5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

澤村光彩『致死量ダーリン』- タイトルと相性のいいことば選びが好き!

澤村光彩『致死量ダーリン』の歌詞の話です。

オリジナル曲のリリースおめでとうございます〜!

フルの歌詞ってどこにも出ていないで合っていますか?

SpotifyApple Music(iTune Store)、YouTube見たけどなかったのでとりあえず耳コピして文字に起こしてみました!

公式が出たら差し替えます。

マジで マジで いらないわ
 
狂ってる?それ誉め言葉ね
残ってる?まだまだまだまだ
消えないのあなたへの想い
混ぜ混ぜどす黒く汚れ
 
ああほんとに大好きだった
あなたの笑顔とか
その記憶ぐちゃぐちゃにしたい
今はどこで誰といるのよ
やぱやば何も手につかない
 
こんなにも苦しいのは
私だけか 痛いよ痛いよ
寝る前に思い出す
あなたの香り消えなくて
 
もう馬鹿じゃない 部屋に一人
真っ赤っ赤な 目で吐いた
香水の残り香が枕に付いて
いやいやいやいや
摂取したいの 致死量ダーリン
一生好きって 言ったじゃない
守れない 約束なんて
マジで マジで いらないわ
 
バイバイなんて許さないから
 
笑ってる想い出がまた
崩れてくドロドロドロドロ
わかってるもう戻らないのも
それでも夜に呑み込まれて
 
ねぇねぇねぇなんで
ねぇねぇ会いたいよ
ねぇねぇねぇなんで
ねぇねぇ会いたいよ
これだけ愛していても
あなたに会うことはできないの
悪いことがあったら全部直すから
私の全てあなたのもの
 
SNS更新してる
それならなんで返信ないのよ
私だけ置いてかないで
狂うほどに愛してよ
 
もう馬鹿じゃない 部屋に二人
笑ってた記憶だけ
思い出さすこの香りが
回る回るグルグルと
 
あぁ接種したいの 致死量ダーリン
一生好きって 言ったじゃない
守れない 約束なんて
マジで マジで いらないわ
ねぇ責任取れよ命懸け絶対
 
あぁあなた以外は
もうマジで マジで いらないわ

この文字起こしを元にして、この歌詞の好きなところの話をします。

まずは最初のところから。

マジで マジで いらないわ

最初のリフにあたる部分は「いらない」ということば。

これがタイトルの「致死量」ということばとリンクして聞こえます。

最初の部分ですでに歌詞の中心のテーマが香ってくることばづかい。これが好きなところ。

狂ってる?それ誉め言葉ね
残ってる?まだまだまだまだ
消えないのあなたへの想い
混ぜ混ぜどす黒く汚れ

「狂ってる?それ誉め言葉ね」は有名なコピペです。

2009年、ある中学3年生によって2ちゃんねるに書き込まれたとされる有名な文章の一節です。

nlab.itmedia.co.jp

いまの中3はこのときまだ生まれていないひともいそうですね。歴史!

そんな軽い自虐とともに始まるこの曲は、ヤンデレな女の子が主人公の重めラブソングみたいです。

ああほんとに大好きだった
あなたの笑顔とか
その記憶ぐちゃぐちゃにしたい
今はどこで誰といるのよ
やぱやば何も手につかない

ところが主人公のそばに「あなた」はいないようです。

それに際して主人公は「その記憶ぐちゃぐちゃにしたい」と歌います。

「その記憶」とはどの記憶でしょうか。

直前に「あなた」が出てくるので相手の記憶とも捉えられそうですが、ここでは相手のことを大好きだった自分の記憶をぐちゃぐちゃにしたい、と歌っていると捉える方がよさそう。

相手のことを好きだった自分のことを忘れたい、ということのように思いました。

こんなにも苦しいのは
私だけか 痛いよ痛いよ
寝る前に思い出す
あなたの香り消えなくて

でもそんなに簡単に相手を忘れることはできません。

主人公はちょっとしたきっかけで相手のことを思い出します。

最初から順番に歌詞を見ているだけでは、わたしたちはまだそれがなぜなのかについてわかりません。

続きを聞くことでわかる仕掛けになっています。

もう馬鹿じゃない 部屋に一人
真っ赤っ赤な 目で吐いた
香水の残り香が枕に付いて
いやいやいやいや

香水の残り香が枕に付いているから。

だから主人公は寝るときにその香りに触れて、相手のことを思い出すのです。相手はここにはいないのに。

枕に香りが付いているということは、相手と一緒に寝たのかもしれないし、“寝た”のかもしれないですね……。

摂取したいの 致死量ダーリン
一生好きって 言ったじゃない
守れない 約束なんて
マジで マジで いらないわ

サビの後半はTikTokでも使われているタイトルの部分。

「致死量」というのは死に至る量のことで、ふつうは薬物や毒物に使うことばです。

それが「ダーリン」ということばに合わせて使われているので、ダーリンは薬や毒のように気持ちを救う存在であったり、逆に中毒性があったりするものだということを示していると思います。

さらに「摂取したいの」という薬などに使うことばが合わせて用いられてることにより、「致死量」ということばのおもしろさがより引き立つようになっています。

この付近はタイトルで使われているだけあってことば使いが丁寧で巧みです。好きなところです。

曲の最初のリフの部分にも出てくる「マジで マジで いらないわ」ということばが、「致死量」と相性がいい単語に見えるのもだんだんわかってきます。

全体的にこの部分はよく練り込まれています。すき。

ほかに好きな部分は2番のところ。

もう馬鹿じゃない 部屋に二人
笑ってた記憶だけ
思い出さすこの香りが
回る回るグルグルと

1番は「部屋に一人」という現実を描いていたのに対して、2番は「部屋に二人」という想い出が出てきています。

同じ場所に対になる表現を合わせることによって、一人の描写のひとりぼっちが引き立つように感じます。

これもいい表現だなと思いました。

全体的に歌い方のヤンデレ感が歌詞や曲調にとてもよく釣り合っていていい感じ!!

いっぱい再生されたり使われたりしたらMVが出たりもするのかな!たのしみです!!