5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

応援ソングかと思ったけどそうじゃないと思ったけどやっぱりそう - ふぉ〜ゆ〜『大丈夫さ』

明けましておめでとうございます🎍

今年は初めてカウコンを見ながら年越ししました! いつか会場に行ってみたいな!

さてふぉ〜ゆ〜『大丈夫さ』の話をします。

大丈夫さ(君がいれば)
心配ないさ(心配ないさ)
これからも声出して行こうじゃないか

という始まりで、これは底抜けに明るい応援ソングなんだな?って一瞬思います。

だけどよく見ると変なところがあるのです。この曲、もしかして応援ソングじゃないんじゃ……?という疑念が湧くところが最初のターン。

そして、やっぱりそうではなくて、結局底抜けに明るい応援ソングなのでは?と思い直すところがその次のターンです。

コーナーを2つ曲がって、最後に明るいところにたどり着けたらいいなというのが今日のお話です。よろしくお願いします♨️

公式そうな歌詞が見当たらないので、今回耳コピで歌詞を起こしています。 ちがうところあったら教えてください……。

やっぱり前向き明るい応援ソングじゃないと思う!

最初はわたしだって、この曲は聴き手を応援してくれる前向きポジティブ応援ソングで、そこには陰キャな要素も全然なくて、ふぉ〜ゆ〜らしいキラキラした曲だって思っていたんです。

だけど、よく見てみるとそうでもないような感じがしてきます。

大丈夫さ(君がいれば)
心配ないさ(心配ないさ)
これからも声出して行こうじゃないか

冒頭の歌詞の、1行目のところをもう一回ちゃんと見てみます。

大丈夫さ(君がいれば)

「君がいれば」。

「君がいれば」……??

わたし、最初はもちろん(聴き手の)“君”は「大丈夫さ」、“君”は心配ないさ、という意味だと思っていました。

が、「君がいれば」と歌われると、自信がなくなります。

ふつう「君がいれば」「大丈夫さ」と言われたら、大丈夫なのは「君」ではなくて「オレ」なのでは?という疑念が浮かんでくるのです。

ずっと「君は大丈夫!」と応援してくれる曲だと思っていたけど、実は「オレは大丈夫」と自己紹介するだけの曲なのでは?と思えてくるのです。

そうだとすると、それ以降の部分もなんだか腑に落ちます。

今日も一日始まる
いつだってオレは止まらない

「オレ」の話してる。

泣いていたって始まらない
今君と走り出す

「君と走り出す」のは「オレ」側だよな。

ってことはこの曲、実はがずっと自分のことばっかり歌ってるのでは?

それをリスナー(というかわたし)が勝手に応援されてる気になってただけなのでは??

別にそれが悪いことだとか言いたいわけではないんですけど、歌詞の内容とぜんぜん違う印象を初聴で与えることができるならそれは高度な叙述トリックです。

すごいな、よくできた曲だな!っていうのがわたしの途中までの感想でした。

しかしもっと考えるとこの曲、それだけでは終わらないような気がするのです。

やっぱり前向き明るい応援ソングだと思う!

さっき自分が引用した部分は、この曲の中では数少ない、主語が「オレ」か「君」かがわかる部分でした。

それ以外のたいていの部分では、主語がどちらでも取れるように思います。

たとえばサビの部分。

これからも声出して行こうじゃないか

  • これからも(オレ(たち)は)声出していこうじゃないか
  • これからも(君(たち)は)声出していこうじゃないかs

のどちらであっても違和感ないと思います。

また、二人でいっしょに、という描写もあります。

泣いていたって始まらない
今君と走り出す

とか

二人を結ぶココロのLINE 涙も輝いているさ

とかです。

これらは、いままでの部分の解釈からすると、「キミ」が支えてくれるから「オレ」は大丈夫!というメンタリティの現れであるように読めます。

だけど、それが歌われることによって聴き手のわたしたちに届くものがなにもないのかというと、そうでもない気がします。

やっぱり、「オレ」たちが大丈夫なのを見て、「キミ」と呼ばれる聴き手のわたしたちも背中を押される、というのが、担当する側とされる側の理想的な間柄じゃないか、って思うのです。

この曲のタイトルでもある「大丈夫さ」に立ち返ります。

一見、ふぉ〜ゆ〜のみなさんがわたしたちにそう呼びかけているように見えて、実は歌詞の中の「オレ」が自分のことを歌っているのに過ぎません。

ここまでは本当にそうだと今でも思っています。

だけどそこには、文字面だけの意味を超えた効果があります。

そもそもふぉ〜ゆ〜のみなさんは、わたしたちが毎日くじけそうになりながらどんな困難に立ち向かっているのかまでは知らないと思います。

その点について、この曲は誠実です。

安直に「大丈夫さ」という言葉でわたしたちを励ますことをしないのです。

しない代わりに、「オレ」が自分のことを大丈夫さと歌う背中を、わたしたちに見せてくれます。

それを見て、わたしたちはそれぞれ自分の中で、それぞれ自分のだいじょばなさを「大丈夫さ」に変える営みを送れるようになっているのです。

この曲は単にそれをやりやすいように上手に整えられた仕掛けなだけで、わたしたちを直接「大丈夫さ」にしているのは、この曲ではなくてわたしたち自身なのだと思います。

そういうからくりをこの曲の中に感じて、それがいいなと思ったのでこの文章を書きました。


ふぉ〜ゆ〜『大丈夫さ』でした。

そうだとしたらすごいですよね。応援されていると思ってたけどよく聞いてみたら自慢話で、だけどなんだかそれで自分も元気が出る!みたいな。

こういう曲を歌えるのがアイドルって存在なんだよな、って思います。かっこいいよね。

今年も「大丈夫さ」な一年になるといいな〜〜今年もよろしくお願いします!