もうすぐ6月。
6月1日は衣替えですけど、衣替えの前に聴いておかなきゃいけない曲があります。
それがAKB48『ポニーテールとシュシュ』です☆
だってこの曲の冒頭見てくださいよー!
カレンダーより早く「カレンダー」と「袖口」を、両方「まくる」という言葉で繋げることによって、近づく夏を表現してるんですよ! なんだそれ。天才かよ。
シャツの袖口まくって
太陽が近づく気配
僕の腕から衣替え
『恋するフォーチュンクッキー』なら
あなたのことが好きなのにこんな感じ。片思いしている女の子が主人公だってわかるし、その子の恋はだいたいうまくいかないことがわかるし、今回もうまくいきそうにないことがわかります。たった4行の歌詞で。
私にまるで興味ない
何度目かの失恋の準備
Yeah! Yeah! Yeah!
ほかにも私はAKB48の曲なら、
を読んだことがあります。どちらも歌詞の出だしがわかりやすくてかっこいいどころか、AKB界隈の曲はだいたい全部そんな感じなのですごいです。みんなもっと秋元さんの作詞すごいって言ったほうがいいよ!
この歌詞すごい。この歌詞すごいから!
『ポニーテールとシュシュ』歌詞(歌ネットへリンク)
『Everyday、カチューシャ』歌詞(歌ネットへリンク)
ポニシュシュの妄想癖
『ポニーテールとシュシュ』、Bメロとサビはこんな感じです。
青い海さわやか! 夏ですね!!
波打ち際で
君と会いたい
裸足の水しぶき
ポニーテール(揺らしながら)
風の中
君が走る(僕が走る)
砂の上
ポニーテール(揺らしながら)
振り向いた
君の笑顔
僕の夏が始まる
でも、このシーンだけを切り取って、主人公の男子が好きな女の子と海に行った曲だ!と考えるのは早計です。
このあとのシーンで、主人公は我に返るからです。
教室に陽が射して教室だったんかい!ヾ(・д・`)
夢の気温が上がった
斜め前の君 見てると
胸が苦しくなってくる
1連には「カレンダー」と「袖口」が出てきましたが、考えてみたら、海にはカレンダーもないし、長袖で行くのも変な感じです。海のエピソードは最初から主人公の妄想だったのです。
好きなんて主人公は、「君」に手が届きません。気持ちを伝える勇気もないし、瞳と瞳が合ったってどうせすぐに逸らしてしまうような、臆病な間柄です。
言えやしないよ
後ろ姿に
気持ちをつぶやく
ポニーテール(切なくなる)
夢の中
君のすべて(僕のすべて)
一人占め
ポニーテール(切なくなる)
片想い
瞳(め)と瞳(め)合えば
今はただの友達
束ねた長い髪Cメロには、歌詞の中の大事な部分が入っていることが多いです。この歌詞でいうと「触れたら消えてく 幻」なんて部分が入っていて、この歌詞全体が妄想であることとよく符合します。
水玉のシュシュ
恋の尻尾は
捕まえられない
触れたら消えてく
幻
それに「恋の尻尾」はポニーテールのことだし、「水玉」はBメロに出てきた「水しぶき」と連動しています。短い歌詞の中に完璧すぎる要素の盛り込み方!
こんな風に『ポニーテールとシュシュ』は、歌詞全体が主人公の妄想であるところにおもしろさがあると思いました。サビだけ聴いても気づかないのに、全体を読めばはっきりわかるようになってるのマジかっこいいです。
おしまい。
1年後のエビカツ
と思ってたんですが、ぜんぜんおしまいじゃなかったです!
『ポニーテールとシュシュ』の発売から1年後、『Everyday、カチューシャ』がリリースされます。この曲、歌詞の世界もポニシュシュの1年後ぐらいを描いているみたいなのです。ファンのみなさんにとっては常識だと思いますが、私はつい最近気づいて感動を覚えました(遅)。
歌詞の冒頭を比べてみましょう。
『ポニーテールとシュシュ』はこんな感じでした。
カレンダーより早く『Everyday、カチューシャ』だと、こうです。
シャツの袖口まくって
太陽が近づく気配
僕の腕から衣替え
太陽がすばらしいですね♪
昨日より
眩しく照りつけ始めたら
真っ白な
Tシャツに
今すぐ着替えて
君を誘いたい
まず、太陽が「近づく気配」だったのに「昨日より 眩しく照りつけ始めた」のが違います。太陽は確実に近づいてきています。
『ポニーテールとシュシュ』の1番のサビは「夏が始まる」だったように、この曲たちの中では、夏は恋の季節です。太陽が近づくということは、恋が近づくということですよみなさん!!
(ちなみに桑田佳祐『波乗りジョニー』でも夏は恋の季節ということになっております。桑田さんは秋元さんとほとんど同年代だからかもしれません)。
しかも、『ポニーテールとシュシュ』では「シャツの袖口まくって」だったのに対して、『Everyday、カチューシャ』では「真っ白な Tシャツに 今すぐ着替えて」になっています。腕まくりするだけなんてその場しのぎの間に合わせじゃないですか! 着替えるぐらいの行動力を発揮するあたり、今年の夏は本気です。
「君」との位置関係も去年とは違います。
『ポニーテールとシュシュ』には「斜め前の君 見てると」というシーンがありました。主人公は「君」の後ろを追いかける存在です。
『Everyday、カチューシャ』には「心の隣で 同じ景色見ながら」ってシーンがあります。
あっ、隣になってる!
そうです。主人公は、ついに「君」に追いついたのです。
追いついたことに伴って、髪型も変わります。
前年の夏の髪型はポニーテールでした。ポニーテールは後ろから見たときにかわいい髪型だと私は個人的に思っています。このページの存在意義についてみんなはもっとよく考えた方がいいです!
やっぱり、うなじだ!ポニーテール - 公式
一方でカチューシャは後ろからだとよく見えません。カチューシャが映えるのは横からでしょうが!
ポニーテールは後ろから。カチューシャは横から。これ、さっきの主人公の位置関係と完全にシンクロします。シンクロときめき。
主人公が変わるように、「君」のほうも変わります。
『ポニーテールとシュシュ』では、「君」はポニーテールの髪型にしています。
ポニーテール(ほどかないで)「君」は、歌詞の最後までポニーテールのままです。
変わらずに
君は君で(僕は僕で)
走るだけ
でも、『Everyday、カチューシャ』は違います。
カチューシャ 外しながら「君」はカチューシャを外してみせます。ポニーテールはぜったいにほどくことがなかったのに、翌年になったらカチューシャを外して微笑んでみせます。髪をほどくのって、心の扉を開くのとなんだか少し似てるよね…(どきどき)。主人公が変わったのと同じように、「君」のほうも少し変わったのです。
君がふいに振り返って
風の中で微笑むだけで
なぜか何も言えなくなるよ
こんな想っているのに…
でも、変わらないこともあります。それは、強いていえばふたりの「関係」です。
『ポニーテールとシュシュ』には、こんなシーンがありました。
好きなんてこの曲は、主人公の片思いだったのでした。
言えやしないよ
後ろ姿に
気持ちをつぶやく
それは、1年経っても同じです。『Everyday、カチューシャ』の最後はこんな感じ。
君が好きだ好きな気持ちは、まだ「言葉にできない」のです。変わったのは「いつか気づくものさ」という、かすかな手応えだけ。
言葉にできないよ
君が好きだ
僕のこの気持ち
君が好きだ
小麦色に灼けるように…
恋はきっと
いつか気づくものさ
本当の恋の始まりは、きっと次の夏に持ち越しなのですね。
というわけで、AKB48『ポニーテールとシュシュ』、『Everyday、カチューシャ』でした。
この世界はさらにこのあと『真夏のSounds good!』、『さよならクロール』と続きます。歌詞は順に
真夏のSounds good !と、前年を踏襲したり、
君が好きだ
波音 Sounds good !
やっと言えたよ
さよならクロールと、視点が変わってみたり、手を替え品を替え同じ物語を教えてくれます。AKB48を追いかけるときっとこういうところが退屈しなくて楽しいんだね!(今日はじめて『さよならクロール』を聴いたレベルの人の感想)。
こんなに好きなのに
砂浜の気持ちを
わかってくれない
今年の夏曲、『ラブラドール・レトリバー』は
ラブラドール走って 波打ち際へこんな歌詞みたい。「水しぶき」「砂の上」「波打ち際」…完全にポニシュシュの世界ですね! あの日、妄想で思い描いていた世界は、ついに今年、現実のものになるみたいです! 楽しみにしよう!!
水しぶき 跳ねながら 僕らを誘うよ
砂の上 追いかけ あの日のように
サンダル脱ぎ捨てて (笑ってる)
初めての キスをしようか?
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次回は、米津玄師『アイネクライネ』をやろうと思います!