こんにちは。
今回は井上あずみ『君をのせて』の歌詞を考えます。
スタジオジブリの「天空の城ラピュタ」主題歌です。
でも、実はわたしはこのアニメを見たことがありません…。
というわけで、今回はアニメの内容とはまったく独立して、歌詞の世界だけのことを考えてみました。
きっかけは、この部分です。
地球はまわる 君をのせてわたしは思いましたね。
いつかきっと出会う ぼくらをのせて
待って! だれを乗せてるの? 「君」なの「ぼくら」なの!?
って思ったのです。
「君をのせて」の直後に「ぼくらをのせて」って出てきます。何をのせているのか、わからないじゃないですかー!
それをうまく考え通せるような設定を、わたしはきょうも妄想していました。
で、考えた結果、以下のことがわかりました。
主人公は、宇宙から地球への着陸を目指しているのですよ!!
そんな話をきょうはします。
宇宙からの視点で
歌詞の最初はこんな感じです。
あの地平線 輝くのは地平線が君をかくすというのは、どういう状況か考えたんですけど。
どこかに君をかくしているから
文字通りに捉えるなら、地球が自転して、地上にいる「きみ」が地平線の向こうに隠れてしまう状態です。
でも、そういう風に観察するためには、ある条件が必要です。
観察している主人公が、地球からは離れたところにいないといけません。
だって、仮に地上から地平線の彼方の「君」を見たとしても、ふたりが同時に自転していれば、いつまで経ったって「君」が地平線の向こうに隠れることはないのです。
つまり、こういうことになります。
「あの地平線 輝くのは どこかに君をかくしているから」という状況を絵にすると、たぶんこんな感じになって、主人公は宇宙空間に浮いてる。 pic.twitter.com/5MeSkumpT7
— ハコサト📦 (@hacosato) 2015年11月19日
というわけで、今回は「君」が地上にいて、「ぼく」が宇宙からそれを見ている、という設定で考えたのでした。
たくさんの灯が なつかしいのは主人公は、宇宙空間から、光って見える地球の表面を見ています。
あのどれかひとつに 君がいるから
「たくさんの灯」とは、地表に見えるたくさんの人工の明かりだと思います。
宇宙には恒星以外でこういうタイプの明かりは見られなかったから、だから主人公はなつかしく思っているんですきっと。
さあ でかけよう ひときれのパン「でかけよう」の宛先は、地球です。主人公は安定した宇宙空間から、地球の周回軌道に乗ろうとしてるのです。
ナイフ ランプ かばんにつめこんで
あとちょっと話がそれるけど、ここでキーがマイナーからメジャーに変わるのは「でかけよう」をうまく表現してて最高だよな!
父さんが残した 熱い想い宇宙の話だと思ったら突然出てくる家族の話。家族はさしずめ小宇宙だよな!
母さんがくれた あのまなざし
この話にはまたあとで触れます。
地球はまわる 君をかくしてふたたび宇宙の話に戻ります。でも地平線が輝く描写がなくなりました。
輝く瞳 きらめく灯
それは、時間が経って「君」がいる場所が「ぼく」から見て裏側になっちゃったからです。
「輝く瞳」と「きらめく灯」は、サイズはぜんぜん違うけど、どちらも光を表しているからシンクロして見えるわけで、こういう描写マジ最高です。
ところでそもそも、最初は「きみ」が地上にいて、「ぼく」が宇宙からそれを見ている、って設定、無理があると思われたのではないかと存じます。
でもですね。
いまから引用するこの部分が、とってもうまくつじつまが合うんですよ。
地球はまわる 君をのせて「地球はまわる 君をのせて」は、まあ許せますよね。
「君」が地上にいるんだから、君をのせて地球がまわることには異存ありません。
でもそれは、現在のことです。
で、ゆくゆくはこうなります。
いつかきっと出会う ぼくらをのせて「いつか」は「ぼくらをのせて」に変わるんですよ!
わかりますか! いまは「君」だけをのせているのに、いずれ「ぼくら」をのせるのです!
「ぼく」は宇宙空間から、地上に降り立つってことなんですよ!!!
…アツくなりすぎた。
「君」ってだれ?
さて、こうまでして「ぼく」が目指そうとしている「君」、いったいどんな存在なのでしょうか。
ここで気になるのが、この歌詞で唯一出てくる人間関係っぽい部分。
父さんが残した 熱い想いここなのでした。
母さんがくれた あのまなざし
ここでは、父と母が1行ずつ登場して、ちょうど対になっています。
一世代前のひとたちは、男性と女性がひとりずつ出てきます。
では、その次の世代はどうでしょう。主人公の世代です。
主人公は、たぶん男の子です。自分のこと「ぼく」と呼んでいるようだし、ナイフとランプを持って旅に出るのが似合います。
その対になるのが、たぶん「君」です。
つまり「君」は女の子で、主人公にとってのヒロインなのです。
でですね、わたし、この「君」はいずれ主人公と結ばれるんだと思うんですよー。
いまは冒険譚で上手に隠蔽されているけれど、これって今後はぜったい恋愛感情に発展すると思うんです!
だって「父さん」と「母さん」という家族の系譜がその前に出てくるんですよ?
そのふたりから受け継がれた「熱い想い」と「あのまなざし」のことが歌詞に出てくるんですよ?
わざわざそれが描かれるなら、それが受け継がれていってしかるべきだってわたしは思うのです!
ここで、この歌詞の登場人物はちょうど下記の表のように整理することができます。
世代 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
一世代前 | 父さん | 母さん |
この世代 | ぼく | 君 |
そしていずれ「ぼく」が新しい「父さん」に、「君」が新しい「母さん」になって、さらに次の世代に、想いやまなざしを伝授するのでしょう。
それ! ぜったいそれ! 帰納的に次の世代がどんどん見えてきたら楽しいもん!
この歌詞はそういう予感を連れてくるのでした。
というわけで、井上あずみ『君をのせて』でした。
実はわたし、ジブリのアニメ通しで見たことがあるのは「となりのトトロ」だけなのです…。
別にポリシーがあるわけじゃなくて、単にそういう機会がなかっただけなんですよう! 見たらぜったい楽しいに決まってる…。テレビで放送するときにみんなといっしょに「バルス!」って言いたいよう…(なんか部分的には知ってる)。
「天空の城ラピュタ」って、天空のお城が出てくるんだと勝手に思っていますが、そのお城って地球の周回軌道からは外れているんですかね? そういう描写あったらいいのにな〜♪次回はできたらback number『クリスマスソング』を取り上げたい気持ちがあります。うまく読めるかなぁ…
(いままでback numberは何度も読もうとしては挫折してきた)。