こんにちは。
岡崎体育『感情のピクセル』、めっちゃ流行ってる! 動画も歌詞も楽しくてうれしい!!
どう考えても同じ曲とは思えない。
— カツセ (@katsuse_w) 2017年5月11日
感情のピクセル | 岡崎体育https://t.co/CaTMD0VaXE pic.twitter.com/UWT55vc2LR
岡崎体育の新曲『感情のピクセル』
— 哲史∞本日メトロ大阪▶︎5/20バンハラ (@music_uw25) 2017年5月11日
6月14日にリリースされるAlbum「XXL」収録曲
バンドを従えてかっこいい楽曲に仕上がってると思い聴いていると
後半からのギャップにやられて
このMVは何度でも見れる!
一度聴くと歌詞やメロディが頭から離れない
本当に才能の塊の人だ!! pic.twitter.com/JAVOjDNsmb
デビュー直後にアニソンタイアップされちゃうタイプの若手ギラギラバンドって感じの曲とMVの雰囲気で始まってカッコつけまくってくるのに、サビで「どうぶつさんたちだいしゅうごうだわいわい」「みんなでたのしくうんぱっぱのぶんぶん」なのほんと〜〜によすぎ……岡崎体育めっちゃ好き……
— もぐもぐ (@mgmgnet) 2017年5月11日
岡崎体育の新曲のPV。この2枚が同じ1曲であると誰が考えるだろうか。#岡崎体育 pic.twitter.com/8CnvvblcPU
— Taken (@takentien0220) 2017年5月11日
前半はロックバンドのあるあるをなぞっているのに、サビのところでがらっと雰囲気を変えているギャップがたーのしーー!
歌詞もAメロBメロとサビとではぜんぜん趣が違ってる!
でも単にぜんぜん違う世界を並べてるだけじゃなくて、そこにははっきり工夫が見えるんですよー!
きょうはこの話をしたくて来ました。
歌詞あるある
この曲の前半はどう考えても「デビュー直後にアニソンタイアップされちゃうタイプの若手ギラギラバンド」のクリシェをなぞっている感じ。
それを確かめるために、狩歌をやってみようと思います。
説明しよう! 狩歌とは、歌詞を使ったかるたのゲーム。J-POPなんかの音楽を流しておいて、歌詞に出てきた言葉をかるたとして取る! レアな言葉ほど高得点だぞ。最後に集計して、いちばん得点の高いひとが勝者だ! 2番の歌詞は繰り返しが多いことがあるので、ワンコーラスだけを流すのがテンポよくあそぶコツだぞ!
というわけで、やってみることにします。
(急に思いついたので仲間もなくひとりでカードを広げたところ)
(曲を流し終えたところ)
以上だ! 2+5で7点だ!
カードはよく出てくる単語(「君」とか「夢」とか)は1点、あんまり出てこない単語(「過去」とか「向こう」とか)は5点、そしてほとんど出てこない単語(「フォーチュンクッキー」とか「前前前世」とか)はカードにありません。
ということは、この得点を集計することで、歌詞のあるある度を計ることができるはずです*1。
というわけで、歌詞を見比べながら数えてみると、こういう感じになります。
歌詞サイトにはまだ『感情のピクセル』の公式が出ていなかったので、今回は動画から文字を起こしました。
ちゃんとやると21点取れることがわかりますが、そんなことよりこれを見ると、はっきりとした傾向が見えます。
ロックバンドあるあるをなぞっているAメロBメロには、1点や2点の単語しかありません。
そして、そこから外れているサビの部分には、4点や5点しかありません。
つまり、AメロやBメロは、歌詞の観点でもあるあるをなぞっているのだということがわかります。
そして、サビではそのあるあるから離れていることもわかります。
主張したいことの裏付けがちゃんと取れました! やったぁ!
ABメロと、サビとの橋渡し
(ここからは完全に蛇足)
重ねた手のひら
風の色はもう見えなくなる
怯えて震える
身体を焼き尽くしていく
もう何もかも信じたくはない
I don't believe it anymore cause I feel sad
記憶を辿ったって何も変わらないよ
AメロBメロの歌詞、歌詞の世界は少し暗い感じ。
動詞の部分だけを抽出してみると「重ねた」「見えなくなる」「怯えて」「震える」「焼き尽くしていく」「信じたくはない」「辿ったって」「変わらないよ」というように、ネガティブなイメージの言葉が並んでいることがわかります。動作主がはっきりしていないのも特徴的。
どうぶつさんたちだいしゅうこうだわいわい
おいでよブタさん ウサギさん キツネさんにゾウさん
みんなでたのしく うんぱっぱのぶんぶん
おなかぽんぽんぽんのやっほー
チーターさんはかけっこじゃまけないぞ
過去を消し去るように疾走れ
Don't give a fxxk with me
一方でサビは、特に前半は漢字が一切なく、かなだけで構成されていてちゃんと子ども用の歌してます。
列挙が多いのはわたしの中では子どもの歌の特徴だと思っています。なんか知らないけどみんなそういうの好きなんだよな…。
あとはてあそびの要素も入っていて、鉄板感がすごいです。列挙してててあそびでっていうと、有名なのだと『アブラハムの子』が近いと思うんだよな。
こんな風にそれぞれ別の世界を描いていたはずなのに、後半でだんだん互いに侵蝕し合ってきてしまうところが、わたしすごく好きです。
っていうか、侵蝕し合わないと一曲に収まっている意味ないもんね!
分かち合えない生き物としてのカテゴライズの壁
乾いた果実も一度乾くともう戻れない
どうぶつさんたちだいしゅうこうだわいわい
そろそろワニさんもなかまにいれてあげて
みんなでたのしく うんぱっぱのぶんぶん
おなかぽんぽんぽんのやっほー
さすがに気の毒になってくる
思いやりという名の道徳的価値の再認識
ワニさんもなかまにいれてあげて
どっちかっていうとロックバンドのほうが子ども歌に歩み寄っている感じが強いですが、子どもの歌は繰り返しが好きで、ロックバンドの歌詞は繰り返しを嫌うとわたしは思っているので、これもめっちゃナットクって感じ!
乾いた果実も一度乾くともう戻れないって歌詞には、進化の過程で別々の道を選んだは虫類とほ乳類が、もう同じグループとして「だいしゅうごう」することはないということを暗示しているようで示唆深いですね!
ところで、ここで想起されることがひとつあります。それは歌詞の冒頭です。
重ねた手のひらこの時点では手のひらは重なっていました。ふつうはこういうときには別々のひとの手を重ね合わせるでしょうから、これはきっと、「どうぶつさんたち」の仲間としての絆を表すものだと思うのです。
しかし、歌詞はこう続きます。
風の色はもう見えなくなるつまり、一度は確かだと思えていた絆が、風のように見えなくなってしまうことを示しているのです!
わかりますか! この歌詞前半の主人公が!
もう何もかも信じたくはない
I don't believe it anymore cause I feel sad
記憶を辿ったって何も変わらないよ
この歌詞前半の主人公は「ワニさん」なのです。
仲間だと思っていたほ乳類たちから裏切られ、「何もかも信じたくはない」気持ちをこの歌詞は歌っているのですよ!!
ここで途切れてしまったのは、ただの無線ではありません。
ワニさんとほ乳類たちとのディスコミュニケーションこそが、この歌詞の中心なのです!
というわけで、岡崎体育『感情のピクセル』でした。
今回は狩歌を終えたあたりで力を使い果たした感じがあったけど、それでも元気に生きています♪
次回もお楽しみに。
*1:実際に歌詞によく出てくるかどうかはまた別問題です。これについては後日調べてみようと思っています