5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

不器用な接近、花火との距離感 - HoneyWorks『東京サマーセッション』

胸がキュンキュンしています。

ぜんぶこいつのせいです。

「花火大会が来週あるんだってね」
「あーゆー人が多いのは俺は苦手なんだよな」
「あーあ それじゃ誰か他をあたってみっか(怒)」
「やっぱ楽しそうだな結構行きたいかも(汗)」

こんな感じの掛け合いの中からときめきがあぶり出される感じのリア充ソングです。

リア充ソング。

じつは知恵袋にもこういう感じで

ハニワってなんで人気あるんですか?

リア充がいちゃいちゃしてるの見せつけられて胸糞悪いだけじゃないですか?

と書かれてしまってかわいそうですが、
わたしぐらい年をとるとな!そのいちゃいちゃを栄養に生きていけるんじゃ!!
って感じなんですよ…。

そんな話をしていく記事を書きました!*1

HoneyWorks『東京サマーセッション』歌詞(歌ネットへリンク)

パート分けの話

パート分けはこのサイトより下記のとおりです。

ameblo.jp

瀬戸口優(CV神谷浩史) 榎本夏樹(CV戸松遥)
望月蒼太(CV梶裕貴) 早坂あかり(CV阿澄佳奈)
芹沢春輝(CV鈴村健一) 合田美桜(CV豊崎愛生)


美・「やぁ、こんにちは」
春・「こんにちは」
初恋組・Ah____

春・「ねぇ、調子どう?」
美・「普通かな…」
初恋組・Uh____


夏・「花火大会が来週あるんだってね」
優・「あーゆー人が多いの、俺は苦手なんだよな」
夏・「あーあ。それじゃ誰か他をあたってみっか」
優・「やっぱ、楽しそうだな。結構行きたいかも」

あ・「喉渇いたな」
蒼・「これ飲めば?」
あ・「これっていわゆる間接KISS?」
蒼・「意識した?」
あ・「意識した…」
ヤキモチ組・喉は渇いたまんま

春・待ってる左手にほんの少し触れてみる
繋ぎたい 繋ぎたい だけどポケットに隠れた
美・ほんとは気づいてる ほんの少しで届く距離
繋ぎたい 繋ぎたい 本音 背中に隠すの


優・「何怒ってんの?気に障る事しましたっけ?」
夏・「ヒント!何か今日は違う気がしませんか?」
優・「分かった!気にしないでいいよ太ったこと」
夏・「殴るよ?!15センチ切った髪に気づけ」

蒼・「お腹空いたな」
あ・「これ食べて」
蒼・「これっていわゆる手作りクッキー?」
蒼・「夏なのに?」
あ・「夏なのに!」
ヤキモチ組・喉が渇きますね

美・ほんとは気づいてる ほんの少しで届く距離
繋ぎたい 繋ぎたい 掴む 袖口ひいてみる


蒼・「綺麗だね」
あ・「綺麗だね」
ヤキモチ組・Ah____

蒼・「綺麗だよ」
あ・「綺麗だよ」
ヤキモチ組・Uh____


初恋組・遠くから見てただけの
予行組・花火が今目の前に
ヤキモチ組・時を止め帰りたくないよね、今日は


あ・「好きかもね」
蒼・「好きかもね」


男子・待ってる左手に ほんの少し触れてみる
繋ぎたい 繋ぎたい 君を 黙って奪うよ

全員・ほんとは気づいてる ほんの少しで届く距離
繋ぎたい 繋ぎたい ぎゅっと 握り返すよ

初恋組、ヤキモチ組、予行組、っていうのは、それぞれ別の曲に出てくるふたり組のことを指しています。合計6人います。

でも、今回は、MVやほかの曲との関連は念頭におかずに妄想したいと思います。

歌詞だけを見て、この中から6人を見出すのはちょっとむずかしいと思うんですよね…。

わたしの読解力だと、この歌詞の中から男子と女子ひとりずつを見出すのが精一杯。

そういう前提でご覧ください✨

不器用な接近

「やあこんにちは」
「こんにちは」
「ねえ調子どう?」
「普通かな」

この歌詞の冒頭の会話。

これいかにも不器用だと思うんです…。だってこれ…英語の教科書かよ……。

だってそもそも「こんにちは」って普段のあいさつで使うような言葉じゃありません。俺たちのハニワはそんなこなれない言葉を使うようなアーティストじゃねぇんだよ。

だとしたらこの会話の含意はひとつです。

こなれない人間関係を描いている、ということです!

でも「こんにちは」のくだりは女子から話しかけていて、「調子どう?」のくだりは男子から話しかけているんですよね。

お互いに会話の糸口を探しているようなやつ。見ていてほっこりします。おばちゃんがんばってほしい。

「花火大会が来週あるんだってね」
「あーゆー人が多いのは俺は苦手なんだよな」
「あーあ それじゃ誰か他をあたってみっか(怒)」
「やっぱ楽しそうだな結構行きたいかも(汗)」

2連目はさっきとちがうシーン。でも同じく不器用な会話です。

「花火大会が来週あるんだってね」
ってフリで、女子のほうは花火大会に行きたい!ってアピールをしているのは明白です。わたしでもわかるわ。

でもそれを受けて、
「あーゆー人が多いのは俺は苦手なんだよな」
と男子の方は吐露してしまいます。

正直なのはいいことだけど、それは女の子のほうが目指してた流れとちがうんだよ!

「あーあ それじゃ誰か他をあたってみっか(怒)」
と女の子はわざとらしく口をとがらせて、それでやっと男の子が
「やっぱ楽しそうだな結構行きたいかも(汗)」
とすごくむりやりな軌道修正をします。

ここでもやっぱり、会話はお互いすごく不器用です。

「のど渇いたな」
「これ飲めば?」
「これっていわゆる間接キッス?」
「…意識した?」
「…意識した」
のどは渇いたまんま

続く3連はまた別のシーン。

かかか間接キッスって、

これじゃねぇかよふざけんな😡😡😡

この「のどは渇いたまんま」ってところから、結局ひとつの飲み物をふたりで分け合うようなことはなかったんだ、ってことがわかります。

「意識した?」のやりとりといい、このふたりは意識しすぎなんですよね…。

くそっ、他人の恋愛だと冷静に見られる…!! そんなの飲んじゃえばいいんだよ!!とか安直に言える…言えるのに!!

待ってる左手にほんの少し触れてみる
繋ぎたい繋ぎたいけどポケットに隠れた
ほんとは気づいてるほんの少しで届く距離
繋ぎたい繋ぎたい本音背中に隠すの

前半の2行は男子が、後半の2行は女子が歌唱します。

「待ってる左手」「ほんとは気づいてる」って表現で、このふたりはおたがいに手を繋ごうとしているし、相手も同じ気持ちだってことに気づいています。

だけど繋げません。

男子のほうはその気持ちを「ポケットに隠れた」と歌うし、女子のほうは「背中に隠すの」と歌います。

いいですか、ここで重要なのは自動詞と他動詞の対比です。

男子は「隠れた」と自動詞で歌います。繋ぎたい手が思い通りにいかないのを、まるで手が自発的に「隠れた」かのように、自動詞を使って表現します。意気地なしめ!

一方で女子は「隠した」という他動詞でそれを表現します。繋ぎたい気持ちを自分のコントロール下に置いて、自分の意志で「隠した」かのように歌います。この策士め!!

しかも隠れる場所がまたよくて、男子はポケット(外部からはたどり着けないプライベートな場所)、女子は背中(外部からでもはっきり見えるパブリックな場所)なんですよ。誘い受けなのです!!

この構図がこの歌詞全体のそわそわした感じを決定的に表しています。よくできているとしか言えねえ。

花火との距離感

あとなんといってもここ! 好き!!

遠くから見てただけの花火が今目の前に
時を止め帰りたくないよね今日は

紆余曲折あったけど花火大会にこぎつけたわけじゃないですか。

で、「遠くから見てただけの花火が今目の前に」ですよ!

ここのエモについてちょっと語らせてくれ。

ハニワの客層を考えても、この花火大会って隅田川のやつとかそういう電車に乗ってお出かけ系ではなくて、“めっちゃ大規模ってわけではないけどでも地元では毎年恒例の、商工会と市役所とかが開催してる系”だと思うんですよ。

だから、ずっと前から主人公たちはこの花火大会を知ってて、小さいときにはお母さんとかきょうだいとかで連れだって行ってて、4年生ぐらいになったら友だち同士で行ったりして、でも年によってはいっしょに行ける人もいないから行くのやーめた、みたいなテンションで付き合える花火大会なんだと思うんですよ、おばちゃんの地元にもそういうのあるからわかるようんうん。

で、そんな、ぼっちの年だったら「遠くから見てただけの花火」だったはずが、「今目の前に」現れるわけなんです。なぜでしょうか。今年はぼっちじゃないからだよ!!

これって、単に花火のことを指しているのではなくて、意中の相手のことも同時に指しているんですよね。

遠くから見てただけのあこがれのアイツが、いま自分のすぐそばにいる、という感覚が、花火との距離感といっしょなんですね!!

あーエモい。青春ですよ青春。

で、この曲の最後はこういう感じです。

待ってる左手にほんの少し触れてみる
繋ぎたい繋ぎたい君を黙って奪うよ
ほんとは気づいてるほんの少しで届く距離
繋ぎたい繋ぎたいぎゅっと握り返すよ

やっと手をつないで、それを女の子のほうが「ぎゅっと握り返す」シーンで終わります。

たった手を結ぶだけの描写に、これだけの分量。熱量。

でもそれがハニワの真骨頂だし、若いラブソングのたのしいところなのだと思います。


HoneyWorks『東京サマーセッション』でした。はぁ、好き。

いままで取り上げてこなかったんですが、じつはハニワのスローペースで密度の濃いラブソングわたしはとっても好きです。

描写の切り口が圧倒的に新しい感じの曲とかもあっておもしろいので、また別の記事書くね〜〜。

HoneyWorksについては、大人向けに解説しているこの記事が読みやすいと思うのでぜひお読みください〜✨ 少し前の記事だけど、だいたい古びてない、はず。 www.itmedia.co.jp

今年もわたしの地元ではちっちゃい花火大会があります。

平成最後の夏の花火大会。わたしもヤキモチ組みたいな夏を送りたいだけの人生だったよ…。

https://itunes.apple.com/jp/album/%E6%9D%B1%E4%BA%AC%E3%82%B5%E3%83%9E%E3%83%BC%E3%82%BB%E3%83%83%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%83%B3feat-%E7%80%AC%E6%88%B8%E5%8F%A3%E5%84%AA-%E6%A6%8E%E6%9C%AC%E5%A4%8F%E6%A8%B9-%E6%9C%9B%E6%9C%88%E8%92%BC%E5%A4%AA-%E6%97%A9%E5%9D%82%E3%81%82%E3%81%8B%E3%82%8A-%E8%8A%B9%E6%B2%A2%E6%98%A5%E8%BC%9D-%E5%90%88%E7%94%B0%E7%BE%8E%E6%A1%9C/1206728576?i=1206728670&uo=4&at=10lrtS

次回は別の夏曲のお話をしたい予定です。おたのしみに✨

*1:検索でこの記事にたどり着くひとってほぼ全員ハニワがスキなはずなのに、まったくそういう層を無視した内容になってしまった、という致命的な反省を含んだ記事になりました。