5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

広末涼子『majiでkoiする5秒前』

-1stデートのシンデレラストーリー-
こんにちは。
ARIGATO!
今回は広末涼子MajiでKoiする5秒前』を取り上げます。1997年だって! 懐メロじゃん(殴)。
この曲、映画『私の優しくない先輩』の主題歌としてUmika as Yamako(ってか川島海荷さん)がカバーするそうです♪
歌詞はこちら→http://www.uta-net.com/user/phplib/view_0.php?ID=9705
構成はこちら→AA-サビA-AA-サビA-サビ'A

待ち合わせに注目!

歌詞を一読すれば、この曲が初めてのデートを描いた曲だって分かります。普段だったらここで歌詞を引用してきて、ほらねって顔をする私ですが、今日はしません。…だって、どこもかしこもデートなんだもん! 私はどれかっていうと1連が好きです高まる期待感があって♪
最初の部分は2連ぶんを使って待ち合わせのシーンを描いています。
「5」っていう数字に注目してみます。

人波をかきわけながら すべり込んだ5分前

って部分。渋谷で待ち合わせしたことがちょっと前に書いてあるので、待ち合わせの5分前に到着したっていうことなんでしょう。時間前に到着するあたりが、そして待ち合わせの時間まであのどのくらいなのかを具体的に書いているあたりが、わくわく感であふれていてすごくステキです。
次に「5」が出てくるのは、サビの直後のこんな部分。

“ゴメン!”と笑いかけて 走り寄るまなざしに
MajiでKoiしちゃいそうな約束の5秒前

今度は5“秒”です。約束の時間を心の中でカウントダウンとかしないと5秒前かどうかなんて分かりませんよね! つまりそれだけ心の中で待ち続けてきた大切な時間が、こっから始まるってことなのです。この、ほんの少し先の未来のできごとをタイトルに据えるのすごくいいなぁって思います。

シンデレラに注目!

ところでシンデレラのお話をみなさんご存知ですよね?

むかしむかしあるところにシンデレラという幸せな少女がいました。彼女はお母さんの愛情を一身に受けて育ったのですが、優しいお母さんは病で亡くなってしまいます。そこで代わりにやって来たのが継母+連れ子。ところがこの3人、シンデレラには召使いのように接し、衣食住も満足に与えなかったのです。シンデレラの生活に暗雲が立ちこめます。
ある日お城で舞踏会があるとの知らせ届きました。継母とお姉さまたちは王子のハートを射止めようと、気合いを入れておめかしをして出かけていきました。みすぼらしい身なりのシンデレラは留守番です。
そこへ現れるのが魔法使い。かぼちゃの馬車でお城に連れていってくれるという魔法使いは、シンデレラに門限を言い渡します。夜中の12時です。
シンデレラが魔法によるドレスで舞踏会に行くと、こんなに美しい女性がいたとは!と王子のハートを射抜いてしまいます。そしてふたりは幸せに包まれて踊るのです。ところが気づくと間もなく12時。シンデレラは魔法使いとの約束を思い出し、あわててお城をあとにします。そのときに落としてしまったのが、ガラスの靴。
…という話です。
ところでどうして急にシンデレラの話なんかしたのかというと、この曲の主人公はシンデレラだからです。 はぁ?って思いました? 思いましたね。

ずっと前から彼のこと 好きだった誰よりも
やっと私に来たチャンス 逃せないの

最初のサビです。この時点ではまだ主人公の片思いみたいですよね。

もっと知りたい彼のこと ライバルに差をつけて

2つめのサビです。主人公にはライバルがいっぱいいるんですね…💦
というわけで、彼はみんなの憧れ的な存在。きっとまだ、彼にとっては主人公はたくさんいる女の子のひとりにすぎません。
…あれっ、この関係ってシンデレラと王子の関係と同じです。舞踏会が始まる前の段階ではまだ、シンデレラは王子に憧れを抱いてただけなのですから。
ほら同じでしょ? これだけじゃ足りないですか?
では、別の例を出してみます。恋には障害がつきものですね。この曲の場合、冒頭にさらりと書いてあるここに注目です。

しかめ顔のママの背中 すり抜けてやって来た

ママは私のお出かけにしかめ顔です。シンデレラのお母さんと同じだ!って思いましたよね。この恋、お母さんはなんとなく渋い顔をしている点でもシンデレラと同じなのです。
最後にお別れのシーンを見てみます。

MajiでKissをくれたのは 門限の5秒前
MajiでKonya眠れない 真夜中の5秒前
真夜中の5秒前

こんなフレーズでこの曲は終わります。門限の5秒前が真夜中の5秒前ということは、門限は真夜中なんでしょう。ん? 門限は真夜中? 門限は夜の12時? それって、それって、
あーっ! シンデレラと同じだーっ!
(↑シンデレラストーリーに気が付いた瞬間のわたしの叫び)

メロにも注目!

最後にどうしても触れたいことがあります。この曲の歌詞のメロディへの乗せ方、尋常じゃないほどよくできているのです。

渋谷はちょっと苦手 初めての待ち合わせ

なんていうさりげない脚韻(各節が[e]で終わってる)ももちろんステキです。
が、そんなことより秀逸なのがサビですヤバいっす。

ずっと前から彼のこと 好きだった誰よりも

という部分がありますね。この「ずっと」と同じメロディにどんな歌詞を乗せているのかというと、

やっと私に来たチャンス

もっと知りたい彼のこと

…と、全部「○っと」って言葉で始まっています。しかもそれが全部 異なっていて、当然のように歌詞の中に違和感なく収まっているのです竹内まりやさんすごい!
しかも、この言葉が乗っているところのメロディも歌詞にぴったりなのです。「ずっと前から彼のこと〜」と、小さい「っ」のところも含めて歯切れよく歌えるので、さわやかな曲調と相まって軽快に歌うことができますね。

まとめ

前回 取り上げた大塚愛『I ♥ ×××』とのことも考えてみましょう♪ 前回の曲との共通点は、ラブレター。ほんとはラブレターとかって言葉そのものは歌詞の中に入っていないのでそういうの禁忌にしようと思ってたんですが、やっぱり解禁。
『I ♥ ×××』は全体がラブレター仕立てになってるみたいでした。まあ、ある限られた枠の中でなにかを表現して伝えようとしている、って点では歌も手紙もけっこう似ているんですけど、その中でも私は最後の最後、

I LOVE YOU … ×××

に注目したんでした。「×××」は手紙に使うサインかな?と思って。いろんなモノへの愛を歌う曲ですから、歌として高らかに歌い上げてもいいんですが、そういえば手紙って体裁にしたほうがプライベートな感じもするし、ひとつひとつに丁寧に向き合っている感じがしていいのかも! もしかしたらそういうことも視野に入れて、手紙っぽい体裁をとっているのかもしれないですね。
一方で『majiでkoiする5秒前』ではラブレターはまさにラブレターとして曲の中に登場します。ふつうデートでラブレターなんて渡すっけ?とか思っちゃったりするわけですけど、この部分だけ、ほかにはない特徴があるんです。
この曲、基本的には今現在に足をつけた歌詞になっています。渋谷の待ち合わせ場所にすべり込むシーンも、公園通りを歩くシーンも、グッとくるセリフ探して黙り込むシーンも、ぜんぶ現在として描かれています。でも、手紙だけは違うんですよね。手紙を書いたのは過去です。この曲は基本的に現在から未来を向いているんですが、手紙のシーンだけは過去に広がりを持たせてあります。そして、この部分があるからこの曲の“ずっと前から彼のこと 好きだった”に説得力が出てくるんですね!



わーシンデレラのところとかきれいな読みができて気持ちよかったです☆
最近ずーーーっと女性Vo.の曲ばっかり取り上げてきたので、反省してもうちょっと男性Vo.も混ぜ込んでいきます。
[asin:B00005V2XE:detail]
MajiでKoiする5秒前

MajiでKoiする5秒前

↑クリックすると2013 Remasteredのバージョンがもっと聴けます♪
(2018/05/30加筆修正しました。)