5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

miwa『春になったら』

3つのキーワードで見えてくるきらきら
こんにちは。3月9日になりました☆ 5日でも20日でもないこの日に、去年も1曲取り上げたので、今年もやります! 書けてよかった♪ レミオロメン『3月9日』もよければどうぞ!
今回 取り上げるのはmiwa『春になったら』。docomoのCMの曲としていまOA中のあの曲ですよ。そうです、私もあのCMを見てハートを射抜かれちゃったクチです−(≧▽≦)→♥ずばっ
春になったら

“春になったら 遊びに行こう”なんて
貸してた教科書のすみっこ 君の落書き残ってる

ってスタート、ちゃんと考えて読めばまだ春になってないんだなっていうのは明白なはずなのに、アタマでは分かってるのに、もう曲調からなにから、ぜんぶぜんぶ春でいっぱいのきらっきらした一曲です♪
今回は、3つの切り口からこのきらきらっぷりを堪能したいと思います。「受験」、「片思い」、それから「開く」の3つのキーワードです。なにそれ、って思ったでしょ? 片思いはともかく、残りのふたつは。これからそれぞれ書いてみたいと思います。読み終わったらきっと、なるほど〜☆って思ってもらえると思いますよ!

歌詞はこちら→http://www.uta-net.com/song/109019/
構成はこちら→AABサビ-ABサビ-サビ'-サビ

切り口その1:受験

この曲、受験生が主人公です。しかもたぶん、中3じゃなくて高3。
…なんて、ちょっと唐突に宣言してみましたが、たぶん、合ってると思うんだよなぁ。だって、受験生だったとすると、いろんな点にちゃんと筋が通るから。
例えばこの曲の最初の最初を引用してみましょう。

“春になったら 遊びに行こう”なんて
貸してた教科書のすみっこ 君の落書き残ってる

なんで春にならないと遊びに行かないんでしょう? 別に次の週末でもいいのに。寒いから? 冬は冬眠だから? それとも春ってなんかのたとえなの?
どれもあんまりしっくりきませんよね?(教科書の落書きに比喩としての春を使うんだとしたら、風流すぎてたぶん伝わんないです…υ)
でも、このふたりが受験生だとしたら? 冬の間はやっぱり、ちょっとだけ受験が気になってしまって、あんまり楽しめないかも。だから春になってから思いっきり羽を伸ばしたほうがいい時間が過ごせそうな気がします。でしょ?
そして、

最近会えなくて なんだかさみしくて

っていう歌詞がそのすぐあとに続きます。どうして最近 会えないんでしょう? さっき教科書の貸し借りをしていましたから、少なくともこの歌詞に出てくるふたりは同じ学校の同じ学年だってことは推理できます。なら、ふつう廊下で出会うとか、すぐ起こりそうなものだけど。
私立の高校とかだと、年が明けると高3は受験に専念ということで、学校に来なくてもいい時期があるみたい。そうでなくても1月2月なれば私立大学の入試が始まって、入試がある人は学校に来なくなっちゃいます。発表に行く人もいるし、合格して手続きに行く人もいるし、なんだかクラスの人数はまばらになりがち。「最近会えなくて」ってそういうことかな?って思っちゃったりしました。それなら確かに疑問点もなくなります!

“大丈夫 大丈夫 きっとうまくいくはず”だって
君からのメール見たら 元気出たよ

弱気になっている歌い手。それをメールで元気づけてくれる「君」。ここを見て、私は確信したのです。わー、これぜったい受験生じゃん!って。「答えなんてどこにあるの?」っていう悩み方は、恋の悩みじゃないもん。家族でも友だちでもないもん。部活とかの大会前ならちょっと近い気がするけど、もっといい答え知ってるもん。
受験だとしたら「春になったら」っていうコトバにも二重の意味が見えてきますよね。もちろん、文字通りの季節としての春。そしてもうひとつは、合格したら、って意味の「春」です。そのふたつをちゃんと重ね合わせて、タイトルを考えてあるんでしょう☆
(追記)11/06/18に動画を差し替えました。この動画の冒頭に、miwaさんが受験のことをはっきりと語っておいでです。私はこの記事を書いたときには、明確に受験のことを下地にした曲だとは知らずに書いていたのでこんなノリです自分♪(←

切り口その2:片思い

サビの最後を見てみてください。

私の気持ち まだ言えなくて

君の気持ち まだ聞けなくて

ってなってます。こんなに「君」から元気や勇気をもらっている歌い手ですが、別に「君」に会えているわけではありません。自分の気持ちも伝えてない上に「君」のほんとうの気持ちもちゃんと聴いたことがありません。だからこの曲、片思いの曲です。
片思いってついつい気持ちがアンバランスになってしまって、自分のことばっかり前面に出てしまったり、不安の渦に足をとられて前に進めなくなったりしがち。そうでなくても感情が一方通行だからどうしてもちょっとずっしりした歌詞になってしまって、春とはあんまり相性のよくないテーマのような。
でもこの曲はぜんぜん違います。感情が双方通行です♪ だからちっとも重くならなくて、不安にもかられなくて、からっとした明るい片思いの曲になっています。そして、その片思いはたぶん、叶うよね☆

くじけそうになるよ 何のために今があるの?
がんばっているけど 答えなんてどこにあるの?

ここまでだったらふつうの一方通行の(それでいてせつない)片思いソングとおんなじ。でもこの曲のスゴいところは、このあと「君」からのメールが届くってところにあります。「君」が元気づけてくれるなら、向こうだって悪い気持ちは持っていないはず。だからこそ、この気持ちに自信を持って、前向きな春の歌をうたうことができるんですね。
それよりもっとすごいのは2番。だって、メールじゃなくて電話なんだもん。しかも、

「今何してるの? 声が聞きたくなってさ」って
君からの電話来たら 勇気出たよ

そりゃ勇気出るでしょ!!だって電話だもん。メールじゃないもん。しかもその理由が「声が聞きたくなってさ」だなんてーー!!d(♥▽♥)b 「君」がここまでアクティブだから、こっちの気持ちももっと前へ進めてもいいんだなって思いにさせられて、そのふたりの推進力がどんどん曲を前へ前へと進めてくれちゃうのです。

切り口その3:開く

この曲、いくつかのものが開くことが大事なカギになっています。開くと、夢が叶うようになっているみたいなのです。しかもそのバランスがちゃんとしてて、1番にひとつ、2番にひとつ、そして最後のサビにひとつ、全部で3つ、開くものがあります。
ひとつずつおさらいしてみましょう。まず1番。

期待してる訳じゃないけど またケータイを開いちゃう

3行めに「開く」があります。で、そのあとを続けて読んでみると、1番では「君」からのメールが届くんでしたよね。メール来ないかなぁ、って思いながらケータイをぱたぱたしてたら、ほんとうにメールが届いちゃうのです。1番はそんなシーン。
では2番を見てみましょう。

なんでもかんでも思い通りにはいかなくて
悩みだって増えるけど 窓を開けたら
少しは気分変わるかな

「開く」が出てくるのは、↑で引用したサビのところです。ここでは実際に窓を開けた描写があるわけじゃないですけど、ここまで書いてあったら窓を開けたって読んでいいですよね? で、気分転換に窓を開けるとその直後、今度は電話がかかってきちゃいます。
2番のこの構図、1番とまったく同じですよね。前に進めないネガティブな気持ち(さみしさとか悩みとか)が最初にあって、それを自分で解決しようとして「開く」が登場します。そしていろんなモノ(ケータイや窓)を開いてみると、君からのメッセージ(メールや電話)が届いちゃう。そんな流れが、1番と2番の両方にあるわけなのでした。すごい。
さて、では最後のサビ。この連には「開く」が直接的な表現では出てきません。でもね、

もうすぐ春が来る 桜の下で 笑顔で会いたいね

って部分を見てみて! この「桜」、まさか花が咲いてないわけないですよね。だって春ですもの。最後のサビで開くものは、桜の花です。
ここまで、3つのものが開いてきました。そして、ひとつめとふたつめが開くと、君からメールが来たり、電話がかかったりしました。メールから電話。「君」との距離が近づいてきていることを感じさせますね。そして今度、もうすぐ春になって、最後のひとつが開こうとしているところです。メール、電話、って来たら順番的に次はたぶん…!!
きっともうケータイはいらないんでしょうね。片思いの曲のくせに、これだから、もう、私この曲すきなんです

つながリンク

前回はコブクロ『桜』を取り上げました。共通点は「大人」。
コブクロ『桜』では、

桜の花びら散るたびに
届かぬ思いがまた一つ
涙と笑顔に消されてく
そしてまた大人になった

っていうサビの部分に「大人」が出てきます。
一方、今回 取り上げたmiwa『春になったら』では、

だんだん大人に近づいていく 不安だって募るけれど
ずっとそばにいてくれるよね?

っていうブリッジの部分に「大人」が出てきます。
どっちも成長っていうキーワードで語ることができそうな使い方で「大人」が出てきます。でもその表現の仕方が圧倒的に違います。『桜』では「また大人になった」になっているのに、『春になったら』では「大人に近づいていく」になっています。『桜』の「僕」はすでに大人なのに対して、『春になったら』の「私」はまだ大人じゃないのです。
これはたぶん、歌い手の年齢とかも反映されていることなのでしょう。歌い手としてのコブクロはすでに大人です。miwaはそれに比べたら、確かに若いですよね。こういうさりげない表現の中に、そんな年齢と大人観がひそんでいるのかもしれないな、そんな風に思った2曲なのでした。歌詞を見て、歌詞を書いた人の年齢を当てるゲームとかできそうですね。きっと「大人」っていうキーワードは大きなヒントになるはず♪



前回の記事はなっかなかうまくまとまらなかったけど、今回はものすごーーくさくさく書けてよかったです! あんまり悩んでばっかりでもいけないなぁ。
そして、最後になりましたが日本中の新1年生のみなさん、受験お疲れさま。そして、合格おめでとう☆ いよいよダブルの意味で春がやってきましたねっ! うぇるかむ♪♪
https://itunes.apple.com/jp/album/chunninattara/id570087533?i=570087535&uo=4&at=10lrtS
↑クリックすると私の好きな転調のところが聴けます。Aメロの直前です。
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