5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

Whiteberry『YUKI』

片想いという名の雪
こんにちは。
今年もどうぞよろしくお願いします!
YUKI
今回はWhiteberryYUKI』を取り上げます。

キラキラの中 抱きしめてはなさないで
全てがくずれても何も見えなくても それでもいいから
つつんでいていつも 寒くて死んじゃうアタシ
いつの日かがとけても この恋を最後まで愛して

サビはこんな感じ。
でもタイトルにも出てくる「雪」がなんだかよく分からないのです。雪の中で抱きしめてもらうの? なのに、いつの日か雪はとけてしまうの?
「雪」が恋愛の味方なのか敵なのか、これじゃよく分からないと思いませんか? 雪は恋愛の味方だけど、でもいつの日か終わってしまう? 恋愛はいつか終わってしまうのでしょうか。
この歌詞は「初めての恋」を歌っているんだし、そんなにバッドエンドじゃない気がします。
私はこの歌詞の、最後の1行が大好きです。どうして大好きなのかっていうと、それはね…。

歌詞はこちら→http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND12569/index.html
構成はこちら→A-A-B-サビ-A-B-サビ-サビ-アウトロ

雪=恋、説

私はそれでも、雪とは恋のことだと思います。でもただの恋ではありません。この曲では、雪とは、初恋のことです。

寒がりの指先に今年もまた冷たい雪の声
小さな体も凍っちゃいそう 初めての恋をみつけた
 
どこまでも続くよな白い道に足跡を残して
凍える冬の夜空の下を手をつないで歩いていた

最初の2連に描かれているのは、ふたりの昔のエピソード。つまり、ふたりは幼なじみです。
そのときには、寒がりの指先にかまって手をつないでくれたりする「キミ」がいます。
でも、それはもうずっと前の話。いまの「キミ」は主人公のことを、別にカノジョとして見てくれてるわけじゃない感じがします。

キラキラ雪の中 抱きしめてはなさないで
全てがくずれても何も見えなくても それでもいいから
つつんでいていつも 寒くて死んじゃうアタシ
いつの日か雪がとけても この恋を最後まで愛して

1番のサビの部分を引用しました。
「アタシ」が「寒くて死んじゃう」のはどうしてでしょう? 昔の「キミ」だったら、そこで手をつないでくれたはずなのに。
成長して、関係も少し変わってしまったいま、「キミ」は手をつないではくれないのです。
主人公は昔と変わらず、彼のことが好きなままです。彼のほうは特にそんなこと思ってなくて、主人公のことを、ただ昔からなじみのある女子の一人としか思っていない感じがあります。

  *  *  

そう読むと、ほかの部分もすっきりと整合性が取れます。

キラキラ雪の中 抱きしめてはなさないで

サビのこのフレーズ。雪の中にいることと、抱きしめられることが対等に並んでいます。雪に包まれることと、「キミ」に抱きしめられることは等価です。つまり、雪=「キミ」(=恋)ということなんだと思います。

全てがくずれても何も見えなくても それでもいいから

「全てがくずれても」という言い回しが出てくるのは、すでにたくさんの時間をいっしょに過ごした相手だからです。つまり幼なじみだからです。
失うものがない恋ではありません。もしかしたらいままでの大事な思い出も、まるごと人質にしてしまうような恋を、主人公はしています。

占いなんて信じてないそんな簡単な恋じゃない

だから、占いなんかで解決できるような、どこにでもあるような恋とは違うんですね。

目をそらしたアタシの心の ドアのカギをあずけるよ

こっちには気持ちがあるのに「キミ」のほうはつれない態度です。だから、キミの手でドアを開けてよ!って気持ちがすごく伝わってきますね!
最後のサビもこんな調子で、きれいに読み進めることができます。

白い景色の中ふるえてドキドキしてた
降りつもる想い雪にかわって 今すぐキミに届くはず

「降りつもる想い雪にかわって」なんて、ここまでの読みをまさに言葉にしたような部分です。想いは雪になるのだから、やっぱり想い=雪で間違いはないと思うのです。

土曜の夜だからもう少しそばにいたい

ここはすごく印象的な部分です。
たぶん、いまの「キミ」だって、主人公のことは嫌いではないんだと思います。だってこうして土曜日の夜にそばにいるんだから。でもそれはたぶん文字通り「そばにいる」だけであって、そこから二人の関係が進展したりするようなことにはなっていないんだと思います。主人公の期待に反して、きっと「キミ」は主人公のことなんか見ないで、めちゃイケでも見てるんでしょう。
それでも主人公はあきらめていなくて、降りつもる想いが雪にかわって「キミ」に届くと思っているし、もっとそばにいられたらドアの鍵を開けてくれると信じています。
だから私は、この曲が好きなのです。
けど。
それに気付いてもなお、最後の1行の衝撃にはかないませんでした。

抱きしめられたら そのまま埋もれて春になったらいいなぁ

なんて。
春になったら雪がとけちゃうじゃない!って私は最初、思っていたのです。雪=恋だとすると、雪がとけることは恋が終わることです。でも、それは間違いでした。
雪=恋です。
でもこの恋はただの恋ではありません。片想いの恋です。雪がとけてしまうのと同時に終わるのは、ただの恋ではなくて片想いの恋です。
春になって、片想いが終わるということは、片想いが片想いじゃなくなるってことです。
つまり。
「春になったらいいなぁ」は、きっと「両想いになったらいいなぁ」ってことです。



Whiteberryを取り上げるのは『桜並木道』『夏祭り』に続いて3度目です。
今回から、つながリンクはやめました。つながらないからっていうのもありますが(汗)、なんか、つなげる必要がないような気がして。わざわざつなげようとしなくても、こうして続けて読んでいれば必然的につながりゆくものだし、それに任せたほうが自然だと思うからです。
今後ともよろしくお願いします。
https://itunes.apple.com/jp/album/yuki/id597851562?i=597851696&uo=4&at=10lrtS
WhiteberryiTunesにあることに軽い感動を覚える!(笑)[asin:B001C18KBW:detail]