5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

未来と過去の間に取り残される言葉-EXILE『道』

こんにちは。

今日はEXILE『道』を取り上げたいと思います。
この曲の1番のサビはこんな感じ。

、今日も青空です
泣き笑いしたあの時
あたりまえが未来に変わる
ちなみに、2番はこうです。
、君と歩いた今日まで
かすかに 動くくちびる
特別な時間をありがとう
待て待て待て。私は思いましたね。
『道』ってタイトルなんだから、1番のほうのサビに「道」を持ってこようよ!
なんで1番は「空」なのよ空関係ないでしょ!

って。
考えました結論を先にご報告いたします。空関係ないと思ってたけど、そんなことなかったです!

今回はそんな私の妄想にお付き合いください。
歌詞(歌ネットへリンク)

動かない未来、動く過去

この曲には、未来と過去が出てきます。そして、未来は静的、過去は動的、という特徴を持っています。

『思い出が 時間を止めた』
今日の日を忘れるなと
見慣れた景色 二度と並べない
思い出の道
1連を引用しました。
ここを含めて、1番は基本的に未来のほうを向いた描写になっています。
「思い出」という言葉に惑わされそうになりますが、この部分はよく読んでみると、いま現在を未来から見るとそれが思い出になる、ってことが描写されているような感じです。立脚しているのは、あくまで未来です。
それがわかりやすく現れているのがサビの部分です。
空、今日も青空です
泣き笑いしたあの時
あたりまえが未来に変わる
「空」は過去よりは明るい未来を想起させる言葉です。また「あたりまえが未来に変わる」はここまで繰り返し確認してきた、現在を未来から見た描写にばっちり相当します。

未来の描写で特徴的なのは、静的な言葉が多いということです。
1行め

『思い出が 時間を止めた』
もそうですが、ほかにもけっこうあります。
空、今日も青空です
さっきも引用したサビの冒頭。空が雷雲で満ちていたりしたら動きもありますが、ここにはそんな描写はありません。風の気配もなくて、単に青いキャンパスのように、静的にたたずんでいるだけです。
「希望」「夢」「愛」話したい
動くな時間
空に叫ぶ
キミを忘れない
サビの後半には「動くな時間」というストレートな表出も登場します。未来に関する描写は、いつだって静的です。

一方で、過去に関する描写はとても動的に綴られます。
動き出す過去が始まるサインは2番の2つめのAメロにあります。

『動き出した 最後の時間』
君に伝えたい言葉
さっき二重かぎ括弧にくくられていたのは「『思い出が 時間を止めた』」でした。
今回くくられているのは「『動き出した 最後の時間』」です。
さっきは時間が止まるので静的、今度は時間が動き出すので動的です。
こんなふうに、両者はくっきり対比しています。

道、君と歩いた今日まで
かすかに 動くくちびる
特別な時間をありがとう
さて、2番のサビを引用しました。1番では「空」だったところ、2番では「道」になっています。
この2番では「道、君と歩いた今日まで」と、これまでの道のりが強調されています。そこにあるのは過去から現在に至る軌跡です。ここに出てくる「道」は過去とすごく結びつきが強いし、しかもそこを「歩く」という動的な行動が付随しています。
「心」「勇気」「友」「笑顔」
嬉しすぎて
溢れ出した
涙が とまらない
サビの後半も、やはり動的な描写は続きます。こんな感情の発露は、1番にはあんまり見られませんでした。やっぱりこの歌詞、過去は動的に綴られるみたいです。

  時制 動静
1番 未来 静的 『思い出が 時間を止めた』
空、今日も青空です
動くな時間
2番 過去 動的 『動き出した 最後の時間』
道、君と歩いた今日まで
涙が とまらない

  *  *  

でも、未来が静的で過去が動的なのは当たり前のこととも思えます。
この曲は、卒業ソングです。
歌ネットの卒業ソングランキングでは、この曲が4位にランクインしています。

このランキングに載っている曲のうち、このブログで取り上げたことのある曲を挙げておきます。

卒業するなら、それまでの間にみんなで大事にしたいのは、未来よりも過去です。だって未来はみんなばらばらだけど、思い出はみんなで共有できるから。この曲が卒業ソングとして、過去を大事に思うのは当然とも言えますね。

言えなかった想い

ところでこの曲、なんだか浮いた場所があります。

ゆっくりと歩き出そう
この道 未来へ続く
さよなら 泣かないで
忘れないよ
離れても 愛しています
この「離れても 愛しています」はなんだ…?って私は思いました。
基本的にこの歌詞には過去の思い出や、これまでの道程が描かれています。そこには感謝の気持ちはあっても、恋愛感情はあんまりないような感じがします。
でもCメロって曲調も歌詞の世界もがらっと変わることが多いし、とても目立つところです。この部分にこんな個所があるなんて…なんだか気になります…。
そんなことを考えていたら、別のあることに気づきました。
この歌詞,全体的に言葉を口にすることがことさら強調された描写が目につくのです。
話したい
空に叫ぶ
かすかに 動くくちびる
こんな風に。
そして、その描写のすぐ近くにはちゃんと話した言葉の内容が描かれていて、何が話されたのか、ちゃんとわかるようになっきいます。
「希望」「夢」「愛」話したい
空に叫ぶ
キミを忘れない
かすかに 動くくちびる
特別な時間をありがとう
こんな感じ。
これを考えに入れると、さっきの「離れても 愛しています」がちょっとわかってくる感じがします。
この「離れても 愛しています」は、もしかして表出されなかったんじゃないかな、って。
つまり、主人公は「愛しています」の気持ちを伝えられなかったのかな、って。
そういう風に考えると、この部分もはっきり像を結ぶ気がします。

この曲は卒業ソングです。主人公は今日を最後にみんなと離ればなれになります。
だから主人公は、みんなに感謝の気持ちを伝えたりしています。でも本当に伝えたいのは感謝とかじゃありません。
自分でだって気づいています。でも主人公は恋心を胸に秘めたままにしようと決心しているみたいです。
この曲は、

涙が とまらない
こんな風に終わります。
この涙はもちろん、みんなと別れるさびしさから来るものでもあるでしょう。
でも私は、それだけじゃないだろうな、って予感がしているのです。

というわけで、EXILE『道』でした。
ほんとは3月中に読もうとしたのですが、なんだか時機を逃しちゃいました…まいっか。
今回は初めてLDH勢の歌詞を取り上げました。もっとLDHやりたいなぁ。いろんな曲読みたいなぁ。
次回は未定です。お楽しみに。
道

↑なんでこんな中途半端なとこで…って感じで切れちゃいますが、クリックするともっと聴けます♪