コレサワ『君のバンド』の歌詞の話。
最初の部分はこういう感じ。
あたしの好きなバンドはなぜかちっともちっとも売れない
君の好きなバンドはどれもすっごくすっごく売れてる
わたしの好きなバンドですか?
ヒゲダン、King Gnu、あとは…ヤバTとか??(←すっごくすっごく売れてる)
ということで、わたし全体的にコレサワちゃんと付き合う場合いろんな面で怒られてしまいそうな感じがするんだが、今回その話はいいのだ。
ちょっと別の話をしたいの!
『君のバンド』は『勝手にシンドバッド』
冒頭に引用した部分の続きはこういう感じ。
そこにはずっと同じメロディが続いていて、対比の観点が「あたし」と「君」のふたつだけにフォーカスされるようになっています。
でね。
主人公はこう歌います。
あたしの好きなものを君はいつも変だってゆうけど
君の好きなものは本当に君が好きなものなの?
気持ちはわかるんですよね…。流行ってるから好きって言いたいだけじゃないの?ってことですよね。
音楽とか映画とかのことをちゃんと好きなひとは、流行りに乗りたいだけのひとをきらいます。わかる。
けどさ! 流行りに乗って、みんなと(あとあなたと!!)いっしょの話題を共有するのがたのしいの!!_
というわたしの個人的な気持ちはとにかく、この曲では「あたし」と「君」の好みを巡ってずっと曲は進行します。
なんにも交わらないけれど 隣にいたいよ
好きなものが交わらなくても、お互いが相手のことを好きでいられるならそういう関係もアリだよ、うんうん。
ここから先、ずっとは引用しないんですけど、
あたしの好きなバンドはなぜかちっともちっとも売れない
君の好きなバンドはどれもすっごくすっごく売れてる
あたしの好きな音楽はライブハウスでしか聞けない
君の好きな音楽はいつもテレビで流れてるね
こういう感じで、自分がほんとうに好きなものを好きだと言う「あたし」と、たぶん流行っているからという理由だけで好きなものを決める「君」が対比されたまま曲は進行します。
さてJ-POPこんな風に二項対立が出てきたら、曲の締め方にはひとつ定番があります。
それはアウフヘーベンです!!
…じつはわたしはあんまりよくわからずにこの言葉を使っているんですが、対立があったときに、その対立がどちらに寄るでもなく、ひとつ新しいステージに上がって解決していく、ということがよくあるのです。
夢を追いかける君と、ふたりいっしょにいたい私。最終的には…ふたりで夢を追いかける!みたいなやつです(あるある…)。
そしてこの曲でも、それが起こるんですよ。
あたしの好きなバンドがいつかとってもとっても売れたら
君の好きなバンドにいつかぜったいぜったいなるかな
あたしの好きなバンドが売れたら、売れてるバンドが好きな君の好みにも入ってくるじゃん!という算段です。
みてほら! やっぱり!!
ここで終わったら、この曲はきれいなJ-POPで終わるのでした。
しかし残念ながらこの曲は、ここで終わりません。
あたしの好きなバンドがいつかとってもとっても売れたら
君とライブに行きたい 帰り道には手をつないでスキップ♪
曲聴いていただけるとわかるんですけど、この曲最後ずっと繰り返してスキップ♪のこと歌ってるんですよ!
えっなんで? わたしのアウフヘーベンは??
そう、この曲、わたしの斜に構えた「あーそういうのあるよね〜〜」を超えていくのです。
ところでこうして、なぜか最後に歌詞のテーマの方向性が変わる曲、わたしひとつ心当たりがあるんです…。
この曲のサビって、
今 何時? そうね だいたいね
今 何時? ちょっと 待ってて
今 何時? まだ 早い
という感じ。
なのにサビの終わりは、
不思議なものね あんたを見れば
胸さわぎの腰つき……………………
ってなるんですけど、
えっ、胸騒ぎの? 腰つき?? 結局いま何時だったの??
ってなりません? なるよね??
でもそれが『勝手にシンドバッド』のいいところなわけじゃないですか。
それのよさみとコレサワ『君のバンド』の「スキップ♪」のよさみって似てるくないですか?
って思ったので文章にしました。
あっ、これも別のアウフヘーベンなのかな。そうかも!!
ということで、コレサワ『君のバンド』でした。
関係ないけどわたしは音楽はめちゃくちゃ他人の影響を受けるので、たぶんコレサワちゃんと付き合ったらいっしょにライブハウス行って売れてないバンドのパフォーマンス楽しめる人間になると思う。
ぜってぇいっしょにスキップして帰ろうな!!