5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

いままでの恋は恋じゃなかったんだ - Hey! Say! JUMP『White Love』

季節はもうすぐクリスマス🎄

というわけで、Hey! Say! JUMPWhite Love』の歌詞の話をします!

イントロの歌詞はこういう感じ。

I love you I love you これが運命と言うのさ
Love story with you

え好きでいてくれるんですか……わたしもです……🫶

わたし最近は女子アイドルの曲をたくさん聴いているんですけど、女子アイドルのラブソングって言い訳しながら好きがにじむような曲が多いように思っています。

それに比べると男性アイドルのラブソングって、めちゃくちゃ直球で来る曲が多いように感じていて、それがすごく心地よいです。

きょうはその心地よさに溺れていこうと思います〜!

Hey! Say! JUMP『White Love』歌詞

出会いは奇跡

わたしもしかしたらこの曲で一番好きなのAメロかもしれないんですけど引用させてください。

出会いは奇跡のように 恋の香りを運んで
いま風吹き抜けた
心に咲いた花を 優しさで育ててゆこう
枯れることはない

これです。

「出会いは奇跡のように」って言ってるから、この主人公、出会いは奇跡派の人ということになります(注:J-POPには出会いは奇跡派と出会いは運命派がいます)。

奇跡の出会いは偶然に裏打ちされています。

実際の生活に落とし込むなら、たまたま同じクラスになったとか、たまたま最寄駅がいっしょだったとか、そういうことになるでしょう。

そこにはふたりの意志は特に関係ありません。

同じクラスになったのと、恋の香りが風に乗って漂ってくるのとは同じようなもので、どちらも奇跡が操っています。

ところがその次の部分で歌われるのは、少し毛色の異なったことです。

再びの引用になりますが、3行目はこうです。

心に咲いた花を 優しさで育ててゆこう

これ、運命とはだいぶ距離のある所作だと思うんです。

花を育てるのは簡単なことではありません。日当たりの良いところを選んだり、水を注いだりしないといけないし、逆に日当たりが良すぎたり、水を注ぎすぎたりするのはよくないことです。

花を育てる過程にあるのは、奇跡ではなくて努力の積み重ねです。

それがこのふたりの恋愛にも重なってくるのだと思うんです。

出会いは偶然だけど、愛を育てるのは日々の行動の蓄積なのです。

Aメロの4行はきれいな比喩でそれを端的に表現しているから、そういうところが好きです。

続くBメロでも、実は同じことが描かれます。

1行ずつ見てみます。

雨上がり輝いた この世界のどこかで

雨を降らせることはわたしたちの力ではできないことだし、上がらせるのも意志ではできません。これは偶然です。

虹を探していたんだ 同じ空の下で

だけど雨上がり、虹を見つけるためには探すための行動が必要で、その結果見つけることができたならそれは偶然ではありません。努力の産物です。

Bメロの2行は、さっきAメロで見た4行と同じことが描かれているのです。

ねぇこれって地に足のついた誠実な態度だと思いませんか。

歌詞だから「この出会いは運命だったんだ!」みたいな歯の浮くようなセリフを言ってほしいときもあるけど、僕たちの出会いはそうではなかったんだよね、って言ってもらえるほうがリアルって感じがします。

でもその上で、いまもこうしてふたりでいられるってことはふたりの努力の上に成り立っているよね、って言ってくれるのは、なんというか愛の告白以上の信頼を感じます。

このスタンスの選び方が巧みで、上品で、ずるくて好きです。

サビを見ます。

たったひとつだけ 願いが叶うのならば 君が欲しいよ
最初で最後の恋を始めようよLady

全体的に“大人”なんですよね……。

「君が欲しいよ」って部分だけを切り抜いたら自己中心的で子どもっぽい響きもするし、「最初の/恋」って部分だけを切り抜いたら統御の効かない初恋の曲にも見えます。

でもこの恋は「最初」なだけではなくて「最初で最後」です。

いままでの恋は本当の恋なんかじゃなかった、って含みを持たせつつ、「俺に決めなよ」って意味での「最初で最後の恋」なんだとするとグッときます。

それに「始めようよ」って部分はAメロBメロでも触れてきた行動や努力って流れと繋がっているように見えます。

「最初で最後の恋が始まった」じゃなくて「最初で最後の恋を始めようよ」なところがクールな印象です。

あと、相手に呼びかける単語は「Girl」じゃなくて「Lady」という点も大人を感じます。子ども扱いしない感じが。

ただ一人だけ 愛する人に捧ぐよ 想いを込めて
I love you I love you これが運命と言うのさ
Love story with you

この曲では相手のことを好きだとか言わないんですが、その代わりに「I love you」を繰り返します。

締めくくりが「Love story with you」っていうのもいいですよね〜〜ラブストーリーはどちらか片方の恋心ではアンバランスで、ふたりで積み上げないと成立しないものだから。

Hey! Say! JUMPの10年の蓄積にちゃんと釣り合うバランスが、この曲の好きなところだなと思いました!


というわけで、Hey! Say! JUMPWhite Love』でした。

ところでわたくし、この文章の冒頭にこう書きました。

季節はもうすぐクリスマス🎄

というわけで、Hey! Say! JUMPWhite Love』の歌詞の話をします!

ところが、改めて歌詞全体を見てみても、まったくクリスマス要素ありません。

それどころか、冬を思い起こさせるキーワード(たとえばイルミネーションとか、舞い落ちる雪とか、君とならあたたかいとか……)も一切ありません。

音の面でそれを演出している(たとえばベルの音とか)のかというとそういうわけでもありません。ストリングスは響いてるけど、そういう曲冬以外でもいっぱいあるでしょ。

MVでもそういう要素なくて、しいて見出すとしたらタイトルの「White」ぐらいなんですよね……

クリスマス曲だと思って聴いてたんだけど、実は中身は常緑でステキなラブソングだったのでした。ほんとに仕立てがよくて気持ちいい曲です。

これでなんとなくクリスマスを連想しちゃうのおれだけじゃないことは、下のYouTubeのコメント欄でも確認できますのでぜひ見てみて!!

それではよいお年を〜〜!!