5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

間接キスひとつぶんの距離 - 夢みるアドレセンス『メロンソーダ』

こんにちは!

ねえ アイドルの前に ひとりの女の子なのよ
平気な顔に見えるでしょ? わたしもプロだから
「ねぇ 誰といるの?」とか 「わたしのこと嫌い?」とか
下書き保存に隠して 「おはよ」って送るの

夢みるアドレセンス『メロンソーダ』、冒頭がめちゃくちゃよくないですか…。

アイドルにとってアイドル業はONのときのお仕事です。でもOFFのとき、ふつうの人間がそこにはいます。

でもわたしは、わたしたちとアイドルとの間に境界線を引いてしまいがち。この曲のことを考えたときもそうだった!

hacosato.hatenablog.com

実際にはアイドルはアイドルであると同時に一般人でもあります。

それを「ねえ アイドルの前に ひとりの女の子なのよ」と、冒頭の1行でまとめてあります。

この短いフレーズ、巧みすぎませんか?

きょうはそういう話です。

夢みるアドレセンス『メロンソーダ』歌詞(歌ネットへリンク)

** ONとOFF。内面と外面。

この曲の最初の部分は、いったいどんなシチュエーションで語っているのでしょうか。

ねえ アイドルの前に ひとりの女の子なのよ
平気な顔に見えるでしょ? わたしもプロだから
「ねぇ 誰といるの?」とか 「わたしのこと嫌い?」とか
下書き保存に隠して 「おはよ」って送るの

気になったのは「下書き保存」です。この中で一番IDFが低そうです。

「下書き保存」できるメディアは多くありません。LINEにはそんな機能ないし、メールなら下書き保存あるけど「ねぇ 誰といるの?」ってしゃべる用途ではあまり使いません。

リアルでしゃべるときにも、電話するときにも、手紙を書くときだって「下書き保存」はありません。

するとありえそうなのは、TwitterInstagramSNSです。

冒頭の部分の状況、はっきりと説明されていませんが、SNSだとするとすっきり解釈できます。

主人公はアイドルです。いまアイドルとしての自分のアカウントに、自撮りをSNSにアップしようとしているところだとするじゃん?

ねえ アイドルの前に ひとりの女の子なのよ
平気な顔に見えるでしょ? わたしもプロだから

この歌詞で大切なのはONOFFの境界です。

いま主人公はONの状態。「わたしもプロだから」とかからONとしてのプライドが見えます。

「ねぇ 誰といるの?」とか 「わたしのこと嫌い?」とか
下書き保存に隠して 「おはよ」って送るの

ただ、いま主人公の心は揺れています。

押し隠さないといけないはずのOFFの気持ちが表面に出てきそうにもなっています。

でもそれはなんとか「下書き保存に隠して」、ONとしてのフレーズを画像に添えて、送信ボタンを押しています。

この歌詞では、地の文はぜんぶ内面の言葉です。そしてカギカッコに入っているのはぜんぶ外向きの言葉です。

つまり、ONOFFと、内面↔外面という2つの軸があって、歌詞はこの4つの象限に位置づけることができると言えそうです。

こんな風に。

f:id:hacosato:20180807162102p:plain

この4象限をすべて紹介しつつ短く収める、という点で、この歌詞の冒頭4行はすごくよくできています。

自己紹介が上手な歌詞、わたしは大好きです!

ところでONOFFの塗り分けだけに注目して、歌詞全体を考えるとだいたいこういう感じになります。

f:id:hacosato:20180807162119p:plain

最初はONOFFのせめぎあいが見どころなのだと思うんだけど、どんどんOFFのほうに引っ張られてしまっているのがよくわかりますね。

間接キスひとつぶんの距離

AメロはSNS活動中を描いていたので、どちらかというとONの発言が多めです。

でもここから先、BメロはどんどんOFFに引っ張られていきます。

あの子のことが好きなのか 聞けないままで夏が終わる
うまれて初めての気持ち 少女漫画みたいな気持ち

さっきから主人公が気にしている「あなた」は、主人公の幼なじみの男の子って感じがあります。

主人公はそんな幼なじみのことが、ONのときでも滲み出てしまうぐらい気になっています。

そして、SNS上ではいちファンとして振る舞っている幼なじみの投稿に一喜一憂しています。

わたしとはちがうべつの「あの子」にリプしたりいいねしたりする「あなた」のアカウントに。

わたしが いちばん可愛いのに どうして あの子ばっかり見るの?
あなたから「好き」と言われたなら アイドルだって辞めちゃうかも
おねがい 名前で呼ばないで これ以上 夢中にさせないで
間接キスが恥ずかしくて 一口も分けてあげなかったメロンソーダ

AメロはSNS上での話、そしてBメロは内面だけの話でした。

でもサビではシーンが変わります。サビでは「あなた」と「わたし」が直接話しています。

ONとしての主人公はいつもアイドルとしての愛称で呼ばれるし、それには慣れています。

でも「あなた」はSNS上とはちがって、リアルでは主人公のことを名前で呼びます。

周りのオタクもそんなこと言いません。主人公の周囲で、主人公のことを名前で呼ぶのは「あなた」ひとりです。

だから主人公は「おねがい 名前で呼ばないで これ以上 夢中にさせないで」と歌うのです。

さらに!

Aメロ、Bメロとはシーンが変わったとはっきりわかるアイテムが、ほかにもあります。

それが「間接キスが恥ずかしくて 一口も分けてあげなかったメロンソーダ」です。

SNS上でコミュニケーションをとれることはたくさんあるけど、リアルじゃないとできないこともたくさんあります。

リアルで会ってたら、飲み物だって分けてあげたりすることがあり得るじゃん!ってわたしたちは気づくんですよー。

この曲の中で「メロンソーダ」だけが、ふたりがリアルでつながり得ることを証明してくれるものです。

そしてそれがこの曲のタイトルであるところもよくできています。

ふたりがリアルでいちばん接近するところにフォーカスが当たっているのです。

そしてそれを「分けてあげなかった」ことから、ふたりがつながりきらなかったことを示しているんですよ!!

あと間接キスひとつぶんの距離まで近づいて、でも結局それ以上近づくことはないのです。なんなん😡 エモかよ😡😡😡

しかもですよ。

この歌詞って基本的に地の文は主人公の内面の描写に終止しているんですが、サビの終わりのところだけは違います。

なんて言えるハズもないよね あなたの居ない街に流れる夏のメロディ

間接キスが恥ずかしくて 一口も分けてあげなかったメロンソーダ

「夏のメロディ」「メロンソーダ」の部分は、主人公を外から見たような映像の描写になっているんです!

ずっと主人公の半径50cmの中で展開してきた歌詞がここで変わるのです。

メロンソーダの泡が弾けて消えるように、真夏の恋が一瞬近づいてまたすれ違うように、ずっとそばにいたカメラは最後のシーンで真夏の空に遠ざかっていくのでした。


ということで、夢みるアドレセンス『メロンソーダ』でした。

先日はじめてTIFというアイドルが出るフェスに行ってきて、無銭だったんですけど夢アド見られたのでとっても楽しかったんです〜。

その道のひとにアテンドしていただいたのでとってもよかった! ほかにも知りたいことたくさんある〜♪

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