5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

ゆず『友 〜旅立ちの時〜』

旅立ちの理由
こんにちは。
今回はゆず『友 〜旅立ちの時〜』を取り上げたいと思います。ゆずは以前『からっぽ』を取り上げたことがありますので、よければそちらもぜひ。
友~旅立ちの時~(期間限定盤CD+DVD)
この曲はNHK全国学校音楽コンクール中学校の部の2013年の課題曲です。

このブログではNコンの曲を割と取り上げるようにしております。いままでの分はこんな感じ。

2012年 YUI『fight』
2011年 flumpool『証』
2010年 大塚愛『I ♥ ×××』

さて内容ですが、『友 〜旅立ちの時〜』っていうタイトルを見たら、だいたい歌詞の内容は予想できます。きっと旅立ちの時を前にして、友だちに今までの感謝とか、これからのはなむけの言葉とか、そういうのを綴る歌詞になるのでしょう。私は取り上げたことないですが、いきものがかり『YELL』的なやつだと予想!
そんな気持ちを胸に、私は歌詞を見るわけです。そして、いきなり期待を裏切られることになります。

友 今君が見上げる空は
  どんな色に見えていますか?

歌詞の冒頭を引用しました。おい、ちょっと待てよ! 友はもう旅立ち済みかよ!!
そうなのです。この曲の歌詞は、いきなり友が旅立ち済みのところから始まるのです。それでいいのかよ…?
それをこれから考えてみたいと思います。

歌詞はこちら→https://www.nhk.or.jp/ncon/music_program/kadaikyoku_j.html
(この毎年URLが変わる仕様は何とかならないのか…)
構成はこちら→A-B-A-B-C-A

旅立ちが2度あると思う理由

さっき、歌詞の冒頭を引用しました。冒頭で「友」はすでに旅立ち済みであることが示唆されました。
ところで、この歌詞の最後の1連を引用してみます。

友 さようならそしてありがとう
  再び会えるその時まで
友 僕たちが見上げる空は
  どこまでも続き 輝いてる

待て待て! ここは旅立ちのシーンかよ!
ということで、びっくりすることが分かりました。この歌詞の最初の連では、友は旅立ち済みでした。そしてこの歌詞の最後の連では、友はまさに旅立つところです。この歌詞が時系列の通りだとすると、ちょっとつじつまが合いません。
これをすっきり理解するには、いくつかの理解の方法があります。

  • 実は時系列を逆にたどっているだけ
  • 実は2つの「友」が別の人
  • 実は視点が別の人
  • 実は旅立ちが2度ある
  • 実は冒頭のシーンは旅立ち済みではない

これ以外にもいろいろ選択肢が考えられると思いますが(「友」と「君」が別人とか、)、もう不毛なのでやめようと思いました♪
ここに挙げた5つの中だったら、どの可能性もありだと思います。というわけで、私はいまから11月まで5話連続でこの曲を取り上げてもいいんじゃないかとちらっと思いましたが、リクエストたまってるしやっぱりやめます。というわけで、私はひとつだけを選びました。今回実は旅立ちが2度あるというセンで、この歌詞を考えてみたいと思います。理由? まぁ待て待て。

友 今が見上げる空は
  どんな色に見えていますか?
友 僕たちに出来ることは
  限りあるかも知れないけれど

冒頭の1連を全部引用しました。二人称が単数形なのに対して、一人称が複数形になっています。日本語では単数形と複数形はふつう区別しませんが、この歌詞の場合は文字通りに読むなら、旅立つのは「君」ひとりだけで、残りの「僕たち」はそれを送り出す側だという風に読めます。
ところが、最後の1連の旅立ちは、それとはぜんぜん違います。

友 さようならそしてありがとう
  再び会えるその時まで
友 僕たちが見上げる空は
  どこまでも続き 輝いてる
  同じ空の下 どこかで僕たちは
  いつも繋がっている

もう一度、最後の一連を引用しました。ここには「君」は出てきません。出てくるのは「僕たち」だけです。そして「同じ空の下 どこかで僕たちは/いつも繋がっている」から、どうやら旅立つのは「僕たち」全員なのだと察しがつきます。
ということで、どうも旅立っている人がぜんぜん違うみたい。だから私は、旅立ちが2度あったのだと思ったのでした。

旅立ちが2度ある理由

ところで、重要な問題があります。2度別れがあって、最初はひとりだけ。次は僕たち全員。これなーんだ(なぞなぞ)。
そうなのです。別れが2度あるってシチュエーションがそもそもよく分からないし、最初はひとりだけ、そしてそのあとは全員一気に別れるみたい。そんなシチュあるっけ?
というわけで、私は考えました。私なりの答えはこうです。1度目の旅立ちは小学校の卒業。そして2度目の旅立ちは中学校の卒業。こんな感じでどうでしょう?
1度目の卒業で旅立ったのは「君」ひとりだけでした。なぜなら「君」だけが私立の中学校へ進学し、公立にいく残りの友だちと袂を分かったからです。
この曲は、Nコンの中学生の課題曲です。だからというわけではありませんが、この曲の主人公は中学生です。「僕たち」仲間は一緒の学校に通っていますが、「君」とだけは離ればなれ。こういう読みならうまくいきます♪
「僕たち」はきっと中3です。受験を終えたらもう旅立ちの時期です。だから、こんな歌詞です。

確かな答えなんて何一つ無い旅さ
 心揺れて迷う時も
ためらう気持ちそれでも
 支えてくれる声
気付けば いつもそばに

人生という旅には「確かな答え」なんてありません。受験勉強には答えがあるのにね。この辺の感じは、miwa『春になったら』とよく似ています。
4行めの「支えてくれる声」は「君」の声です。どうして「君」が主人公たちのことを支えることができるのかというと、この登場人物の中で唯一「君」だけが旅立ち済みだからです。受験勉強というイニシエーションを知っているのです。

Wow 遠く 遠く
Wow 終わらない夢
Wow 強く 強く
Wow 新たな日々へと旅立つ時

最後から2番目の連を引用しました。このシーンでたぶん主人公たちは卒業を迎えたのでしょう。「新たな日々へと旅立つ時」って書いてあるし。
この部分でいちばん卒業を意識させるのはなんといっても「終わらない夢」ですね。「終わらない」と否定形が使われているので、なにか別のものが終わるようなことを予期させます。たとえば、中学校生活、とか。この辺はAKB48『10年桜』と近いイメージですね。

友 さようならそしてありがとう
  再び会えるその時まで
友 僕たちが見上げる空は
  どこまでも続き 輝いてる
  同じ空の下 どこかで僕たちは
  いつも繋がっている

こうして、最後の1連へと辿り着きます。こうして読んでみると、この連はもう最初の連とは違う風にしか見えてきません。この連はきっと、中学校からの卒業です。
しかも、最初の1行も最後の1行も空についての話が出てきます。話が元に戻ったら、なんだか終わりとして、とってもすわりがいいのでした。



というわけで、ゆず『友 〜旅立ちの時〜』でした。
前々回の記事とかはいまいち健全とは言いきれなかったので、今回はNHK的にも問題ない、いい感じのシチュエーションをご用意しましたよ。我ながら中学生にふさわしい、しっくり来る妄想ができたと思っています。突飛さには欠けるけどね。いいよね(汗)。
友 〜旅立ちの時〜

友 〜旅立ちの時〜

  • ゆず
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↑ここからだとAメロまでしか聴けませんが、クリックするともっと試聴できる謎仕様です…。
次回は、前に予告までして結局立ち消えにしてしまったフラワーカンパニーズ『深夜高速』を読みたいです。てかもう読み済みなのであとは記事にするだけなのですが、なかなか…。
あと、moumoonやってミスチルやってチャゲアスやって、ってノリで積み残しがたくさんあるのにも関わらず、ボカロやりたいしAKB以外のアイドルぜんぜんやってないのでやりたいし、NEWSとか最近教えてもらったから深めたいし、優先順位がつけられません! でも楽しい!