5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

コブクロ『桜』

-心の中のふたつの花-

こんにちは。3月が来たーっ! うれしぃ☆★ 3月だいすきだー!
桜(通常盤)
んで。私の頭は完全に春モードですので、取り上げる曲も春な感じでいってみます。今回はコブクロ『桜』。
桜ソングは世の中にたくさんあって、これまでこのダイアリーでもいくつか取り上げてきました
その中でコブクロの『桜』はわけても人気のある曲だと思うんですが、歌詞を見るといきなり、えっ? って気分になったりするのです。だって、

名もない花には名前を付けましょう
この世に一つしかない

こんな始まり方だから。「名もない花」って、桜のことでしょう? 名前あるじゃん。なんていうちょっと腑に落ちない思いを抱えつつ、まぁいっかと続きを読んでみると、2連でそのもやもやはどんどんふくらむのです。

土の中で眠る命のかたまり
アスファルト押しのけて

えっっ? 桜でしょ? 地面から桜の芽が伸びるところなんて見たことないけど…。てか、ほんとに桜の曲なの? なんか別の植物と勘違いしてない?
どうしてこんな不思議な歌詞なんでしょう? コブクロが適当な性格だから? 私が神経質だから? そんなことないと私は思います。もし、このもやもやまで計算ずくだとしたら?
そんなことを考えてみたいと思います☆
(ちなみに、神経質なのはそこそこ自覚症状があります…)
歌詞はこちら→http://www.uta-net.com/song/35368/
構成はこちら→イントロ-AB-サビ-ABサビ-サビ-アウトロ


このダイアリーでこれまでに取り上げた桜ソングをまとめてみました。よければのぞいてみてくださいね。

この曲は1行めに「花」って言葉が出てきます。花って、英語でふたつの単語があるのご存知ですか? flowerblossom。私も正確な分類には疎いんですが、イメージでいうとチューリップとかタンポポなんかの草の花がflowerで、桜やりんごなんかの木の花がblossomです♪
で、この分類でいうとこの歌詞、flowerblossomが交互に出てくるような感じになっています。
タイトルは『桜』ですから、1連に出てくる「花」はみんなもちろん、桜のことだと思って読んでいますよね。だから、1連はblossomの連です。
でも2連に描かれているのはblossomじゃありません。

土の中で眠る命のかたまり
アスファルト押しのけて

っていう部分は花を表しているのだと思います。でもこれ、地中の球根からチューリップが芽を出すように、草花をイメージした歌詞と捉えるほうが自然です。私は桜が地面から芽を出したところなんて見たことないですよー。あなたもそうでしょう? だからきっとflowerです。
なのに3連。サビは明らかにblossomです。

桜の花びら散るたびに

と始まる1行めにも、

無くさないで 君の中に 咲く Love...

と締めくくる最後の行にも、どっちにも「桜」がちゃんと出てくるから。どうしてでしょう? 2連の読み方だけ間違っていたのかな?
ところが、サビに続く4連にはこうです。

人はみな 心の岸辺に
手放したくない花がある
それはたくましい花じゃなく
儚く揺れる 一輪花

「一輪花」って私のMac大辞泉には掲載がありませんが、花が一輪だけ咲いているのだとしたらふつうはflowerですよね。flowerに戻った(・_・;)o
5連は3連のサビと同じ歌詞なので疑いなくblossomですが、ここでためらうのは6連。

名もない花には名前を付けましょう
この世に一つしかない

と始まる6連は、歌詞の中身としては1連と同じです。1連ではblossomだと思っていたのですが、blossomだといまいち筋の通らないところもあるんだよなぁ。ここまで読んでみて、明らかにflowerな連もあるから、flowerで読めたらいいなぁ。ためらいの気持ちがわいてきて、なんだか前へ進めません。
そこで私は、ここまでを表にしてみました。

1 blossom
2 flower
3 blossom
4 flower
5 blossom
6

ぁ。交互になってる。だからためらうのをあっさりやめました。きっと6連はflowerです。そうに決まってる。
だとしたら導けることがあります。この歌詞の最初と最後、字面は同じだけど、意味がぜんぜん違う、ってこと。

失恋

というわけで、サビを読んでみることにしましょう。どうしてサビかって? それは、ここが自信を持っていえる数少ない、純然たるblossomの連だからです。
サビは音からも、歌詞からも、前半と後半のふたつに分かれています。前半を引用してみると、

桜の花びら散るたびに
届かぬ思いがまた一つ
涙と笑顔に消されてく
そしてまた大人になった

こんな感じ。「届かぬ思いがまた一つ」のあたりから考えるに、この歌詞失恋がテーマみたい。そういえば「サクラチル」も不合格の証だし、なんかそんな風に、思いが成就しなかったにおいがしてきます
ところで私はずっと誤読していて煙に巻かれていたんですが(汗)、たぶんこの部分は「桜の花びら散るたびに届かぬ思いがまた一つ涙と笑顔に消されてく/そしてまた大人になった」と区切るのが正しい読みみたい。届かぬ思いがあって、その思いが、桜の花散るたびに消されていってしまっているんですね。そういう読みの世界からこの歌詞を見てみると、つまり話の発端は何年か前にさかのぼるということです。何年か前の春に失恋して、また次の年の桜が咲くとそのことを思い出している、っていうイメージです。桜が咲くと、“あの時”の失恋を思い出すんでしょう。
しかもそれが、「涙と笑顔に消されてく」っていうのも味のある表現です。涙と笑顔っていったら正反対の感情を意味しますよね。そんな毎日の喜怒哀楽が、届かぬ思いを消していくのです。生々しい失恋の傷はいつか遠い記憶となって、時間がその傷をいやしてくれているみたい。それをこういう表現で伝えてくるところが巧み。
続いてサビの後半はというと、

追いかけるだけの悲しみは
強く清らかな悲しみは
いつまでも変わることの無い
無くさないで 君の中に 咲く Love…

こうです。さっきの前半は、自分の力ではどうしようもない時の流れを歌っていました。でもこちら後半は、自分の心の中に流れる時間を歌っています♪
ところで悲しみは「いつまでも変わることの無い」ときました。さっきの連は1年に1回というアニュアルなサイクルだったのに対して、こっちは永遠です。その点でも前半とはすごく対照的♪
「無くさないで 君の中に 咲く Love…」って部分は、さっきの失恋読みからすると、(僕が)君の中に“見いだす”Loveなのかな、って感じがします。それをいつまでも変わることなく、ずっとなくしたくないな、と思う歌い手の姿が見えます。でもさっきも触れたみたいに、実際にはその記憶は年に一度、涙と笑顔に消されてしまっていきます。そんな思いを「咲く Love」つまり「桜」に託さなきゃいけないなんて、すごく切ないですね。
記憶は桜に託されました。でも、桜に託している限り、記憶は徐々に薄れてしまいます。永遠を願っているのに、薄れていくしかない運命を選ばざるを得ないというねじれが、サビをぐっとくるものにしています。

名前

さて。最後の連について考えてみましょう。

名もない花には名前を付けましょう
この世に一つしかない
冬の寒さに打ちひしがれないように
誰かの声でまた起き上がれるように

という内容でした。この連のメインのメッセージはなんといっても、「名もない花には名前を付けましょう」ですよね。「名もない花」って桜じゃないとしたらどんな花なんでしょう? ヒントになるところは…
ありました。4連の途中。サビの部分に、

人はみな 心の岸辺に
手放したくない花がある
それはたくましい花じゃなく
儚く揺れる 一輪花

桜以外で、花について説明をしてくれている個所といったらここしかありません。きっとこの心の岸辺の花に名前がなくて、それに名前を付けたいのでしょう。
でも、心に名前がないなんて怖い感じ。そりゃ、何にでも名前があるわけじゃないですけど、だって、パソコンでもなんでも、ファイルを作ったら保存するときには名前を付けますよね? 大事なメールにはタイトルを付けますよね? その名前がアイデンティティです。心に名前がなかったら、まるで心にアイデンティティがないみたい。
ないのかな、気持ちに、名前。
そう考えてみたらその少し前の部分、

何も話さないで 言葉にならないはずさ

もなんだかつながりあうものが感じられます。どうせこの心に名前なんてつきやしないんだ、って投げやりな気持ちになっているようなイメージが感じられるんですよね。
それが、最後の連になると進歩します。繰り返して引用しますが、

名もない花には名前を付けましょう

って歌われるなんて! つまり、気持ちに名前がつくっていうことです。つまり、失恋の傷をいやして、気持ちに整理がつくということなのかな、と私は思ったのです。
さてさて、ここで1連が効いてきます♪♪ 気持ちに整理をつけなきゃいけないこと自体、歌詞の最初の最初の時点でもうわかっているのです。だって何年も前の失恋です。それから人生経験も積んだし、新しい恋もしたかもしれないし、涙と笑顔で記憶は薄れるし、まだそんなに深い傷を抱えているような状況でもないはずで、本当は気持ちに名前を付けなくちゃ、ってわかってはいるはず。だから1行めから、「名もない花には名前を付けましょう」と歌うんでしょう。
なのに、うまくいっていないのは1連まわりの雰囲気からはっきり感じることができます。桜をモチーフにしているのに「名もない花には…」としてしまうちぐはぐ。桜の季節なのに「冬の寒さ」をひきずってしまっているちぐはぐ。
それが長い歌詞を経て、最後の最後になるとちゃんとたどり着くべき場所にたどり着くことができています。そして歌詞の最初と同じフレーズを、ちゃんとした実感を伴って歌うことができています。最初の時点では気持ちとぴったり寄り添いきれていなかった言葉が、最後になるときちんと気持ちと同じ形になっているなんて。これを狙ってこういう構成にしているんだとしたら、コブクロほんとすごいです。
そして、最後まで読んできた私たちには、もうひとつ気付くべきことがあります。心の岸辺には花(flower)がありましたが、でもそういえば「咲く Love…」(つまりblossom)も心の中にいたのでした。あれれ?
私が区別してきたflowerblossomは、本当は同じモノだったのかな?って思ったりもしました。同じイメージをふたつのモノのわけて託しているのだとしたら、それってものすごいテク!

つながリンク

前回はAKB48『10年桜』を取り上げました。今回のコブクロ『桜』との共通点は、舞い散る花びら、です。
AKB4810年桜』では、冒頭にそれが出てきます。

どこかで桜の花びらが
はらりと風に舞うように
誰にも羽ばたく時が来て
一人きりで歩き出すんだ

桜の枝に付いていた花びらが離陸して、風に吹かれて舞うシーンが描かれています。大事なのはそのあと。この桜の花びらに対して歌い手は、「誰にも羽ばたく時が来て」っていう思いを乗せています。この花びらの離陸を旅立ちと捉えているのが見えますね。
一方でコブクロ『桜』においては、サビの部分に舞い散る花びらが出てきます。

桜の花びら散るたびに
届かぬ思いがまた一つ
涙と笑顔に消されてく
そしてまた大人になった

サビのフレーズはこんな感じ。表現に多少の違いはありますが、桜がはらはらと風に踊るシーンを描いているのはさっきの『10年桜』と同じです。でも、決定的に違うのは、そこに乗せている思いです。コブクロはこの桜の離陸を、届かなかった思いと重ね合わせながら見ています。AKB48では旅立ちを意味していたはずの現象が、コブクロの目からすると失恋の思い出をよみがえらせるものみたい。
いろんな歌詞にはいろんなモチーフが出てきて、そのいろんなモチーフが歌い手のいろんな思いを肩に乗せています。でも、意外に世の中は決まり切った言葉でできていて、このモチーフが出てきたらそこに込められる思いってこういう感じだよね♪ってのがある程度決まっているものです。別にそれが悪いコトだとか、私は思いません。だって歌詞って短いんだもん。結婚式にバタフライっていうひねりのあるモチーフを持ってきたとしたら、それ以外の部分はさらっとした歌詞にしたほうが、せっかくのバタフライが引き立ちますよね(参考)。バタフライ以外の部分もひねってひねってひねりまくったら、なんの歌詞なのかわかりづらくなる上に、きっと伝えたいことをちゃんと伝えるために歌詞がすごく長くなっちゃうよ…。
ってわけで、歌詞の世界は7割ぐらいはひねりのない言葉を使ったほうがいいに違いない気がしている今日このごろなのですが、桜は例外です。ひねりのないつもりでいても、そこに託される思いは十人十色。今回は、桜の、しかも花びらが、しかも舞い散るっていう3重の縛りで輪切りにしてみましたが、それでもこんなに託される思いに幅がありました。みんな舞い散る桜に対して、当たり前のように違うイメージを持っているんだな、って感じさせられる2曲でした。



実は私、このダイアリーを始める前から歌詞を読んでます♪ なのでずっと前に、コブクロの曲はひとつ読んだことがあるのです。が、コブクロってほんと、難しいです。前に読んだときもそうだったんですけど、
コブクロの歌詞、よくわかんないから!!
前に読んだ曲(こんな風に文章にまとめたりはしてないです)もわかんなかったけど、今回もわかんなかった…。コブクロが難しいのかなぁ。相性の問題かなぁ。
今回もほんとは、たくさんの積み残しがあるんですよねー。いろいろ大きなナゾは残ったままなのですが、ひとつだけここに書いておこうと思います。個人的に一番ナゾなのは、2連のところ。

あなたと誰かのこれからを
春の風を浴びて見てる

ここです。ぇなんで? 失恋したからでしょ?って反応はアリだと思います。思うんですが、重要なことが私はひとつわかりません。「あなた」ってだれなんだろう? って思いませんか? 二人称、ほかの部分は「君」になっているのに。ここに出てくる「あなた」は「君」とは違うのかな? それとも同じヒトを指していて、なんか改まった気持ちだから「あなた」なのかな? でもこれ改まったシチュエーションかなぁ? 改まってないよなぁ。うーん。
…って悩んで、悩んで、今回はスルーすることにしました(!)。いつかコブクロの曲もずばっと読めるようになりたいなぁ。

桜

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NAMELESS WORLD(通常盤)

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