5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

BE:FIRST『Mainstream』 - トレンドやブームや流行に対するスタンス

BE:FIRST『Mainstream』の歌詞の話です!

またここからそこまで Zoom Zoom Zoom
争う気もないのさ全然
東京から直下で Zoom Zoom Zoom
We're gonna create the trend

って歌詞から始まる曲。

「We're gonna create the trend」は「僕たちがトレンドを作る」って感じでしょうか。

BE:FIRSTってファン層厚いから歌詞について何か書いている人いるかな〜って思っていたんですけど、見つかった範囲ではぜんぜんなかったので書いてみました!

BE:FIRST『Mainstream』歌詞

トレンドやブームや流行は重視、でもその道のりが違う

改めて最初の部分を引用します。

またここからそこまで Zoom Zoom Zoom
争う気もないのさ全然
東京から直下で Zoom Zoom Zoom
We're gonna create the trend

「We're gonna create the trend」は「僕たちがトレンドを作る」って感じだと捉えました。

ここでいう「trend」は歌詞の中で手を替え品を替え、さまざまな言い方で出てきます。

例えば続く部分。

何がブームで流行?
知ったところでそれ何になるの?
“Amazing” それか “Crazy”
それが流儀

「trend」と同じものが「ブーム」「流行」と言い換えられます。

この部分ではブームや流行に対して「知ったところでそれ何になるの?」と冷笑的な立場を取ります。

だけどこの曲はブームや流行自体に対して価値を認めないと言っているわけではないことが重要です。

むしろ、ブームや流行を“知ろうとすること”に意味がない、と歌っています。

You don't have to be smart
あるがままが My style
宝の在りかに足跡なんか無い

続く部分で「宝の在りかに足跡なんか無い」とも歌われます。「宝」は「trend」「ブーム」「流行」と同義です。

こちらもさっきと同じで、宝(=ブームや流行)自体に意味がないと言っているわけではありません。宝に価値があることを認めた上で、そのルートに先人がいない(=足跡なんか無い)と歌っています。

この曲の内容で重要なことは、主人公たちがトレンドを大変重視している、ということです。

その上で、今まで通りのトレンドへのルートはもう価値がない、というのがこの曲の主張です。

BE:FIRSTと重ね合わせて見る

わたしはたいていの場合、曲の主人公と歌い手を区別して考えています。

曲の中での「私」や「僕」が歌い手自身である場合もあるけど、そうでない場合が大半だと思って歌詞のことを考えています。

たとえば西野カナさんは作詞に際してアンケートをおこない、その結果を歌詞に反映させていると話しています(10年も前の記事!)。

www.sponichi.co.jp

曲の中での「私」は西野カナさんと重なり合うものではなく、アンケートの結果として立ち現れるペルソナなのです。

BE:FIRST『Mainstream』の主人公はそれとは異なり、BE:FIRST自身を示しているとわたしは考えました。

またここからそこまで Zoom Zoom Zoom
争う気もないのさ全然
東京から直下で Zoom Zoom Zoom
We're gonna create the trend

ここでいう「We」はBE:FIRST自身だと考えるほうが座りがよいと思うのです。

BE:FIRSTたちがトレンドを作るのは自分たち自身だ、と宣言している、というのがわたしの捉え方の骨格です。

以降、わたしは日本の音楽シーンに疎いのでぜんぜん見当違いだったらごめんね。

これまで、日本のメジャーな音楽シーンでの男性アイドルグループといったらジャニーズ一強の時代が長かったように思います。

ところがジャニーズという名前は今は解体され、それ以外の男性のダンス&ボーカルグループやメン地下のグループが新しいトレンドを作っていく時代になりました。

BE:FIRSTはその先頭にいます。

だけどBE:FIRSTは、いままでの潮流と同じ土俵で王者と争おうとはしているわけではありません。

BE:FIRSTは自分たちなりのやり方で、新しいトレンドを作ろうとしています。

だから「争う気もないのさ全然」と言っておきながら、それでいて「Mainstream」を歌えるのです。

音楽シーンが変わりつつある中で、新しいトレンドを作っていく気概、それがこの曲に表れているんじゃないかな〜と思いました。


BE:FIRST『Mainstream』でした。

タイトルの「mainstream」は「主流」という意味です。「main」が「主」、「stream」は日本語と同じく「小川」「流れ」という意味です。

この曲は

東京から直下で Zoom Zoom Zoom

とあるように地下からスタートするような描写がありますが、これは

  1. まだあまり人気がないグループを「地下アイドル」と呼ぶことになぞらえている
  2. 川の流れが地下から湧出することになぞらえている

というふたつの重なりがあるように思えます。

そういう概念メタファーの点でも注目に値するように思いました!