5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

憧れのアメリカについてわたしが口を滑らせるとこだった話 - DA PUMP『U.S.A.』

DA PUMP『U.S.A.』のこと考えてたんです。

この曲「ダサかっこいい」ってよく言われるじゃないですか。

でも歌詞の中身を見てくださいよ〜。

U.S.A.
オールドムービー観たシネマ
U.S.A.
リーゼントヘア真似した
U.S.A.
FM聴いてた渚
U.S.A.
リズムが衝撃だった

歌詞には特にダサ要素はなくて、単純にアメリカかっこいい!って内容で綴られているんですよ〜。

これってどういうこと? アメリカかっこいいんだから、ちゃんとかっこいい曲にすればいいじゃん??

でもそうなっていないのは不思議です。考えていったら、ある物語にたどり着きました。

そしてわたしは、途中で手を止めることとなります…(怖い話)。

DA PUMP『U.S.A.』歌詞(歌ネットへリンク)

(わたしのYouTubeだとこの曲の次に『前前前世』サジェストしてくれるのサイコ〜! あとでこの曲の話もしようっと)

アメリカに憧れるということ

Aメロの歌詞はこういう感じ。

U.S.A.
オールドムービー観たシネマ
U.S.A.
リーゼントヘア真似した
U.S.A.
FM聴いてた渚
U.S.A.
リズムが衝撃だった

わたしマジでサブカルチャーとか詳しくないんですけど、これってけっこう昔のアメリカの描写ですよね?

「オールドムービー」は古そうだし、「リーゼント」は古そうだし、「FM」は古そうだし。

主人公はいわゆる「古き良きアメリカ」のようなものに憧れを持っているのだと思います。

数十年で関係(リレーションシップ)
だいぶ変化したようだ
だけれど僕らは地球人
同(おんな)じ星(ふね)の旅人さ

ところがBメロになると、描写は大きく変わります。

Aメロでは「観た」「真似した」「聴いてた」とタ形だったのに、Bメロでは「変化したようだ」「旅人さ」と言い切りに変わります。

歌詞の時制が変化しました。

そして、そこに描かれている、アメリカ像も少し変わります。

Aメロでは一方的な憧れでした。

Bメロでは「同(おんな)じ星(ふね)の旅人さ」と、対等さが強調される歌詞に変わります。

C'mon, baby アメリ
ドリームの見方をInspired
C'mon, baby アメリ
交差するルーツ タイムズスクエア
C'mon, baby アメリ
憧れてたティーンネイジャーが
C'mon, baby アメリ
競合してく ジパング

サビの「C'mon, baby」は、だれからだれへのC'monなのか、いまいちよくわかりません。

でも、「アメリカ」への呼びかけとしてのC'monであっても、「アメリカ」に誘い出すC'monであっても、ジパング」が「アメリカ」とひとつになるという点では同じです。「同じ星の旅人」なのです。

C'mon, baby アメリ
どっちかの夜は昼間
C'mon, baby アメリ
ユナイテッドする 朝焼け

2番のサビ終わりにはそれがさらに鮮明に現れます。

「どっちかの夜は昼間」というあたりから日本とアメリカが釣り合ってひとセットになるのが表現されています。

「ユナイテッドする 朝焼け」というあたり、両国がひとつにまとまることを示していて歌詞の趣旨に合っている感じ!

めでたしめでたし。

ではありません。

この曲には、不思議なレッテルが貼られています。

そうなんです。

この曲、歌番組とかではいっつも「ダサかっこいい」として紹介されてきました。たとえば6月のCDTVでそうでしたし、7月のFNSうたの夏まつりでもそうでした。

アメリカにかっこいいところがあって、それに憧れていた、というのがAメロのエピソードで、さらにその先、「同じ星の旅人さ」と歌うのがこの歌詞のテーマになるところだと思います。

だとしたら、アメリカのかっこいいところを表現しつつ、世界がひとつになることを歌い抜くのが、その骨子に合った表現だと思います。

でもこの曲はそうなっていません。「“ダサ”かっこいい」のです。どうして…?

思えば、類する特徴はほかにもいろんなところで見受けられます。

リーゼントヘア真似した

もっとほかに…かっこよさそうな髪型あるんじゃないの…?

競合してく ジパング

「日本」じゃなくて「ジパング」なの?

てきな。

わざと「ダサかっこいい」になるように、言葉を選んでいるように、わたしには思えるのです。

これはどうしてでしょうか?

心の中では、じつはひとつ思っていることがあります。

というわけでいろいろ書こうとしたんです。

したんですが、日ごろの勉強不足がたたってポエムみたいになってしまったので、なんとやっぱりやめることにしました。あとは察してください〜!

(そしてやめきれなかった思いが後半の方でちょっとこぼれてる…)

「課題曲」の話。

さて。

ある時代のある層のひとたちが共通してみんな歌えるような曲を、わたしは「課題曲」と呼んでいます。

たとえば2017年のニコニコ超会議では、会場のいろんなところから『ようこそジャパリパークへ』が聞かれました。

カラオケで歌っている人もいたし、踊っている人もいたし、変わった楽器で演奏している人もいたし、電子工作で再生している人もいました。

ようこそジャパリパークへ』という曲があって、みんなそれぞれ自分の得意なジャンルからその曲へとアプローチしていってたんです。

2017年のニコニコ超会議において『ようこそジャパリパークへ』は、課題曲だったと思います。

国民的な課題曲という概念もあります。

私の中では、2016年には、国民的な課題曲が4つも出た稀有な年でした。

どれもめっちゃ有名で、老若男女を問わず(比較的)だれでも知っているし、そして二次創作がたくさん生まれたというのが、課題曲の特徴だよね、っていうふうに思えます。

J-POPのYouTube動画で再生回数が1億を超えるものはいくらもないはずですが、そのうち3つがここに揃うのもものすごいことです(『PERFECT HUMAN』は動画の公開がすごく遅かったんですよね〜)。

そういうふうに考えると、2017年には国民的な課題曲はなかったように思います。惜しかったのはDAOKO × 米津玄師『打上花火』とか? と思うけど上の世代に広がったりしてないもんねぇ…。

柴那典さんを引くまでもなく、国民的なヒット曲は生まれにくくなっていて、課題曲フェチとしてはかなしいかぎり…と思っていたんですが、今年はそのポジションにDA PUMP『U.S.A.』が収まりました! やった! さいこう!!

こういう曲が生まれて、たくさんの観客が一体になって沸いたりするのを見るのが大好きなんです。泣いちゃう。

こないだはDA PUMP無銭しようとして結局生では見られなかったけど、わたしより熱意あるひとたちが報われたならまあいいや。

これからもたくさんの課題曲が生まれていくといいなと思います! がんばってね音楽業界〜✨ いいかげんサブスク完全解禁しろ!!😡😡😡


というわけで、DA PUMP『U.S.A.』でした。

ぶっちゃけ『U.S.A』という(ある面で)海外のある国を称揚するような曲が、「ダサかっこいい」という看板を背負った状態で日本でヒットするの、うかつな物語をカンタンに口にしてしまいそうになるんですけど、それについては努力して黙っていることにします!

あっぶね〜〜。わたしは音楽業界について語るようなブロガーさんとかじゃないし! 幸いなことに知識もないし! よかった!!

そんなことより、にぎやかな曲でたくさんのひとが盛り上がっているのはたいへん好きなので、これからもいいことがたくさんあるといいなと思います。

おしまい。

U.S.A.

U.S.A.