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5日と20日は歌詞と遊ぼう。

毎月5日と20日に、J-POPやボカロ曲などの歌詞を読んだり、統計したりしています。twitterは@hacosato。

livetune feat.初音ミク『Tell Your World』

歌詞を読む VOCALOID

ボカロをアイドル読み
こんにちは。
はてなダイアリーには毎週お題があって、それに沿った記事を募っているみたい。今週のお題は「この春、○○はじめます!」だそうです。というわけで、私もこの春、新しく始めたいと思います。
この春、私が始めるのはボカロ曲です。どうぞよろしくお願いします!
Tell Your World EP(初回限定盤)(DVD付)
というわけで、今回はlivetune feat.初音ミク『Tell Your World』を取り上げたいと思います。

君に伝えたいことが
君に届けたいことが
たくさんの点は線になって
遠く彼方へと響く

っていうサビの歌詞。私はお正月にGoogleのCMで初めて聴いて感動を覚えました。超かっこいい☆
人工的なはずのボカロの歌声がこうして自分の耳に届いてくるなんてすごい!って私は思ったし、その歌詞の内容が「君に伝えたいことが…」だなんて、私の感情読まれすぎ!って思いました。
それは歌っているのが初音ミクだから、っていう理由がとても大きいと思います。今回はそのことについて考えてみます。
歌詞はこちら→http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND125617/index.html
構成はこちら→A-サビ-A-サビ-C-サビ

アイドル読み

このダイアリーでは、歌い手と(歌詞の)主人公はとりあえず分けて考えるのがポリシーです。例えば「小さい頃は神さまがいて/不思議に夢をかなえてくれた」という歌詞があります。ここで不思議に夢を叶えてもらっている人は歌い手のユーミンでしょうか? そうかもしれませんが、そうではないかもしれません。こういうとき「不思議に夢を叶えてもらっている人」を主人公と私は呼んでいます。歌い手とは違って、歌詞の中での一人称になっている人が主人公です。主人公歌い手と同一人物かもしれませんが、とりあえず違う人として考えていきます。そのへんについては福山雅治『家族になろうよ』も読んでみてください。
それを踏まえて、初音ミクが『Tell Your World』の歌詞を歌っているのは大事なことだって私は思います。

君に伝えたいことが
君に届けたいことが
たくさんのになって
遠く彼方へと響く
君に伝えたい言葉
君に届けたい音が
いくつものになって
全て繋げてく どこにだって

再びサビの部分を引用してみました。サビの押韻がすごくキレイです。
これを聴くと、耳慣れない初音ミクの声がこう歌うから、初音ミク自身が私たちに伝えたい届けたいと思っているみたい!って私はついうっかり感じてしまいます。初音ミク自身は内発的な意志は持っていないし、私たちはそれを知っているのに、です。
私は主人公歌い手を分けて考えたいと思っているはずなのに、どうもふたつは強く結びついて離れません。ミクが歌うからこそこの歌詞が生きるのだし、この歌詞があるからミクが引き立つんですね。
最初のAメロを取り上げてみましょう。

形のない気持ち忘れないように
決まりきったレイアウトを消した
ふと口ずさんだフレーズを掴まえて
胸に秘めた言葉乗せ空に解き放つの

この歌詞もすごく印象的です。「形のない気持ち」「忘れないように」と、感情にまつわる表現が1行めからびしばし出てきます。これもやっぱり、初音ミクがそういう感情を持っているみたい!と思わせる仕掛けになってますね。
それから、後半の2行。「フレーズを掴まえて」は作曲を、「言葉乗せ」は作詞をイメージさせる歌詞です。これも初音ミクがシンガーソングライターみたいに歌っているような印象を持たせるような歌詞ですよね。まるでミクが自分で曲を作っているみたい。
こんな風に歌い手主人公が強い結びつきを持つことはほかにもときどきあります。例えばAKB48からは何人かソロデビューして曲を出している人がいます。渡辺麻友『シンクロときめき』って曲があって岩佐美咲『無人駅』って曲があるわけですが、どちらも作詞は秋元康です。秋元康は歌い手に合わせて別々の歌詞を書いていることは間違いないことですよね。
そういうことが起こるのは、(曲だけではなく)歌い手自身に価値があるときです。歌い手自身に価値がある人を、私は「アイドル」だと思っています。歌い手がアイドルのときだけ、歌い手と曲の主人公はリンクしていくのでしょう。
つまり私の考え方だとミクはアイドルだし、この曲はミクとは切り離せないのです。

ネット読み

ところでサビの「君に伝えたいこと」って、いったいどんなことなのでしょう?
歌詞を読み進めてみればピンと来るのは1個所だけです。困ったときのCメロ。

一瞬でも信じた音 景色を揺らすの
教えてよ 君だけの世界

私はここだと思います。ずっとミクが私たちに伝えたがっていたのは「教えてよ 君だけの世界」なんじゃないかなと思いました。タイトルにも通じますしね。
ここから先はサビの歌詞が少し変わります。

君が伝えたいことは
君が届けたいことは
たくさんの点は線になって
遠く彼方へと響く

伝え手が「君」に変わってる!
最初、この曲はミクが私たちに伝えている曲でした。ところが最後にはこの曲、私たちが別のどこかへなにかを伝える曲に変わります。
私が注目したのは「遠く彼方へと響く」です。ミクから私たちへのメッセージが伝わったとして、今度は私たちが伝える番です。だとしたらふつうはメッセージの宛先はミクになるはずです。お互いがメッセージを送り合ってこそコミュニケーションでしょ。
でも実際にはそうじゃありません。私たちは別の「遠く彼方」へとメッセージを投げるだけです。どうして?
私はこれ、ネットの特徴を示しているんじゃないかと思いました。特定のだれかにあててメッセージを投げているのではなくて、どこか名前も知らないだれかに向けてメッセージを流すネットの感じが、この歌詞とそっくりです。
考えてみればミクは私の顔も名前も知りません。だからミクの想いは「いくつもの線は円になって/全て繋げてく どこにだって」と歌われます。こっちに向かってまっすぐ飛んでくるのではなくて、一度 円を描いて滞留します。きっと私たちはそこからミクのメッセージを拾いにいくのでしょう。YouTubeのたくさんの動画の中から『Tell Your World』ひとつを選び取る感覚です。ミクは名前も知らない私たちの中のだれかが自分を拾い上げてくれることを信じて、動画に託したメッセージをYouTubeにアップするだけです。それは「円」が「全て繋げてく」と信じる感覚ととてもよく似ています。
そしてその感覚は、私たちも持っています。だから私たちが投げるメッセージもやっぱり「円」になって「全て繋げてく」し、「遠く彼方へと響く」んだと思います。
ミクと私たちは向かい合い、ボールを投げ合っているのではありません。ミクも私たちも同じ側に立って、同じようにしてボールを投げているのです。それなのにだれかが投げたボールを拾うことができるようなコミュニケーションの形態があります。それがインターネットなんでしょうね。



ところでこの曲はGoogle ChromeのCMの曲でしたね。Chromeのアイコンってこんなやつです。
http://www.google.com/intl/ja/images/logos/chrome_logo.gif
私は歌詞を見て、あることに気付きました。歌詞の中で、点が線になり、線が円になる描写がありましたよね。あれ、Chromeのアイコンをイメージしているんじゃないかな?って。
考えすぎかな? その割にはきれいに符合するなぁ。そんなことも思いました。
Tell Your World (feat. 初音ミク)

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↑なんでこんな中途半端なトコで切れるんだよ! クリックすると続きが聴けます♪
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今回は少し頭でっかちな読みになってしまった感じもします。ミクミク言いすぎだよ自分←
次回はこの反省も踏まえつつ、もう一曲だけボカロの曲を取り上げてみたいと思います。というわけで次回は、家の裏でマンボウが死んでるP feat.GUMI『クワガタにチョップしたらタイムスリップした』です。アイドル読みその他封印だよ。まだ見たことのない人は、これを見て何度も何度も泣いたらいいと思うの。

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