こんにちは。
今回はShiggy Jr.『サマータイムラブ』の歌詞のことを妄想したいと思います! この曲、ただのラブソングに見えて、主人公ちゃんの恋愛観がはっきり出てるところが、おもしろいなって思ったからです。
Shiggy Jr.『サマータイムラブ』歌詞(歌ネットへリンク)
ではGO!
夏の昼間の恋
サマータイムを辞書で引くと「夏時間」に飛ばされ、それで引くとこんな風に書いてあります(『スーパー大辞林』より)。
この曲は、そんなサマータイムをテーマにしてます。
サマータイムだから、ずれた分の1時間をいっしょに過ごせるね!って主人公ちゃんは考えています。
別に1日が25時間になるわけでもないのに、どうして毎日いっしょに過ごせる時間が増えるのでしょうか。
私は考えました。
それは、たぶん門限と関係があります。
夏になると、門限が1時間とかのびるのです。なぜなら、1時間伸ばしても十分に明るいからです♪
そんなわけで、主人公ちゃんは伸びた門限を存分にエンジョイしています。
これが、私の考えた、この曲のシチュエーションです。
サマータイムラブ1時間だけ長く側にいられるサビは、主人公ちゃんのそういう状況を描写しています。
神様 この季節がいつまでも続きますように
何でも打ち明けられる 大切な友達ところで、主人公ちゃんの意中の人は、恋人ではなくてただの友だちです。
たった一つの気持が どうしても言えないよ
いつだってあの子の話ばかり
それでも構わない 君に会えるなら
しかも「いつだってあの子の話ばかり」。彼には別に、好きな人がいるみたい。どうする〜!? 絶体絶命!!
でも、そんなことは意に介しません。
「それでも構わない 君に会えるなら」って感じで、カラっとしています。
主人公ちゃんにとっては、淡い恋心の成就よりも、このままいっしょにいられる時間のほうが重要なのでした。
ふたりの関係は、昼間だけの関係なのです。
夕暮れに空が染まりだせば夕暮れは門限のサインです。
並んだ影が伸び始めている
ふたりが別れなければならない時間が近づいていることが、伸びた影で示されています。
ここで、このふたりは決定的に分かたれてしまいます。
大事なことを言い出せないまま「君」は遠ざかっていきます。
振り返らずに遠ざかっていく君の
背中を見つめてる
そして、主人公は見つめるだけです。
「君」が遠ざかるということは、つまり「君」は夜の世界に行ってしまうということです。
そして主人公が見つめるだけということは、つまり主人公は昼の世界から出られない、ということです。
この歌詞では、夜は恋愛の世界なのだと思います。
そして、昼は友情の世界です。
主人公は友情の世界から出られません。それは主人公が昼の世界から出られない(「君の背中を見つめてる」だけな)のとシンクロしています。
「君」が遠ざかっていくとき「君」は夜を目指し、そして恋愛の世界を目指しています。
主人公が立ち止まっているとき、主人公は昼の世界にいて、そして友情の世界から抜け出せずにいるのです。
表にまとめるとこんな感じなのでした。
登場人物 | 行動 | 世界 |
---|---|---|
「君」 | 遠ざかる | 恋愛 |
主人公 | 見つめてる | 友情 |
おしまい。
AKBっぽさ。っぽくなさ。
ところで、話が変わりますけど、この歌詞ってすっごくAKB感ないですか?
あるよね! めっちゃあるよね!!
AKB曲の作詞を担当している秋元さんは先日、ラジオに出演して、作詞のことを語ったそうです。
http://chima.hatenablog.com/entry/2015/06/14/225303
その中に、こういう対話が出てきます。
(秋元康)ありますね。ありますね。シュシュとか。『あ、これシュシュっていうんだ』とかっていうところがあるでしょ?たとえばフラゲなんてまさにそうですね。
AKB曲って、たいてい何かフックになるキーワードがあって、それを敷衍させて歌詞全体ができてる感じがします。
ナギイチしかり、シュシュしかり、カチューシャしかり、フォーチュンクッキーしかり、GIVE ME FIVEしかり…。
フックになるキーワードから歌詞ができていて、しかもそのキーワードが曲のタイトルになることがとても多いイメージ。
それと、私がもうひとつAKB曲の特徴だと思っているのが、歌詞の最初の連です。
AKB曲の多くが、最初の連でシチュエーションの紹介をしています。
たとえば、『ナギイチ』はこうです。
灼熱の砂浜よく晴れた砂浜にいます。水着“ショー”だから、きっと水着を着た人がたくさんいるんでしょう。水着を魅せるのは女性ですから、きっと女の子がたくさんいるんだ。ハーレムだぞハーレム。
寝そべった水着ショー
海のその青さ
空まで染みる
ってぐらいのことがこの4行からわかります。
たとえば『恋するフォーチュンクッキー』だったらこうです。
あなたのことが好きなのに主人公は女の子で「あなた」に片思いしてるけど、どうも成就しそうにないことがわかります。叶わぬ片思いは初めてではありません。主人公は恋する女の子だけど、中学生とかじゃなくて、もう少し年上みたい。うーん、20歳ぐらいかな??
私にまるで興味ない
何度目かの失恋の準備
Yeah! Yeah! Yeah!
ってぐらいのことがこの4行からわかります。
ほかの歌詞もとてもよく似ていて、歌詞の冒頭でシチュエーションを紹介してくれます。
しかもそれが裏切られることは私の知る限りないので、私たちは安心して歌詞の世界に入っていけます(あるいは安心して、PVの中のメンバーたちの映像にうっとりできます♪)。
AKBの話が長くなりましたが、今回はShiggy Jr.『サマータイムラブ』のお話。
『サマータイムラブ』は、AKBの歌詞ととてもよく似ているのです。
まず、タイトルがAKB感あります!
おさらいすると、AKBの曲は、フックになるキーワードがまずあって、そこから歌詞ができている感じでした。
『サマータイムラブ』の場合は、もちろん「サマータイム」がそのキーワードです。
さらに、印象的なのは1連。
サマータイムラブ1時間だけ長く側にいられるこの歌詞の時間は夏。サマータイムが始まって、主人公は「1時間だけ長く側にいられる」ことを喜んでいるみたい。神様に願うぐらいだからきっと主人公は女の子で、側にいたいって直接言えないみたいだから相手はただの友だちなんでしょう。
神様 この季節がいつまでも続きますように
ぐらいのことが最初の連から見えてきます!!
しーかーもー!ですよ!
この曲はサビから始まるので、Aメロまで見てみると、
何でも打ち明けられる 大切な友達こういう感じ。
たった一つの気持が どうしても言えないよ
ふたりの関係とか、大事なことが言えないとか、もうAKB感ばりばりじゃないですか!!
以上の理由から、私はこの歌詞をブラインドテストされたら、
「作詞者は、うーん、秋元さんかな!!」
って言っちゃうと思います。ぶぶー!!
でもこの曲、AKBの世界とはひとつ大きく違うところがあるのです。
それは、主人公が相手に告白しない、ということです。
この差は大きいよ。
AKBの曲の場合は、片思いでも告白しがちです。
たとえばAKB48『大声ダイヤモンド』の冒頭はこんな感じ。
走り出すバス 追いかけてバスに乗った「君」を追いかける主人公は、大切なことを言えなかった、っていうシーンから曲が始まります。
僕は君に
伝えたかった
でも、この曲は告白の曲なのです。最後はこう締めくくられます。
勇気を出して 言おうよ「勇気を出して 言おうよ」と、AKBのみんなは私たちの背中を押します。これが、AKBの歌詞のスタンスです。
黙っていちゃ そのままさ
恥ずかしくなんてないんだ
好きって言葉は最高さ
好きって言葉は最高さ
好きって言葉は最高さ
感情吐き出して
今すぐ素直になれ!
AKBには、告白しない曲もあります。
たとえば『ポニーテールとシュシュ』。
好きなんてこんな感じの主人公です。
言えやしないよ
後ろ姿に
気持ちをつぶやく
でも、Cメロはこんな感じです。
束ねた長い髪「恋の尻尾」を捕まえようとしたり、触れてみたりしています。
水玉のシュシュ
恋の尻尾は
捕まえられない
触れたら消えてく
幻
告白しないなりに、動こうとする気持ちがあります。
それが、Shiggy Jr.『サマータイムラブ』にはありません。
大事なことを言い出せないままAKBだったらこのシーンで、聞こえないように気持ちをつぶやいたりするんだと思います。
振り返らずに遠ざかっていく君の
背中を見つめてる
でも、『サマータイムラブ』では見つめるだけです。
だから、冷静になってみると、この歌詞は秋元さんの歌詞とはやっぱりちょっと違うのです。
ここが大きく違うんだよなぁ。私は、ちゃんと見抜けるようになるかなぁ??(謎の自問)
というわけで、Shiggy Jr.『サマータイムラブ』でした。
なんか後半AKBのほうがボリューム出てしまったよ…。
https://itunes.apple.com/jp/album/samataimurabu/id1001875048?i=1001875148&uo=4&at=10lrtS
このハッシュタグのついたツイートを集めて、リリース年を集計してみたよ!!#俺の股間がの後ろに曲名を入れると性的 pic.twitter.com/o7I6wgnY3D
— ハコサト📦 (@hacosato) 2015年7月25日
次回は、こういうことをしてみたいと思います。お楽しみに!