すごい!


冒頭で設定を説明し尽くしてしまうのは秋元康さんの歌詞の特徴です。

あなたのことが好きなのに
私にまるで興味ない
何度目かの失恋の準備
Yeah! Yeah! Yeah!
AKB48『恋するフォーチュンクッキー』
片思いしている女の子が主人公の曲か! 今回の片思いも実らないままっぽい感じなのか!

カレンダーより早く
シャツの袖口まくって
太陽が近づく気配
僕の腕から衣替え
AKB48『ポニーテールとシュシュ』
時期は衣替え直前の5月ぐらいだな。主人公は「僕」って言ってるからたぶん男の子で、シャツを着てるんだな(あとでこれが制服だとわかる)!

こういう感じ。

Google検索でも、検索結果のページでは当然のように、当該ページの冒頭の数十文字が表示される(リード法というらしい)ようになっていて、わたしたちはそれを手がかりに目当てのページを探します。
f:id:hacosato:20161103182947p:plain

これと同じで、歌詞もたぶん冒頭の数行によってみんなふるいにかけられているのでしょう。

『星に願いを』の歌詞は、Bメロに続きます。

君の生まれた町 向かい風の歩道橋の上
背中押す懐かしい歌

Bメロになると描き方が変わるのもセオリー通りです。

Aメロの後半はだいたい主人公の内省に終始していたのに「歩道橋の上」という具体的なものが出てきます。シーンの変化を感じる!

「向かい風」「背中押す」みたいな、身体を感じる表現が出てくるのも変化があってよき。

行かなくちゃ
この目に見えない感情が こんなにこの胸を
熱くする 満たしてゆく 壊れるくらいに

サビではそこまでの流れを踏まえて「行かなくちゃ」という強い表現が出てきます。

目に見えない感情が胸を熱くするのはわかる。そゆことあるよね。

雨の日も風の日も忘れなかった
涙で濡れた笑顔
失くせない何よりも大事なモノ

サビの後半。頭は「あ」になっていて、前半に続いて子音のない音で始まるのいい感じの統一感。

それにAメロに出てきた「笑ってるの?」がサビ後半で「笑顔」という言葉で回収されていて、なるほど感があります。

というわけで、歌詞の構成としてはとっても精緻だし、巧みだし、よくできててわかりやすいと思ったのでした。

おしまい。

…。

けどさ。

それとは違う思いがずっと頭をもたげるのです。

この主人公、やはりクズなのでは…。

巧みじゃない恋愛

いや、だってですよ。

君がいない 日々の意味をいま知って
すべて何もかも 捨てて駆け出した

「君がいない 日々の意味をいま知って」っていう、1行目からして、若干クズっぽい感じが出てると思いませんか!?

別れてから「君」のありがたみを知った、って話なんでしょ?

飲みかけのペットボトルとか、鼻かんだティッシュとかを彼女さんが片付けてくれてたんですよ? 机に並んだペットボトルや丸まったティッシュに、彼女の不在が感じられるのですよ!

ティッシュ同様、積み重なった「日々」があるのに、それを「いま」知った、ってあたりに主人公のだめな感じがよく出ています。

「君」の不在は、不在になった瞬間に気づけよ!!


さらにそのあと「すべて何もかも 捨てて駆け出した」っていうのも、なんかだめじゃないですか??

「君」がいない生活の「すべて何もかも」を捨てること自体はまあいいんですけど、
それと同じように軽率に「君」のことも捨てたんでしょ〜〜〜〜!
って気持ちになるのでよくないです(わたしが)。

目の前の人だけに都合のいいことを言って、あとでつじつまが合わなくなるお調子者のオーラをひしひしと感じます。バンドマンかよ(バンドマンです)。

だからね、わたしはずっとこの歌詞を見て思っていたのです。

やはりクズなのでは…、と。

しかし。

この歌詞には救いがあります。

主人公が目指す再会が、ただの再放送ではなくて、ちゃんと前回の反省を踏まえたステップアップに見える、っていうことです。

いつか君と 夜空のふたつ星に
名前つけて 交わした指切り
キミはじっと 流れる星を探した
ずっと 僕の願いを祈ってた

そのための伏線になるのがこの2番Aメロです。この回想シーンは、あとでちゃんと効いてきます。

主人公は「夜空のふたつ星」に名前を付けて、それをふたりの思い出として刻んでいます。一方で「キミ」は「流れる星を探した」と描写されています。

ふたりで同じ夜空の中、違う星を見ているのです。

こういう描写があるのは、主人公がふたりのすれ違いに自覚的だからです。

わたしは思うのです。これならまだワンチャンあるぞ!

わかったんだ 幸せってさ
ふたつでひとつ ひとつずつじゃない
すべてを分け合える二人だけに許された願い

さらに効果的なのはこのCメロです。

「ひとつずつじゃない」って気づいてる主人公は、きっとあのとき名付けた「夜空のふたつ星」が独りよがりだったってことに自覚的なんでしょう。

そしてその代わりとして描かれる「ふたりでひとつ」とは、あのとき流れなかった「流れる星」です。

いいですか!

この曲のタイトル『星に願いを』は、あの回想シーンで流れなかった流れ星のことなのです!

逢いたくて 逢いたくて いま 逢いたくて
今もしもひとりなら
なにひとつキミを照らすモノも無いとしたら

だから、いま主人公が目指しているのは、ただの過去ではありません。

逢いにゆこう
流れ星にかけた願い 叶うのが今なら
この先に新しいふたりがいる
…行かなくちゃ

過去と似た形をした、ふたりの新しい関係なのです…!


なんだよ! けちょんけちょんに言ってやろうと思っていたのに、結局この歌詞めっちゃいいねみたいになっちゃったじゃねぇか!!

わたしは記事を書く前にはいつも必ずびしばしメモしてからキーボードに向かうんですが、今回ほどメモと仕上がりに違いが出ちゃったのは、ほとんどないです…。混乱。

星に願いを

星に願いを

星に願いを 通常盤

星に願いを 通常盤

次回はWANIMA『ともに』の歌詞の話をしたいと思います。

この歌詞、ぜったい表面に見える以外の意味があるよね????

セカオワの新曲『Hey Ho』が「なんかうまいこと言った感が突き抜けてもうひれ伏すしかない」感を持ちつつある件

タイトルが長い。

SEKAI NO OWARIが新曲『Hey Ho』を発表しました。

もともとセカオワは、ファンタジーな世界観のある歌詞の中に、突然に抽象度の高い言葉ばかりの連を持ってきて「なんかうまいこと言った」感のある歌詞を書くひとたちでした。

「方法」という悪魔にとり憑かれないで
「目的」という大事なものを思い出して
『RPG』

人はそれぞれ「正義」があって、争い合うのは仕方ないのかも知れない
だけど僕の嫌いな「彼」も彼なりの理由があるとおもうんだ
『Dragon Night』

わかる!!

なのですが、今回の『Hey Ho』はいままでとは一皮剥けてて「うまいこと言った」感に磨きがかかっています。

そもそも、こんな風な抽象的なことは、歌詞のBメロに当てるのがいいって言われています。だっていきなり抽象的だと、聴いてる人がついていけないじゃん。

冒頭は具体的でシチュエーションがわかる歌詞がよいと言われます。

一方で、曲がある程度続いて、Bメロに入ってもなおシチュエーションの説明を続けていると、歌詞が間延びしてしまいます。メロディの変化に伴って、扱う言葉の粒度を調整するのがいい歌詞です。

そうやって見てみると、さっき引いた抽象的な歌詞は『RPG』の場合はまさにBメロ。『Dragon Night』にはBメロがないけど、歌詞の2連にあるのでBメロに近いポジション。セオリー通りだってことがわかるのです。

ところが。
最新作『Hey Ho』の歌詞。冒頭がこういう感じです。

ぼろぼろの思い出とか
ばらばらに壊れた気持ちも
大事にしたから大切になった
初めから大切なものなんてない
冒頭からめっちゃ抽象的じゃないですか!! セオリーどうした!?

そうです。この4行、セオリー通りに行くなら、もっと個別具体的でプライベート感のあるエピソードから入るのがふつうだと思うんです。たとえば主人公がアラサー女子だったら、こういう感じにならないですか??

はじめて持ったの携帯電話
塾に行くときに買ってもらった
白くて 軽くて 二つ折りで
電池パックの裏に貼ったプリ
あるある〜〜〜〜〜〜〜。

でもセカオワは違います。この抽象的な4行から始めるとこに、えもいわれぬ迫力を感じます。「あるある〜〜」では片付けられないようなフレーズだけで組み立てて、
「あとは、どういうことかは各自で考えるように!」
って突きつけるような緊張感があります。

なるほど! では考えましょう。

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大事と大切の因果 - SEKAI NO OWARI『Hey Ho』

歌詞を読む

こんにちは。

SEKAI NO OWARI『Hey Ho』が好きなんです!

ぼろぼろの思い出とか
ばらばらに壊れた気持ちも
大事にしたから大切になった
初めから大切なものなんてない
冒頭の感じ、なんかBUMP OF CHICKENっぽい!!
と思ったけど、よく見てみたらまやかしでした。
過去の思い出のことを歌って「大事にしたから大切になった」みたいなものの捉え直し方を提示したりするのはたしかにBUMP OF CHICKENみたい!
叱られた後にある 晩御飯の不思議
あれは魔法だろうか 目の前が滲む
 
正義のロボットの剣で 引っ掻いたピアノ
見事に傷だらけ こんな筈じゃなかった
あーわかる! わかるよー。

…でも、やっぱりちょっと違うんですよねー。
BUMP OF CHICKENだとそこから一段具体(または抽象)に敷衍して、立体的な世界を提示してくれるけど、SEKAI NO OWARIはそういうことしません。
だからセカオワはからっとしてるし、聴いてて疲れないのでした。SEKAI NO OWARIらしさを楽しめる新曲の歌詞、今回も楽しい!

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喪失感の喪失 - BUMP OF CHICKEN『宝石になった日』

歌詞を読む

BUMP OF CHICKEN『宝石になった日』の歌詞を見てたよ!

Butterflies(通常盤)

Butterflies(通常盤)

歌詞の最初って、たとえばサビとかよりも個性が出る、ってわたしは思っています。
AKBの曲だったらたいていシチュエーションの設定と、主人公の紹介とかから入ります。
いきものがかりだったら、道行く人が足を止めるようなわかりやすいサビから入りがち。
関ジャニ∞だったら、なにかおっと思わせるようなキャッチーなフレーズで始まります。
サビはだいたいどのアーティストでも目立ってわかりやすいフレーズを用意する中、歌詞の始まり方にはもっと個性が出るのです。

さて。BUMP OF CHICKEN『宝石になった日』の歌詞の最初はこんな感じ。

夕立が屋根を叩いた唄 窓の外で世界を洗った
掌にはなんにもない ただなんとなく眺めて何分
ここにはすっごくテクニックが詰まっています。
主人公は家の中にいて、夕立は家の外の話。そして、見つめている掌は主人公の手の中の話です。
“家”と“手”というふたつの要素が入れ子になって、片方は騒がしくて、もう片方は静謐、という対比が描かれているんですね。
この曲はBUMP OF CHICKENのたくさんある歌詞の中で、わけても技巧的だと思います。
きょうはそんな歌詞の世界に立ち入る話。歌詞の話を久しぶりにできてうれしい!

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