5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

低い目線と分かれ道と、涙で見えなくなった狩歌 - UNISON SQUARE GARDEN『春が来てぼくら』

だーもうこの曲めっちゃ好き。ストリングスに春の感じが出すぎ🌸

また春が来て僕らは新しいページに絵の具を落とす
友達になった、おいしいものを食べた、たまにちょっとケンカをした

J-POPってラブソング多すぎってよく言われるけど、この曲はなんかふつうのラブソングとはちょっと違うみたい。

「絵の具」とか「友達になった」「ケンカをした」とか、なんか子どもっぽいんだよね…。

きょうはそんな歌詞の話。

UNISON SQUARE GARDEN『春が来てぼくら』歌詞

低い目線と分かれ道

この曲には、共通点があるモチーフ群がふたつあります。

咲き始めたたんぽぽと 雪になりきれずに伝った雫 なんか 泣き顔に見えた気がして 思わず傘を差しだす

曲のタイトルにもなってる「春」。

春の花といえばJ-POPの中では桜と相場が決まっています🌸

でもこの曲に出てくるのは「たんぽぽ」。

たんぽぽは桜と違って地面に近いところに花を咲かせるので、目線が低いところにある感じ。

この目線の低さは、この歌詞全体にわたって続いています。

また春が来て僕らは新しいページに絵の具を落とす

「絵の具」で絵を描くことは何歳だってできるけど、わたしたちの多くにとって身近なのは図工の時間です。

友達になった、おいしいものを食べた、たまにちょっとケンカをした

友だちは何歳だってなれるけど、「友達になった」と言えるのって子どものうちだけ、っていう感じがします。

「わからない」って言うなら 「ざまみろ」って舌を出そう

舌を出すことも何歳にもできるけど、「ざまみろ」って舌を出すのはやっぱり子ども、って印象です。

こんな風に、歌詞全体にわたって、子どもっぽいモチーフは続いていきます。

ここから後半。

この曲に特徴的なもうひとつのモチーフが、分かれ道、です。

たとえばAメロにはこういうシーン。

右左どちらが正解なのか なかなか決められずに道は止まる
けど浮かぶ大切な誰かに悲しい想いはさせない方へと

Bメロにも続きのようなシーン。

小さな勇気 前に進め
ちぐはぐなら ナナメ進め

サビにもこんなシーン。

それぞれの理由を胸に僕らは何度目かの木漏れ日の中で
間違ってないはずの未来へ向かう

ここでは「それぞれ」という言葉で、分かれ道の感じが端的に表現されています。

春といったら出会いと別れの季節です。

とりわけそれは若い世代にとって。

そういう統一感を、低い目線と分かれ道で描いた曲なのだな、そういうふうにわたしは思っていました。

つい最近まで。

ハロー、学童保育士さん!

先日、狩歌という遊びをやっていました。

狩歌とは、J-POPなどの音楽を流して、それを読み札にして遊ぶかるたです。

hacosato.hatenablog.com

いっしょに遊んでいたのは学童保育士さん。そのひとは手際よく説明をして、カードを机いっぱいに広げて、そしてスマホから曲を流しました。

そのときの曲がこれでした。

その瞬間に、わたしはわかった!ってなりました。

この曲、学童を卒業する曲なんだ。

学童とは学童保育の略です。

Wikipediaにはこうあります。

主に日中保護者が家庭にいない小学生児童(=学童)に対して、授業の終了後に適切な遊びや生活の場を与えて、児童の健全な育成を図る保育事業の通称

そのひとの場合は、小学校の敷地内に施設があって、たいてい4年生までの小学生が夕方まで過ごす、公営の施設、という感じでした。

学童には卒業という概念があります。

  • もう大きくなったからひとりでお留守番ができるよね
  • おばあちゃんと同居することになったから大丈夫になったね

みたいなタイミングで、学童を卒業する、ということがあるのです。

それがもっとも多いのは、いつでしょうか。

それはもちろん、3月です。

咲き始めたたんぽぽと 雪になりきれずに伝った雫
なんか 泣き顔に見えた気がして 思わず傘を差しだす

いつも放課後に遊んでいる校庭に、たんぽぽが咲く季節になりました。

よく見てみると、昨日すこしだけ降った雪だった雫が、たんぽぽの花びらの先から伝って落ちていきます。

泣き虫だったあの子が、もういっちょまえな顔をして、学童の最上級生になりました。

あれから、もうすぐ1年が経ちます。

右左どちらが正解なのか なかなか決められずに道は止まる
けど浮かぶ大切な誰かに悲しい想いはさせない方へと

保護者とは何度も話し合いをしました。

本人の希望もあるけれど、どちらにしたっていつまでもいられる環境ではないのです。

そういう決断で動き出すのは、だいたいこういう季節です。

小さな勇気 前に進め
ちぐはぐなら ナナメ進め
進めたなら 光になれ
コトリ 高鳴りと コトリ 寄り添うように
季節の針は音立てるだろう

後ろから見る背中は相変わらず小さいけど、そのからだの中にはめちゃくちゃに勇気を詰め込んでいて、その勇気が歩みを前に進めるのです。

それも卒業という瞬間を目指しながら。

また春が来て僕らは新しいページに絵の具を落とす
友達になった、おいしいものを食べた、たまにちょっとケンカをした

学童保育士という仕事はあまり知名度がありません。

教師とかと違って映画やドラマやJ-POPの歌詞になることは少ないけれど、他人同士から始まって、ただの他人ではなくなっていくのは、学校の先生とかと同じです。

ケンカすることがあっても、お誕生日のときだけとくべつなケーキを食べたりして、そうして友だちになっていく、みたいな瞬間を積み重ねていくのです。

それぞれの理由を胸に僕らは何度目かの木漏れ日の中で
間違ってないはずの未来へ向かう
その片道切符が追い風に揺れた今日は 花マルだね

未来はそれぞれで、お別れになってしまうことになったとしても、それは間違いではないよね。

前向きな気持ちで、最後の1日まで過ごそうね。

そんな風に考えたら、この歌詞のひとつひとつが完璧に符合するような気がしてしまって、わたしはもう、途中から狩歌どころではなくなってしまったのでした。

おしまい。


それ以来わたしはこの曲を大好きになってしまいました。

その日のうちにiTunesで買ったよね…。

YouTubeにない後半の部分も、曲調がどんどん変わってすっごくいい曲だからぜひ聴いて♪

ところでUNISON SQUARE GARDENは、以前に別の曲の歌詞のことも考えたことがあります。

hacosato.hatenablog.com

こちらもとても楽しい曲✨

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