こんにちは!
きょうは、2016年のボカロ界隈がとってもにぎやかだったよ!っていう話です。
この文章を読んでいる人なら、もしかしたら有名なボカロ曲はご存じかもしれません。
年ごとにまとめると、こういう感じ。
年 | 主な曲 |
---|---|
2007年 | みくみくにしてあげる♪ メルト |
2008年 | ワールドイズマイン 炉心融解 |
2009年 | ダブルラリアット メルト |
2010年 | マトリョシカ モザイクロール ワールズエンド・ダンスホール |
2011年 | 千本桜 パンダヒーロー カゲロウデイズ |
でも、このあたりまで来て、あれっ?もう続きわかんないぞ?って感じになったりしていませんか?
実はこのあと、ボカロの衰退が喧伝されていました(検索してみてね)。
「昔は聴いてたけど最近はよくわかんないよ」
っていう人は世の中にたくさんいます。
でもね。
今年はここ数年とは明らかにちがいます。
界隈の外の人にはあんまり伝わってない感じがしますけど、今年はボカロ業界がすごく盛り上がっていました。
たとえばここにあるのは、ニコニコ動画投稿から1年間で再生された回数が多いボカロ曲のランキングです。
http://vocaran.jpn.org/movieranking/sum/oneyear
投稿から1年で100万回再生された曲の数を集計して年ごとでグラフを描くと、このようになります。
おわかりいただけるでしょうか。実線を見てください。
見てこれ! 2016年めっちゃ伸びてる!!
しかも、2016年はまだ終わっていません。あと数日の間に投稿された曲にすごく人気が出て、それが365日以内に100万回再生されたら、それもここに合わせて集計されます。
(で、ここまで数字を出してきてとつぜん偏差値半減のふんいき予想をするんですが、)んー、わたしの予想だと、あと6曲はいくと思うんだよねーー。
点線はふんいき予想が叶ったときのグラフ。
見て! めっちゃV字回復じゃないですか!!(←牽強付会)
ということで、今回は2016年に投稿された100万再生ボカロ曲についておしゃべりします。
わたしがこれを書いている2016年12月20日の時点で、該当が6曲あります。
みなさんもこの記事を読んで、2016年はボカロ界がすごかったんだぜ!ってドヤ顔で自慢しましょう。
そして、よければ再びボカロ沼にハマってみたりしましょう〜〜(ってほどそもそもわたしが詳しくない)。
ソースはこちら。
vocaran.jpn.orghttp://vocaran.jpn.org/movieranking/sum/view/2016
1.ゴーストルール
メーデー 僕と判っても もう抱き締めなくて易々(いい)んだよ10曲ぶんも脳にスペースがないひとは、お願いなのでこの曲だけでもアタマに入れて帰ってください!
メーデー 僕が解ったら もう一度嘲笑(わら)ってくれるかな
マボロシだって知るんだよ
嘘憑きだって知るんだよ ネェ
ボカロ界におけるこの曲は、今年の日本の音楽界におけるPPAPぐらいの存在感があるのでぜひよろしくお願いします!!
失恋の曲、って言いたいところですが、簡単には言い切れないあたりが策士の作詞。歌詞には「君」が出てこないので、自分を見つめてるだけの曲なのかもしれません。それが「ゴースト」っていうテーマにしっくりはまってくるのがほんとに巧妙です。ずるいよね! 短い記事では語りきれないよー。
この曲、とにかく記録がいろいろとすごくてですね。
『ゴーストルール』ミリオンおめでとうございます! 50日で達成は歴代16位。みんな大好き六兆年やドーナツホールも上回ってるし、これってめっちゃすごいことだよ!!https://t.co/eRRv64cwWI #sm27965309 pic.twitter.com/BwVdLW8KHR
— ハコサト📦 (@hacosato) 2016年2月27日
ボカロ界のミリオン再生達成の速度、歴代16位の記録を持っています。
オリコンシングルの売上枚数ランキングでいうと『黒ネコのタンゴ』に相当しますね!!(わかりづらい)
ja.wikipedia.org
www.joysound.com
わりと流行に対してコンサバに動くカラオケランキングでも、2016年リリースで唯一ベスト20に入っています。しかも4位で。ヤバい。
作詞作曲はDECO*27(デコニーナ)さん。『モザイクロール』(2010年)『妄想税』(2013)や『ストリーミングハート』(2014)などが有名です。っていうか絞りきれない…。
ボカロ界を代表する超大手のお一人です。ずっと前から活動しているのに人気が衰えないばかりかトレンドを作っている(後述)のがほんとにすっごいです💕
この曲のメロディへの音の乗せ方がわたし大好きで、前にブログを書いたことがあるのでぜひ読んでほしい!!
hacosato.hatenablog.com
2.チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!
さァ!さァ!密告だ!先生に言ってやろ!この曲の楽しいところはコールアンドレスポンス。
ほらほらこんなに 悪いやつらがひ・ふ・み・よ
さァ!さァ!抹殺だ!悪い子退場だ!
最後のひとりになるまで終わらないわ
チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!
アイドル現場や邦ロック界隈でよく見る、アーティストと観客が掛け合いをするやつです。
聴いていただいたらわかりますが、ボカロ曲なのに
「さァ!さァ!密告だ!先生に言ってやろ!」
のところは人間が歌うところがあります。
聴いてるわたしたちはちゃんとわかるわけです。
なるほど、ここはわたしたちが歌うとこなんだな!!って。
わたし、今年のボカロ曲の流行をひとつ挙げるなら、コールアンドレスポンスだと思うんです。
わけてもコールアンドレスポンスがいちばん曲の根幹にあるのがこの曲だよね、っていうのがわたしの意見です。
昨今、音楽業界は収益の軸足をCD販売からライブ・コンサートに移してきていると言われています。
そういう場ではコールアンドレスポンスがめっちゃ有効だとわたしは思うんです。
だってたのしいじゃん?
そう思って調べてみると、やっぱり。
ameblo.jp
今年のニコニコ超パーティーでは、この曲が演奏されたみたいです。わたしは見てないけど、情景は目に浮かぶよう! たのしいだろうなぁ。
3.エイリアンエイリアン
エイリアン わたしエイリアンいまボカロ聴いてるよ、ってひとたちがめっちゃ名前を挙げるのに、最近はボカロ知らないよってひとがぜんぜん知らないのがこの曲の作者ナユタン星人さん。
あなたの心を惑わせる
交ざりあう宇宙の引力で
感じてる気持ちはトキメキ
小林幸子さんがカバーしたことからも、この曲の注目度がわかるよね〜〜✨️
この方の曲にはサムネイルにも世界観にも共通するところがあって、ナユタン星人さんが新曲を出すたびにこの方の過去の曲の人気が再燃するという現象が起こります。
MVはいつもいっしょのスタイル(色ベタの背景に歌詞がどーんと表示されて、さらにその手前でメダ子さんが踊る)から、サムネで
「あっナユタンさんの曲だ!」
ってわかるんですよね。MVもクリエイティブのひとつなんだよねって感じる!!
ナユタン星人さんの曲の主人公はみんな恋愛に不器用だとわたしは思っているんですが、主人公さんはだいたいエイリアンかロボットなので、
それなら恋に不器用でもしょうがないかぁ〜〜✨️
って気持ちにさせられちゃうところが嫌みがなくて巧妙であざとくてでも好き!!!ってなっちゃうところだと思っています。
曲調はみんなだいすきwowakaさんふう(だとわたしはおもう…)なので、古参のみなさんもぜったいすきになれるはず!
みんな! ナユタン星人さんの名前を覚えておけば通ぶれるぞ!
4.脱法ロック
エビバリあーだいすき!!
現実逃避に縋れ 縋れ
負け犬になって吠えろ 吠えろ
理想像なんて捨てろ 捨てろ
それが 脱法ロックの礼法なんですわ
最底辺に沈め 沈め
社会不適合者に堕ちろ 堕ちろ
自殺点ばっか決めろ 決めろ
それが 脱法ロックの礼法なんですわ
年中イキっていこう〜
作者のNeruさんはいつもアイデンティティの問題に真摯に向き合うようなアドレセンス感ある曲を書くんですが、今回の曲はいつもとちがってだいぶクレイジー。
MV含めて、脱法して飛んでる感じがめっちゃよいよね!!(それでもやっぱりアドレセンス感残ってるのもめっちゃよいよね!!)
この曲、イントロのところで観客側から「うぉおおおうおお〜〜」っていうコーラスが入ります。
『ゴーストルール』に似た観客との関わり方が、やっぱりさっきのコールアンドレスポンスとつながって見えてきてとってもいい感じよね!!
あと、この曲は歌ってみたがすごく楽しいです。ひとによってコールアンドレスポンスの解釈が結構ちがってて、どの部分が「コール」でどの部分が「レスポンス」なのかって、歌い手さんの解釈によるんだなぁ、っていうのが新鮮でした。
みなさん自分の持ち味を生かせるような切り取り方をしてるから、そこに注目すると楽しい世界が広がっているんだなぁ、ってめっちゃ思います。
そしてそういうみんなの「課題曲」になれるのは、この曲の懐が深いからなんだ、って思っています!
作者のNeruさん、代表曲は『ロストワンの号哭』(2013)や、『東京テディベア』(2011)などなど。この曲で最短ミリオン再生を達成したことに対して、このように述べています。
100万再生ありがとう!自分の曲だと最速の2ヶ月到達だったみたいなので、これが代表曲になってしまいました。最悪です。 [MV] 脱法ロック / Neru feat. 鏡音レン (3:07) https://t.co/OIzYQrD59n #sm29081909
— Neru (@neru_sleep) 2016年8月20日
ところで。
『ゴーストルール』『チュルリラ・チュルリラ・ダッダッダ!』『エイリアンエイリアン』『脱法ロック』は、一部の界隈では2016年のボカロ曲四天王って言われているみたいです。
これはJ-POP界でいう『PPAP』『PERFECT HUMAN』『恋』『前前前世』に相当します。
J-POPの「四天王」も、お笑いだったり、ダンスだったりと、音楽以外のジャンルの話と切り離すことができない文脈の中でヒットしてきました。
ボカロ曲四天王も、コールアンドレスポンスなり、MVなり、音楽そのものとは離れたところに魅力があるわけで、J-POPのヒットとなんだか似ていますね。
5.すきなことだけでいいです
すきなことだけでいいですずっと前から活躍しているピノキオピーさんの2016年ヒット曲。
みんな 好きなことが好きなんです
すきなことだけでいいです
みんな 嫌なことは嫌なんです
すきなことだけでいいです
ほんと すきなことだけでいいです
全人類が好きなことやったら 世界は滅亡するけど
この方の曲の歌詞を読んでると、哲学だなぁっていつも思います。
今度もうちょっとちゃんと哲学を学んで歌詞読み書くから待っててねみんな…。
蓼食う虫も好き好きだけど、わたしたちは社会的な生き物だから、好き好きをほっといてはもらえないんだよね…、ってわたしはこの歌詞について思います。こういうことを歌うJ-POPあります? なくない??
ボカロ界隈のこういうとこがわたしは好きです。歌詞に取り上げてるテーマの幅が広いよね。
そしてそれがちゃんと人気になるのがすごいなぁって思います♪ J-POPでこういうテーマを取り上げたところで、その年で5番目ぐらいの人気にはならないよねー。
この曲は最後に2段階上昇する転調するんですが、この転調はなんと『ゴーストルール』といっしょです♪
『ゴーストルール』の影響力すごい〜〜。2段階上昇する転調があると、もう何段階転調しても気持ちとしてはいっしょなので、音感がうすいひとでも転調して歌いやすくなるってわたしは思っています。
何が言いたいかっていうとだな、こんなわたしでもカラオケで歌いやすいってことだ!!
すきなキーだけで歌えるからな!!
6.罪の名前
もしも願いが一つ叶うなら
世界でたった一人だけの友達を
生きることは素晴らしいこと
そんな風に私も思ってみたい
「運命の女神様」が「赤ん坊」に魔法をかけるというストーリーをもったこの歌詞。
でもね。
ぶっちゃけわたしはこの曲の歌詞、時代遅れだと思います。
歌詞に濃密なストーリーを持たせて、あまつさえ曲と曲の間でストーリーを共有するようなやり方は、ボカロ界ではすでにたくさん用いられたことなのでした(じんさんのカゲロウプロジェクトとか)。
そのあとのボカロシーン、DECO*27さんとNeruさんの対談の中では「焼け野原」って呼ばれています。ヤバい。
www.cinra.net
そんな中で、焼け野になる前のような方法はいまぜんぜん流行っていないのです。
でも、流行っていることとよきこととは別のおはなし。わたしはカゲプロ曲も大好きです♪
こういうシーンにおいて、時代遅れな方法を用いても、それでもちゃんと支持される曲を作れるryoさんはほんとにすごいな、っていうのがわたしの言いたいことです☆
ryoさんの代表作は『メルト』(2007)や、『ワールドイズマイン』(2008)など。
ボカロの初期にめっっちゃ人気な曲をたくさん輩出したひとです。
『罪の名前』は7年半ぶりに本人アカウントから投稿されたボカロ曲でした。
みんな「王の帰還」!!っていってめっちゃはしゃいでいました。なるほどね。
以上です!
わたしは音楽ライターさんてきなことはぜんぜん書けないのでふだん「シーン」みたいなことばは使わないけど、今回はちょっと調子に乗っているので使ってしまってみました!
これを読んだだれかがボカロシーンのことを好きになって、来年をもっと引っ張ってくれたらいいなって思っています♪ よろしくね!!
わたしはぶっちゃけ、熱心にボカロ曲を聴いてるほうではありません。
ミーハーだからトレンドは押さえておきたいよね〜〜、ってぐらいでしかありません。
でもミーハー心でトレンドを押さえた結果、今年はボカロ界めっちゃしゃぶりつくして楽しむことができたし、このぶんだときっと来年も楽しいんだと思います。
そのためにはもっと仲間がほしいので、ぜひみんなボカロ界に(再)デビューしてほしいです♪♪
さて、今回の記事は、前にわたしが書いたこの記事の続編にあたります。
hacosato.hatenablog.com
このときにはまだ6月だったので、その後の情報も付加しながら、できるだけ重複がないように書いてみました。両方楽しめると思うので、よければあわせてどうぞ♪
今年のブログの更新はこれにておしまいです。来年1月5日には、J-POPのことも含めた統計っぽい記事を書こうと思っています。
今年も1年間ありがとうございました。よいお年を〜。