5日と20日は歌詞と遊ぼう。

毎月5日と20日に、J-POPやボカロ曲などの歌詞を読んだり、統計したりしています。twitterは@hacosato。

遊助『ミツバチ』

主人公は女性とかじゃなくて、
こんにちは。まだまだ暑い日が続きますね。
ミツバチ
というわけで、遊助『ミツバチ』を取り上げたいと思います。かの有名な、

ブーン ブンシャカ ブブンブーン
行き先イケメン ハイビスカス
ブーン ブンシャカ ブブンブンブン
リズムに合わせて羽上下行くぜ

この曲です。
「ブンシャカ」って聞いたことあったのですが、この曲はほんの最近まで聴いたことありませんでした。ちゃんと元ネタまでたどらないとだめですねぇ私。
で聞いてみて、私は思いました。思ったよりふつうじゃん!
(そしてAmazonのレビューなど見ながら数分後)
…いやいや。やっぱりなんか変か。だって、


働き蜂としてハチ社会を支える“ミツバチ”(メスしかいません!!)を、昨今の“婚活ブーム”に代表されるような、積極的でたくましい女性にたとえ、ちょっぴりコミカルで遊び心たっぷりの、夏を盛り上げるのにピッタリの楽曲となっています。
Amazonの「内容紹介」に載っているこの説明は、ちょっと違うんじゃないかと思うのです。前半の文章の骨格を拾うと、「ミツバチを女性にたとえ」ってなっていますよね。女性…?
「積極的でたくましい女性」とか、この曲には出てこないと思うのです。
じゃあ、そうでなければなに? というところも踏まえて、この歌詞を読んでみたいと思います。

歌詞はこちら→http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND97436/index.html
構成はこちら→イントロ-サビ1-サビ2-A-B-サビ1-サビ2-A-B-サビ1-サビ2-B-サビ1-(間奏)-サビ-B

「積極的でたくましい女性」じゃない理由

…と思って調べてみましたが、私が見た限りでは、ミツバチを女性にたとえている部分が具体的に歌詞の中のどこなのか、Amazonははっきり言及してませんでした…。
というわけで予想ですが、この曲の中で「積極的でたくましい女性」を思わせるのは、たとえばサビの部分。

ブーン ブンシャカ ブブンブーン
行き先イケメン ハイビスカス
ブーン ブンシャカ ブブンブンブン
リズムに合わせて羽上下行くぜ

この「行き先イケメン」は、イケメンを行き先にしている、ってことを想起させますね。なるほど、これは婚活っぽい。
2番のサビにもそれを想起させるところが。

ブーン ブンシャカ ブブンブーン(Hey!)
高嶺の花でも関係ねえ(Hey!)
ブーン ブンシャカ ブブンブンブン(Hey!)
草食系とかマジ勘弁(Hey! Hey! Hey! Hey!)

こんな感じ。「高嶺の花」。ぴったりですね。私の手元の『新明解国語辞典』だと、


(前略)狭義では、格が高過ぎて結婚出来ない令嬢を指す
とあります。今回は主人公が女性という設定(のはず)なので男女が逆転していますが、それでも「高嶺の花」は結婚とはコロケーションのいい言葉だし、意味もちゃんと伝わるし、なかなかきちんと結活を思わせます。
また、4行めに出てくる「草食系」も注目です。Wikipediaでは、草食系の概説を「そのいずれもが男性を指したものである」と締めくくっています。「草食系」といえばふつうは「男子」のことで、草食系男子なんて「マジ勘弁」って意味だと考えるならそれはやっぱり「たくましい女性」にぴったり。
で・も。
それはやっぱりちょっと違うんじゃないかと思うのです。
婚活として読もうと思えば読める部分も多々あるのですが、その読み方の足を引っ張る、別の要素があまりに多いと思うからです。

スッゲー 情熱あっから  ゼッテー誰にも渡したくはねー
ダッセー飛び方でもいいから 上へ飛べ デッケー夢持って

たとえばここ。1番のAメロ後半です。情熱があるのはよいことですが、情熱だけでは解決できないことって世の中にはたくさんあります。恋とか。
これって、ポケットビスケッツ『Red Angel』の歌詞にちょっと似ています。『Red Angel』は片想いに見えるのに、相手からの目線に立った言葉がほぼ皆無で、主人公からの一方的な気持ちがひたすら綴られるだけの曲でした。でもそれは主人公にそんな気持ちの余裕がないからそうなっているのだし、その余裕のない切迫感がとてもいい効果をもたらしていました。
でも『ミツバチ』のこの歌詞が婚活を指しているのだとすると、そういう効果は期待できません。情熱があればイケメンがゲットできるわ!的な気持ちは、切迫感ではなくて勘違いだし、聞いている人を置き去りにしてしまいがちな気持ちだと思うのです。
…ということは、この曲は婚活じゃないのか。私はそう思ったわけです。
そもそも「たくましい女性」が主人公だった場合、この男性的な口調が腑に落ちません。いくら「積極的でたくましい」としても、婚活だったらもっとしおらしくしたほうがしっくり来るでしょ? それに「ダッセー飛び方」じゃだめだし、「デッケー夢」っていうのが「玉の輿」とかだったら言い回しが生々しすぎると思うのです。
別の部分を見てみましょう。この曲には、主人公が金科玉条としているものが埋め込まれています。この曲全体の中で、主人公が行動の原理としているのを示す部分は、ここだけだと思います。それは、

ボス 父ちゃんが言った 仲間はずっと宝だから
女王 母ちゃんが言った その人守りなさい

ココです。位置的にもほかの曲でいうCメロに相当する部分。曲全体の中で根幹をなす部分が表れやすいところです。ここに婚活的な要素は…ちょっと見いだせないです。
2行にまたがっていますが、このメッセージを繋げると「仲間はずっと宝だから/その人守りなさい」と読めます。「仲間」と書いてあるからには、やっぱり仲間は仲間です。ここを婚活と絡めて読むのは、ちょっと難しそうなのです。

家族関係だと思う理由

私はこの曲、きょうだい間での絆や連携をテーマにしていると思いました。そもそも働きバチは、みな一匹の女王の子ですから、いわばみなきょうだいです。メタファーという点でもミツバチときょうだいの関係は相性がいいと思います♪
さらに、さっき引用した部分がきょうだい説の大事な論拠になります。

ボス 父ちゃんが言った 仲間はずっと宝だから
女王 母ちゃんが言った その人守りなさい

さっきも触れたように、「父ちゃん」と「母ちゃん」を交えて現れるのがまたおもしろいところ。つまり、仲間や家族の関係性が、この曲の中で重要な位置を占めている、というように読めると思うのです。

ブーリ ブリチャカ ビガッ ビガッ
誰かがテンパりゃ助けに行くぜ
ブーン ブンシャカ ブブンブンブン
ごめん 凹んだら 慰めて(オーレ)

2番のサビを引用しました。「誰かがテンパりゃ助けに行くぜ」「ごめん 凹んだら 慰めて」と、助けたり助けられたりが描かれています。これ、婚活だったらなんかちょっと合わない感じがします。友だちと助け合っているシーンだとしたら、婚活というテーマからずれていってしまうし、イケメンと助け合っているのだとしたら、「誰かが…」なんて表現にはならないはず。
でもこれが、きょうだいだったらどうでしょうか。きょうだい間での助け合いです。おおきょうだい愛だ!

超マニアック 特攻隊長 本日も絶好調
続いて キャプテン飛びだして “針出せ Let's Go!”
花畑に 舞い踊る 蝶々には なれない
でも少しだけでもいい 甘いミツを ちょうだい

1番のBメロを引用しました。ここには何人かのキャラクタが登場します。これも、きょうだいの紹介のシーンとして読むことができます。主人公たちはけっこうな大家族で、きょうだいの人数も多くて、それぞれに個性があって、でも甘いミツという共通のゴールを持っているとイメージできます。

ボス 父ちゃんが言った 仲間はずっと宝だから
女王 母ちゃんが言った その人守りなさい

ガンバンベ! 我ら ミツバチ(Hey!)

もし主人公たちがきょうだい関係にあったら、この曲の金科玉条が「父ちゃん」と「母ちゃん」の言葉であってもぜんぜん問題ありません。主人公はたくさんいれど「父ちゃん」「母ちゃん」は同一のキャラクタを指しているんですから。
そのあとの「ガンバンベ!」の連、「我ら ミツバチ」になっていますね。いままで「踊れ ミツバチ」だったのに、ボスと女王が登場して、主人公たちの結束はいよいよ固まったのですね。
こんな風に、大家族だったら比喩としてミツバチはもうぴったりだと思うのでした。



というわけで、遊助『ミツバチ』でした。
私はいつも、何日間かかけて歌詞を考えたあと、わりと一気にこの文章を書くのですが、読んでから書くまでの間に、
遊助の『ミツバチ』には必ず隠された暗号、意味があるはず
これ読んじゃいました…υ
2chのみなさんは、『ミツバチ』の歌詞を端から端まで吟味しているのがよく分かりますが、翻って私この文章において「ブンシャカ」の意味すらきちんと考えていないのでした。おいおい自分こんなでいいのか…とか思わなくもなかったのですが、冷静になって考えてみるといつもと大差ないレベルでしたので、やっぱりこのノリで行こうと心に決めました。
ほんとはいずれ、できれば2chのみなさんレベルには深読みできるようになりたいです…><。
次回予告:次回はmihimaruGT『幸せになろう』を取り上げるつもりです。
ミツバチ

ミツバチ

iTunesの30秒の試聴切り出しセンスは全般にイマイチだと私思いますが、この曲はステキですね!≧▽≦/
あの・・夢もてますケド。

あの・・夢もてますケド。

広告を非表示にする