5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

きゃりーぱみゅぱみゅ『ファッションモンスター』

ファッションモンスターはだれ?
こんにちは。
大変お待たせいたしました。「5日と20日はJ-POPを読もう。」なんていうタイトルなのに20日号がこんなに遅れてしまってごめんなさい…。
ファッションモンスター(通常盤)
今回は今週のお題「ハロウィン」を踏まえまして、ハロウィンっぽい曲を選びました。というわけできゃりーぱみゅぱみゅ『ファッションモンスター』を取り上げたいと思います。 先週の時点ですでに読み終わっていたのですが、文章にまとめる時間がなかったのです…。
歌詞はというと、

ファッションモンスター
このせまいこころの檻もこわして自由になりたいの
ファッションモンスター

っていう感じ。サビのメロディの突き抜け感が爽快! 「こころの檻もこわして自由になりたい」っていう歌詞の内容も突き抜け感があるので、メロディと歌詞が連動がとてもいい感じです。
でも、歌詞はよく考えてみると基本的なところがよく分かりません。ファッションモンスターってだれ? きゃりぱみゅがファッションモンスターなの? それとも別のだれか? そのへんを今回、最終的には探っていきたいと思います。
歌詞はこちら→http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND134537/index.html
構成はこちら→イントロA-B-サビ-C-A-B-サビ-サビ

ひらがな…

ところでこの歌詞、一見して分かるように、ひらがながめっちゃ多いです!
もしかして、きゃりーぱみゅぱみゅは漢字使えないのでは…。

不安になって確認してみましたが、きゃりーぱみゅぱみゅちゃんと漢字使ってます。よかった。

あの交差点で みんながもしスキップをして
もしあの街の真ん中で 手をつないで空を見上げたら
もしもあの街のどこかで チャンスがつかみたいのなら
まだ泣くのには早いよね ただ前に進むしかないわいやいや

↑コレきゃりーぱみゅぱみゅ『PON PON PON』の歌詞です。きゃりーぱみゅぱみゅが歌詞に漢字をあまり使わないなんてこともなさそう。中田ヤスタカさん漢字使えるみたいだし。
ということで『ファッションモンスター』のひらがなの多さは狙ってやってるのだといえそうです。
私はこの歌詞をじっくり眺めて、どれが漢字でどれが漢字でないか、ルールを抽出することに成功しました。基本的にひらがなかカタカナなので、どういうときに漢字が使われているかを見つければOKですね。
・ルール1:漢語は漢字で
ここでは、漢字を音読みしてできてる単語を漢語と呼ばせてください。「自由」「感覚」「螺旋模様」なんかがそう。「螺旋」とかは難しいのでひらがなで綴ることもありますが「じゆう」や「かんかく」がひらがなで書いてあったら小学校の掲示物みたいですごく変な感じです。
「自由」vs「事由」や、「感覚」vs「間隔」みたいに、漢語は同音異義語が多いので、漢語ってひらがなで書くと読みづらくなってしまうものなのだと思います。同音異義語を避けるために、漢語は漢字で表記されているみたいです。
・ルール2:固い事物は漢字で
それから、固い事物は漢字で表記されています。「檻」「鉄の首飾り」なんかがそう。
実は最近、私ギャルっぽい字を書く練習をしているのですが←、ひらがなってカーブが多くて文字に個性が出やすくて、ギャルの特徴が出やすいのですが、漢字ってそういう要素が少なくて、全体のバランス以外ではギャルの特徴があまり出ないなぁと感じていたのです。漢字って角張っていて、ビジュアル的に固そうなイメージ。漢字のそういう特徴が「檻」とか「鉄」っていう言葉と相性がいいと思うのです。
・ルール3:短い単語は漢字で
こればかりは例外も多いのですが、短い単語は漢字が選ばれているようです。「いい子」「誰」「生きたいのに」ってあたりがこのルールに該当します。

  *  *  

ということでまとめてみると、ルール1とルール3では、文字としての読みやすさを基準に漢字かひらがなが選ばれています。そして、ルール2では言葉のイメージを軸に漢字かひらがなが選ばれていました。
的な感じで、ちゃんとしたポリシーにのっとって表記が決められているので、この歌詞、妙にひらがなが多いのにとても読みやすく感じます。ひらがなにすることによる同音異義語を丁寧に避けたり、表記で工夫したりしているからこそ、こんなにすらすら読めるのだなぁと私は思っています。みんな気をつけて! きっと中田ヤスタカは作詞の策士だぞ!!←

ファッションモンスターってだれ?

さ、さて(汗)、冒頭の疑問に立ち返ってみましょう。ファッションモンスターって、だれでしょうか?

おもしろいって いいたいのに いえないなんて つまらないでしょ
おなじになって いい子でなんて いたくないって キミもそうでしょ

1番のAメロを引用してみました。「キミもそうでしょ」って言っているのは、だれでしょう。ファッションモンスターが言っているようにも思うし、ファッションモンスターに主人公ちゃんが尋ねているようにも見えるし。いったいどっちでしょうか。
というわけで、私は、ちょっとインテリっぽくフロイトとかを持ち出して考えてみることにしました。自我の問題です。
が、自分で言いだしておいてなんですが、私はこの分野ぜんぜん詳しくないので(ぇ)、詳しくはこのへんをご覧ください。
http://www.geocities.jp/psyco_sera/p1/p1_004.htm
今回は「エゴ」「イド」「スーパーエゴ」の3者を持ち出して考えてみたいと思います。個人的に噛み砕いて解釈しておきます。
イドっていうのは安っぽくいうと本能のことで、生きてくためのモチベーション、って感じで、自分の内面の悪魔、って感じ。
スーパーエゴというのは自分の内面の良心って感じ。イドとは反対の立場にいる人で、自分の内面の天使、って感じ。
そしてエゴはイドとスーパーエゴの間に板挟みになって、もまれながら生きてるコーディネイターさん。
この3人がそれぞれの人の内面に住んでいる、っていうような解釈でいます。合ってるかな…。
それを踏まえて、きゃりーぱみゅぱみゅ『ファッションモンスター』読んでみましょう。
この曲、「ファッションモンスター」はイドです。でもって、主人公はエゴです。そういう前提で、続きを見てみましょう。

おもしろいって いいたいのに いえないなんて つまらないでしょ
おなじになって いい子でなんて いたくないって キミもそうでしょ

この曲は全編にわたって、ファッションモンスターが主人公に語りかける体裁になっています。フロイトの用語として言い換えれば、イドエゴをあおって、揺さぶっているような状態です。イドはおりこうさんなんて退屈だと思っていて、おもしろいと思ったらおもしろいって言いたいし、だれかとおそろいを強要されるなんていやだと感じています。
この歌詞でイイのは「キミもそうでしょ」ってところ。イドエゴを揺さぶっているようなのがとてもよく現れていて甘美な魅力を感じます。と同時に、この言葉は第四の壁を抜けて私たちの元へも響いてきます。ファッションモンスターは言うのです。
「この曲を聴いてるあんただって、だれかと同じの“いい子”はつまらないと思ってるでしょ?」

ってね。

ファッションモンスター
このせまいこころの檻もこわして自由になりたいの
ファッションモンスター

ファッションモンスター
鉄の首飾りをはずしてただ自由にいきたいだけ
ファッションモンスター

1番のサビを引用しました。この部分もファッションモンスターの語りです。ファッションモンスターが壊したがっている「このせまいこころの檻」は、置かれている状況を端的に表していますね。スーパーエゴの意向を受けて、エゴイドの行動を拘束しにかかります。その拘束が「このせまいこころの檻」であり「鉄の首飾り」なのでしょう。
「檻」と「首飾り」。どちらも、漢字で表記されているのが特徴的です。そして「固いもの」つながりでもありますね。歌詞の中で同じ立ち位置のものが、同じような表記になるように工夫されているってわけです。
そんな黒幕のスーパーエゴ。歌詞の中に出てこないのかと思いきや、ちゃんと出てきています。Bメロを引用しますね。

だれかの ルールに しばられたくはないの
わがまま ドキドキ このままでいたい

ここに出てくる「だれか」が、すなわちスーパーエゴです。スーパーエゴがルールを作ってイドの行動を拘束しています。それはこの歌詞の登場人物でいったら、「だれか」が「ファッションモンスター」の行動を縛ろうとしているのと同じことです。
登場人物とその役割を表にしておきましょう。

登場人物 フロイトでいうと
ファッションモンスター イド
キミ(主人公) エゴ
だれか スーパーエゴ

ここまで来たら、やっとこの歌詞の全体の構図が分かってきた感じがします。
ファッションモンスターは、人の内面に住んでいる生き物です。だれかと同じが嫌いで、思った通りに生きたいのです。
そんなファッションモンスターは、主人公を「キミ」と読んで、いろんな言葉であおっています。「つまらないでしょ」「キミもそうでしょ」って。
主人公はいまは、ファッションモンスターを檻に閉じ込めています。それは「だれかのルール」があるからなのです。

図にすると、こんな感じです。

この歌詞は、そこから先が描かれていません。最後の連では

このせまいこころの檻もこわして自由になりたいの

って書かれているので、ファッションモンスターがまだ檻の中にいるのが分かります。
でも、私たちは期待しちゃいますよね。ファッションモンスターが檻を壊してしまうこと。
心理学でいったらきっとイドエゴを打ちのめしてしまうのは非常に危険なことなのでしょうが、でもファッションモンスターがもっと前面に出てきたとしたら。
もっと攻めの姿勢の曲が聴けるのではないかな、なんて私は期待してしまったのでした♪



そんなわけで、きゃりーぱみゅぱみゅ『ファッションモンスター』でした。
私は普段、実際の歌い手と歌詞の中での主人公を積極的に絡めにいったりはしない方ですが、この曲の主人公は、きゃりーぱみゅぱみゅ本人とリンクさせて考えることもできそうですね。
きゃりーぱみゅぱみゅは1stアルバムは私的には超傑作でキレそうでした♪ てなわけできゃりーいまとっても順風満帆に見えますが、その人気にあぐらをかきたくなる時期でもあるのかもしれません。
けどね!そんなことないよもっと攻め込むからね!っていうメッセージを、私はこの曲から感じてしまったのでした。そんなわけでこれからも期待しちゃうのでよろしくねきゃりぱみゅ!(←片想い)
次回予告:次回はみやさんのリクにお答えしまして、ゆず『からっぽ』を取り上げたいと思います! 待っててね。

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