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5日と20日は歌詞と遊ぼう。

毎月5日と20日に、J-POPやボカロ曲などの歌詞を読んだり、統計したりしています。twitterは@hacosato。

雨の中で生まれ変わる主人公-JUJU『桜雨』

歌詞を読む

こんにちは。
今日は3月9日。毎年この時期は、語呂合わせで桜に関する曲の歌詞を読んでいます。たとえばレミオロメン『3月9日』とか。
今日も例年通り、桜についての曲を取り上げたいと思います。

というわけでJUJU『桜雨』です。

桜を濡らす やさしい雨が
私の頬を伝わってゆく
どうかこのまま 降りやまないで
涙がかわくまでは もう少し
この雨に打たれていたくて
歌詞はこんな感じ。桜よりも雨のほうが存在感がある感じの歌詞です。
実は、東京では桜の季節にはそんなに雨は降りません。天気出現率を見ると、東京都で3月で雨の降る傾向のある日は3日、4月に雨の降る傾向のある日も3日しかありません。これをほかの月との比較でグラフにしてみるとかなりはっきりします。

3月や4月は、決して雨の多いシーズンではないのです。
なのに、桜のシーズンに降る雨って、私たちはそんなに少なくないように思っています。それにこの曲にいたっては桜と雨を取り合わせて、それをテーマにもしています。
この曲の中で雨にはたくさんの役割があるからです。
今回はそれを考えていこうと思います。
歌詞(歌ネットへリンク)

雨の役割

この曲の中で、雨には少なくとも3つの役割があります。この曲にはサビが3回出てきて、そのそれぞれで1回ずつ、雨の異なった特徴が出てくるのです。まずはそれをさらっていきます。
1番のサビから引用していきます。

桜を濡らす やさしい雨が
私の頬を伝わってゆく
これが1番のサビの冒頭です。ここでは雨は涙を隠す、という役割があることがわかります。
それは、先ほど引用した部分の続きも見てみればはっきりします。
どうかこのまま 降りやまないで
涙がかわくまでは もう少し
この雨に打たれていたくて
ふつう「私の頬を伝わってゆく」と表現されるものは涙であることが多いと思います。でも今回頬を伝わってゆくのは雨のようです。雨に打たれているから、主人公が涙を流していることがバレにくくなるんですね。
続いて2番のサビを引用します。
桜を濡らす 日暮れの雨が
ふたりの街を 塗りかえてゆく
どうかお願い 降りやまないで
きれいに私たちの足あとを
洗い流してほしくて
ここで雨の2つめの役割がわかります。雨はふたりの足跡を洗い流す、ということです。
3つめのサビは1番のサビと同じなので、最後のサビも引用します。
ねえ桜雨 私の願い かなえてほしい
どうかこのまま 降りやまないで
どこかで気まぐれにきみが吹いた
口笛の音 消し去るまで
ここでも雨の新しい役割が示されています。雨は「きみ」の口笛の音を消し去る、ということです。
こんな風に、この曲の中で雨は多様な役割を持っています。どうして雨にはこんなにたくさんの側面があるのでしょう。これらの共通点はなにか見つけられるでしょうか。
このことは、少し後で考えてみます。

主人公の願い

話は少し変わりますが、私はこの歌詞を読んで、主人公は過去と訣別したいんだな、と思いました。
曲の冒頭を引用します。

ふたりで歩いた 川べりの道を
ひとりで歩く 三年ぶりに
すこし速すぎる わたしの背中を
きみの口笛 追いかけてたね
冒頭の歌詞は印象的です。3年前には付き合ってた人がいて、いまそのひとはいない、ということが歌詞から示されています。ちょうど当時と同じように桜が咲いて、3年前のことを思い出したのです。
私がいままで読んできたJ-POPだと、桜は1年間を計るための定規のような役割があることが多いように思います。きっと1年に1回のペーズで、わかりやすく花が開くからかなと予想。たとえばAKB48『10年桜』とかがそうでした。
主人公は当時と同じような雨を前にして、昔のことを思い出しています。でも本当は、そんなことしたくありません。昔のことは昔のこと。主人公のそんな想いが、はっきり現れているシーンがあります。2番のBメロです。
想いを想い出にしたくて できなくて
時間だけが過ぎてく (Time flies)
春になれば 言える気がした
凍てついていた“Goodbye to myself”
この歌詞で唯一、地の文に英語が使われているこのシーンはとても目立ちます。それはつまり、それだけ大事な想いなのだという風に私は理解しました。主人公は、想いを想い出にしたいのです。
ここで、保留にしていた雨のことを思い出しましょう。私は先ほど、雨の3つの役割をまとめました。おさらいすると、

  1. 雨は涙を隠す
  2. 雨はふたりの足跡を洗い流す
  3. 雨は「きみ」の口笛の音を消し去る

この3つ。最初は共通点を見出せませんでしたが、いまならわかりますね。この3つはどれも、雨は過去を水に流す役割がある、ということです。
この歌詞、繰り返しはこの1個所しかありません。

桜を濡らす やさしい雨が
私の頬を伝わってゆく
どうかこのまま 降りやまないで
涙がかわくまでは もう少し
この雨に打たれていたい
ここです。過去との訣別、という観点から見れば、ここはすごく印象的なシーンに見えてきます。
主人公は、3年前に切り替え忘れたスイッチを入れ直そうとしています。やさしい雨の中で、主人公はきっと生まれ変わるのですね。

というわけで、JUJU『桜雨』でした。
桜雨

桜雨

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