こんにちは。
リルネード『サルネ!』の歌詞がもうめちゃくちゃよくできていて好きです🐵
この曲、サルをテーマにしたかわいいアイドルソングなんですけど、
- サルとかわいいなんて両立しなくない?
- そもそもサルをテーマに1曲語り切るほどの情報量サルになくない?
という2種類の疑問がぶわと湧き上がります。
- どうせ奇を衒っているんじゃない?
- よくあるかわいいソングの逆張りなんでしょ?
みたいな予感もあるかも。
ところがこの曲、ぜんぜんそんなことないんですよね。
最後までずっとかわいいし、最後までずっとサル🐵
どういう風なのか、いっしょになぞってみます!
サルの引き出し
この曲、「サル」に関する引き出しがめちゃくちゃ大量にあります。
順になぞってみます。Aメロはこういう感じ。
サルベージした記憶、
わたしたちの前世は何?
先祖はたぶんモンキー? (モンキー?)
開始から3行目で「モンキー」が出てきて、サルへの展開が早い〜!ってなります。
が、この曲、それよりさらに前からサルいるんですよね。「サルベージ」です。
今回のは意味これだと思います。
この言葉知ってたけどさ、歌詞で使うんだ……!っていう意外性があります。偉大。
こんな風に、この歌詞ではサルを音の面と意味の面、両方で拾ってきます。
続くBメロからはさくさくと。
気をつけてても、
たまには木からは落ちちゃうような、毎日なんです
これ知ってる! 「猿も木から落ちる」!
悩み事でも、
小さい山のどこにいるかとかの問題なんです
猿山+お山の大将かな?
気にしてると、いろいろあるけれども それも込みで
うっきうっきしちゃうよね?
「うっきうっき」はもちろんサルの鳴き声!*1
そしてサビ。
あー
まっかっかな顔もかわいいね
ちょい長い手と足もかわいいね
少しずつなんだかぜんぶ違う、それが大切なとこ
サビからはまた少し風情が変わります。
サビでやっと、常人が思いつくサル🐵×アイドルソング🎤感が出るんですよね。
AメロBメロとずっと「サルにこんな切り口が!?」って驚きの連続でしたが、サビはとってもストレート。
だけどストレートだから物足りない、というわけではまったくありません。サビだからこそ直球で刺しにいきたいわけで、そういう意味でとっても印象に残る、大好きな歌詞です。
で、サビの2回し目。
あー
めだっちゃってるのもかわいいね
ちょいすみっこなのもかわいいね
この部分めっちゃよくないです?🐒
サルを見たとき、顔と手足がかわいいのはいいとして、それ以外でどこをどうかわいいとほめよう?と思ったとき、身体のパーツから離れる発想になるのすごく好きです。
そういえば猿山見てると、サルにもいろいろと個性があって、目立っててかわいい子もいれば、すみっこでかわいい子もいるんですよね〜だいぶ前に行った上野公園を思い出しての感想ですけど。
そこにかわいさを見出して、サビの歌詞にできる気概が好きです。
たしかに思い返すと、目立っちゃってるのってかわいいし、すみっこでいるのもかわいいんだけど、ふつうわたしたちが「かわいい」っていうときのバリエーションの引き出しの中にはそういう要素は入ってないんですよね。
だけど思い出すと、あっそういうのもかわいいんだった!ってなるような、その感じがいいなと思います。
自分で自分のことわかってるよ、サルじゃないので
縁語の引き出しもさることながら、もうひとつこの曲でおもしろいなと思うところは、自己言及的なところ。
1番のサビはこういう歌詞。
あー
まっかっかな顔もかわいいね
ちょい長い手と足もかわいいね
2番のサビはこういう歌詞。
あー
まっかっかな顔がかわいいね
ちょい長い手と足がかわいいね
1番だと「顔も」「手と足も」と歌われています。
あれもこれもぜーんぶかわいいな!というニュアンスが感じられます。
だけど2番だと「顔が」「手と足が」と歌われます。さっきは「も」だったのに「が」になった!
「が」になると、改めて見ると……顔がかわいい……あっ、手と足もかわいい……って感じで、それぞれのパーツに再注目している感じが出ると思うんですよね。
かわいさの味わい方が、2番になると一巡しているのです。
しかもこの観点で好きなのは、この続きの部分。
2番のサビではその続きがこうです。
少しだけ昨日となんか違う、それが大切なこと
味わい方が少しだけ変化したことに、この歌詞は自覚的なのです。やば。
というわけで、リルネード『サルネ!』でした。
好きなところいっぱいあっていっぱい書いたんですけど、じつは最初に刺さったところはいままでに書いてないところ。
1番のサビの最後はこうでした。
一番きめるよりもみんなで
一番になりたいな
あなたはどう?
「あなたはどう?」と言われて、正直わたしは自分に問いかけられてる自覚ぜんぜんなくて、てきとうにスルーしていました。
ところが2番のサビで、リルネのみなさんはわたしにもう一度問いかけてきます。
一番きめるよりもみんなで
一番になりたいな
あなたはどうなさる?
なサル!?!?
このときわたしははじめて、歌詞の世界が自分と地続きだと思い知ったのです。第四の壁をこうやって超えてくることあるんだ……。
わたしもみんなで一番になりたいです! あなたはどうなさる?🐵
*1:そんなの園児はみんな知ってると思うんだが、手持ちの国語辞典ひとつも載ってないっぽくて鬱