5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

この浮気男が!! - Mr.Children『CROSS ROAD』


今回はMr.ChildrenCROSS ROAD』の歌詞を考えます。

真冬のひまわりのように 鮮やかに揺れてる
過ぎ去った季節に 置き忘れた時間を
もう一度つかまえたい
という歌詞が、どうもたくさんの人の心を捉えるようです。Amazonのレビューでも、この部分を引用して、
このフレーズはただただ素晴らしい。ファンではないがこれだけは頭を下げて土下座でもして認めようではないか。
とおっしゃっている方がいらっしゃいます。
でも、何が素晴らしいのか、最初私はいまいちわかりませんでした。考えてみたらこれかな?って思ったのあるけど♪
なので、今回はこの部分がはっきりさせつつ、『CROSS ROAD』の歌詞を考えてみます!
『CROSS ROAD』歌詞(歌ネットへリンク)

1. 君を想った唄…じゃねえよ!

この曲の主人公、大変都合のいい感じの男です。
私はありったけの罵倒の言葉を主人公に浴びせたいですね。


この浮気男が! 打倒さるべき女子の敵め!!



私はこの主人公「君」と付き合ってたのに浮気したんだと思ってます。

誘惑に彩られた 一度だけの誤ちを
今も君は許せぬまま 暮らす毎日
この部分とか取り出したらそうとしか読めません! ネットで調べたらだれもそんなこと言ってないんですがどうしてなんだろう自明だからかな…。
浮気だけならまだいいんですが、この主人公はさらに2つの大きな問題点があります。

  1. 「君」や浮気相手に対する誠意がない
  2. 自分に酔っている

以上です。
これからひとつずつ検討していきます。
まず、相手への誠意です。

lookin' for love 今建ち並ぶ街の中で
口ずさむ 『ticket to ride』 あきれるくらい君へのメロディー
1番Aメロを引用しました。が「あきれるくらい君へのメロディー」って何ですかこれは!
「君へのメロディー」は、たぶん「誤解させるようなことしてごめんね。ほんとはキミが一番さ!」みたいなやつだと思うのですよ。それはいいのですが「あきれるくらい」って何ですか!
「あきれるくらい」って何ですか!
自分であきれないでください! ちゃんと毎回誠意を持って彼女さんに接してあげてくださいよ! ここであきれたりしてるからフラれちゃうんですよ!!(っていうかこの流れだとたぶん主人公の方が彼女のことフッてそうだけど!)
冷たい風に吹かれて たたずむマテリアルワールド
立ち止まる cross road さまよう winding road
傷つけずには愛せない
さらに2番Bメロです。「傷つけずには愛せない」って、聞き捨てならないですね。
この部分だけ切り出したら、耳あたりのいい言葉です。愛するゆえに不器用になってしまうこともあるし、傷つけてしまうこともあると思います。
でもですね、この主人公は「君」と向き合って傷つけてしまっているんじゃないですからね。むしろ「君」に背中を向けた結果として、相手を傷つけているのです。
それを「傷つけずには愛せない」という耳あたりのいい歌詞でくるんでしまうのって、ひどいしずるいし打破されるべきだと思います。あとセンスよすぎ。
なお、この歌詞の中には浮気相手に対しての言及はいっさい見つけられませんでした。主人公の内面の描写たくさんあるのに。

都合の良い男の唄

しかもこの男、自分のことを正当化して悦に浸っているのですよ!
1番と2番のサビを引用してみましょう。

誰もが胸の奥に秘めた 迷いの中で
手にしたぬくもりを それぞれに抱きしめて
新たなる道を行く
「新たなる道を行く」とは、要するに「新たなる彼女つくる」ってことだと思います。この主人公は後に二次元に走るのだと思うのですが、とにかくこの時点ではまだ彼女は三次元です。
遠く想い焦がれて はりさけそうな夜も
この手に受け止める つかの間の悲しみは
やがて輝く未来へと
その失恋(というか乗り換え)を「やがて輝く未来へと」とか言ってしまうあたりが、自惚れ乙ほんとに素直な歌詞だなぁと思います。
最後に「真冬のひまわり」のところを考えておきましょう。
真冬のひまわりのように 鮮やかに揺れてる
過ぎ去った季節に 置き忘れた時間を
もう一度つかまえたい
1番のBメロこんな歌詞でした。
主人公はおざなりにしろ、1番のAメロでは一応「君へのメロディー」を歌っていました。「真冬のひまわり」も同じです。
つまり「ひまわり」は主人公が「君」を喜ばすために用意した花束なのだと思います。
主人公は一応「君」に誠意を見せようと花束を用意したりはするのです。
でも、いろいろ変。
まず、どうして真冬なのでしょうか。
それは、ふたりの関係がちょうど真冬のように冷えきってしまっているからです。
そして、どうしてひまわりなのでしょうか。
それは、主人公がふたりの冷えきった関係に無頓着で、むしろ夏のような温度の高い関係だと思い込んでいるからです。
だから冬なのに「ひまわり」なのです。ふたりの関係にぴったりの花、主人公はもう用意することなどできないのです。
この歌詞はそんなことまで織り込んでできているみたいに見えます。
この主人公は全世界の女子を敵に回す悪の権化だし、そんなこと本人はまったく意に介していなさそうです。でも、歌詞の世界は対照的に、主人公の言動が女子を敵に回していることにきちんとそれに自覚的です。
つまり、あの無自覚に見える歌詞も、全部計算ずくだと思うのです。
私がこの歌詞をすごいと思うのは、こんなところ。

というわけで、Mr.ChildrenCROSS ROAD』でした。
今回の『CROSS ROAD』は前にしおれさんにリクエストいただいてた曲です。
しおれさんも「真冬のひまわり」に惹かれていらっしゃったようなので、今回はそこにフォーカスした読みにしてみました。いかがでしたか?

Mr.Childrenは、以前にも何度か取り上げたことがあります。
-オリンピックなのに、大事なのは結果じゃない-『GIFT』 - 5日と20日は歌詞と遊ぼう。
-Mr.Children『HANABI』 - 5日と20日は歌詞と遊ぼう。
-Mr.Children『かぞえうた』 - 5日と20日は歌詞と遊ぼう。

なんかMr.Childrenに対しては、喧嘩売ってんのか的な読み方をしてしまうことが私多い感じしますが、きっと気のせいです〜。

ところで都合のいい男、という読み方は、以前ゆなさんがスピッツ『チェリー』のコメント欄で披露してくださいました。「隠れ都合のいい男」はほかにもいそうですね!
Mr.Children 1992-1995

Mr.Children 1992-1995

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次回は、SEKAI NO OWARI『眠り姫』を取り上げます!