5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

絶望の世界の応援歌 - NEWS『「生きろ」』

NEWS『「生きろ」』の歌詞のことを考えています。

生きろ!
何万回 言ったって
何万回 聞いたって
負けそうにまたなるけど
いいさ 懸命に誓った
仲間の絆を 道しるべに

サビの歌詞はこういう感じ。まっすぐで泥臭い感じの応援歌の体裁に見えます。

そこにはくじけそうになった過去があって、仲間がいて、という、応援歌の定番のようなモチーフも登場します。

でもわたしは、この曲根本的な面で応援歌ではないと思っています。

だってこの曲、目指せるゴールがないのです。

この曲が描くのは、最終的に絶望だとわたしは思っています。

NEWS『「生きろ」』歌詞(歌ネットへリンク)

「生きろ」の今

生きろ!
何万回 言ったって
何万回 聞いたって
負けそうにまたなるけど
いいさ 懸命に誓った
仲間の絆を 道しるべに

サビの歌詞を引用しました。

ここで歌われているのは基本的に現在のことです。

「何万回 言ったって」「何万回 聞いたって」は、現在とは切り離された過去のことではなくていまと地続きのことだし、それは現在を含んだ長い時間にわたって続いていくことのように思えます。

「誓った」のは過去のことかもしれませんが、「道しるべに(して進んでいく)」のはやはりこの曲の視座がある現在です。

生きろ!
敗北を知ったって
0(どん底)にいたって
またやり直せるだろ?
そう授かった命の全てかけて
燃え尽きるまで 生きていく

現在を歌うのはサビの後半でも変わりません。

「敗北を知ったって/0(どん底)にいたって」のあたりには挫折した過去が透けて見えますが、それでも「またやり直せるだろ?」「燃え尽きるまで 生きていく」という風に、現在に焦点を当て直してサビは終わっていきます。

思えばタイトルでもある「生きろ」は、未来でも過去でもなく現在にスポットライトを当てた単語です。

この曲の中心は現在にあり、それが「生きろ」という言葉へと一点透視しているように思います。

「生きろ」の先にあるもの

しかしこの曲、未来のことがほとんど書いてありません。

Aメロから引用します。

僕らの人生(たびじ)には
見えない紐がある
来た道と行く先を
結びつけてしまうような

怯えて立ちすくむ
逃げ出しそうな時には
この歌をその夢を 信じてみよう

これがこの歌詞の始まりです。

「来た道と行く先を/結びつけてしまうような」という描写には過去と未来が含まれていて、一見、現在過去未来の全方位に目配せしたバランスのよい歌詞に見えます。

これがぜんぜんそんなことありません。

果てしない闇へと向かって
飛べやしないとやたら凹んで
笑えるほど愚かで
泣けるほど愛しい
過ぎし日は青春

「果てしない闇へと向かって」って歌詞、すごくないですか…?

向かう先は「果てしない闇」。未来のことは闇の中で見えないのです。そんな応援歌ある?

たとえば応援歌としていまや定番のゆず『栄光の架橋』のことを考えてみます。歌詞には、

もう迷わずに進めばいい
栄光の架橋へと…

という部分があって、わたしたちはそこを目指し安心して進めば、それをゆずが応援してくれるのでした。

NEWS『「生きろ」』にはそういう、輝かしい未来はありません。向かう先は「闇」の中です。

「闇」が即ネガティブなものとは限りません。でも、少なくとも未来が見えないということは言えそうです。

それでもこの時点では救いがひとつあります。「過ぎし日は青春」という部分です。

青春が過ぎていったということは、主人公は青春を抜けていったところにいるということだからです。内実はともかくそれは進歩です。

未来はわからないけど、過去は何かしらのかたちで足跡になっているはず。

それなら今を生き続けることで、自然とどこかにたどり着くことができるかもしれません。

ところが。

2番のBメロはこういう状況です。

守りたいものがあるだけで
強くなっていけると思った
笑えるほど愚かで
泣けるほど愛しい
終わりなき青春

「終わりなき青春」だと!!

主人公、さっきは青春を抜けたと思っていたんですが、どうやら実態はそんなことなかったのです…。

敗北を知ったって
0(どん底)にいたって

っていうサビの部分が表すことが、いまになってわかってきます。

一度は困難を抜けきったと思った主人公も、何かのきっかけですぐにどん底に戻ってしまうのです。つらい。

せめて未来に何か希望はないのか?と思って歌詞を探すと、Cメロにこういう部分があります。

握り合った掌 誓いあった願いが
熱を帯びて強く結びついた絆
信じてたいんだ 光見えない未来を
あの時、君が信じてくれたように

「信じてたいんだ 光見えない未来を」って。

未来には「光見えない」というにべもない形容が付いています。

それでも主人公はそれを「信じていたい」と歌います。

そしてそれがどれほど困難なのかを次の行で示唆します。

「あの時、君が信じてくれたように」。たやすく信じられるようなことならこんな描写されないじゃん…。

つまり未来に光はないし、簡単に信じられるようなものでもないけれど、でもそれを信じる以外にできることはなにもない、という歌詞なのです。

確かにこの曲は一見応援歌です。

でもこの曲が描いている状況は、困難を通り越して絶望を描いているようにさえ思えてくるのです。


NEWS『「生きろ」』でした。NEWS初めてです。

ほんとはわたしだって、ジャニーズの歌詞もっとたくさん見たりしたいんです。

でもできません。

合法的にジャニーズ曲に触れる方法が少ないんですよ…。

おねがいタッキー! ジャニーズはやくサブスク解禁して!!

どうぞよろしくお願いします。

「生きろ」 (通常盤)

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