5日と20日は歌詞と遊ぼう。

毎月5日と20日に、J-POPやボカロ曲などの歌詞を読んだり、統計したりしています。twitterは@hacosato。

GReeeeN『キセキ』

-ふたつでひとつ。ひとつでふたつ。-
こんにちは。iPodは512MBです(汗)。
キセキ(通常盤)
さて、今回は、GReeeeN『キセキ』をお送りしたいと思います。
いきなりな問いですが、なんでこのタイトルはカタカナなのでしょう?
それはきっとこのタイトルは「軌跡」と「奇跡」のダブルミーニングを狙ってのことだから、なのですよね。古文ていうなら掛詞(かけことば)です。工夫が見えますね。
でもね、ちょっと読んでみたら、この曲のコトバのおもしろさはそれだけじゃないことが、だんだん分かってきました。この曲、ライムがすごくきれいです。ヒップホップっぽい曲だとこういうところがおもしろいなぁ。どれだけたくさん見つけられるか、まずはそのあたりから歌詞を読んでいくことにしました。
歌詞はこちら→http://www.uta-net.com/user/phplib/view_0.php?ID=65511
構成はこちら→A-B-サビ-A-B-サビ-C1-C2-サビ-サビ-A
PVステキすぎ♪

脚韻がアツい、掛詞もアツい!

探してみてもそんなにないじゃーん、って思ったりしました? 読むだけじゃなくて、曲も聴きました? 読み上げてみました? ここでは、主だったところだけさらってみましょう☆
Cメロ(特にC1)は、ほとんどぜんぶ脚韻でできているといっていい感じ。

2人フザけあった帰り それも大切な僕らの日
「想いよ届け!!!」と伝えた時 初めて見せた表情の
少し間が空い 君がうなずい 僕らの心 満たされてく愛
ぼくらまだ旅の途中 またこれから先も
何十続いていけるような未来

C1引用しました。色がついているのはライムの印。印はhacosato。母音ごとに色を分けてみましたが、ほとんどの文の末尾に印が付いているのが分かると思います。1行めは「i」音が2つ、2行めは「i」音が2つ、3行めは「e」音が3つ、4行めから5行めにかけて「e」が3つ、それぞれあります。もっと大きくくくるなら、前半で「i」音が4つ、後半でもっと畳みかけるように「e」音が6つも並んでいることになります。さすがにラップは違いますね☆
じゃあほかのところには見どころがないのかというと、そんなコトないですよ。たとえばサビ。

2人寄り添って歩い 永久の愛を形にし
いつまでも君の横で 笑っていたく
アリガトウや Ah 愛してるじゃまだ足りないけど
せめて言わせて 「幸せです」と

というように、前半は「e」音、後半は「a」音(しかも私が印をつけた直前の個所もそれぞれ「a」音で終わってる)で押韻してます。
もうひとつのサビはもっとすごくて、

うまく行かない日だって 2人で居れば晴れだって
強がりや寂しさも 忘れられるから
僕が君でなら 僕で居れるから
だからいつも そばにいてよ 『愛しい君へ』

こんな感じ。最初のサビの前半みたいに、「〜して」、「〜して」という押韻の仕方って、実はカンタンなんですよね。だって動詞をつなげていけばいいだけですから。でも、どんな文章を作るにしたって、動詞をそういうふうにつなげればいいだけなので、そんなにアタマ使わなくてもできる押韻なのです。
でも、今回のところは違いますよね。

うまく行かない日だって 2人で居れば晴れだって

この部分、前半の「だって」は「でも」みたいな同じ意味(接続助詞かな?)であるのに対して、後半の「だって」は念押しの意味みたい(終助詞ですね)。だからさっきとは違って、文法的にもそもそも違う意味の言葉を並べて、それを押韻にしつつ、ちゃんと意味が通る文に仕立てているのです。そこがすごいなぁってトコ。しかも、私だったら、

うまく行かない日だって 2人で居れば晴れるって!

にしちゃう気がします。てかたぶんさらっと書くなら、多くの人は「晴れる」って表現にしちゃうところだと思います。でもそこを「晴れだ」というように変えることによって、ますます質の高い押韻(ってかここはある意味 掛詞でもあるー!)になるわけなのですね。

僕が君でなら 僕で居れるから

も同様。文法的に同一の意味の単調な繰り返しだけをライムとは呼ばせないのだぜ!という意気込みを感じちゃいます♪ カラオケとか、こういうトコが気持ちいいのですよね。

僕のぶんと君のぶん

ところでライムを探していて気がついたんですが、この曲、ふたつで1セットのモノがめちゃめちゃいっぱい出てきます。

明日、今日よりも好きになれる 溢れる想いが止まらない
今もこんなに好きでいるのに 言葉に出来ない

引用したのは1番のAメロ、最初の最初です。ここでは、「明日」と「今」(あるいは「今日」)がペアになっています。

君のくれた日々が積み重なり 過ぎ去った日々2人歩いた『軌跡』
僕らの出逢いがもし偶然ならば? 運命ならば?
君に巡り合えた それって『奇跡』

今度はその次のBメロ。「偶然」と「運命」がペアになってる! しかも忘れないでくださいね。『軌跡』と『奇跡』もペアです。
ちょっと離れたところでいくと、1番のサビ「いつまでも君の横で 笑っていたくて」と、2番のサビ「いつも そばにいてよ」もペアですね。
…なんてノリで書いていったらきりがないのですが、まだまだ「アリガトウ」と「愛してる」、「うまく行かない日」と「晴れ(の日)」、「強がり」と「寂しさ」、…っていうように、ふたつで1セットがめっちゃ多いのです。
これまでの私のブログの流れだと、ペアになるものがあるときには、たいていそのペアはほかで出てくるペアともとも連動していて、歌詞の中のあらゆるペアを2色に塗り分けることができるようになっていました。


たとえば、木村カエラ『Butterfly』や、レミオロメン『3月9日』なら、の対比で塗り分けることができました。
それから、たむらぱん『ちゃりんこ』なら、期待不安で塗り分けることができたんでしたね。
でも今回の場合、そういう風にふたつにキレイに分けることができません。「ありがとう」も「愛してる」も、「足りない」という点で共通なのに、「うまく行かない日」と「晴れ(の日)」だったら完全に逆の意味として使われています。
どうしてでしょう? それはきっと、この曲がラブソングだからなのだと思います。だってこんなにふたつのものがたくさんあったら、ふたりで分け合えることができるじゃない♪ いいモノ同士ならふたりで仲よくひとつずつすればいいし、いいモノと悪いモノを分け合うのなら、いいモノを持っているほうが悪いモノを持っているほうのフォローをできますからねっ。
あ、そういえばこの曲のタイトルも。『キセキ』って、「キ」と「キ」がペアになってる!(←たぶん考えすぎ)

『軌跡』と『奇跡』は?

さて、この曲の歌詞の世界の中心地にアプローチしてみましょう☆ 『軌跡』と『奇跡』は、この世界の中でどういう意味の言葉なんだろう?

明日、今日よりも好きになれる

こんな高らかな表現から始まるこの曲、どうしてこんなに、明日のことに対して自信が持てるのでしょう?
未来への自信は、過去の蓄積からしか生まれません。歌い手はきっと、ふたりのこれまでに自信があるんでしょう。“ふたりのこれまで”のこと、この曲では『軌跡』って呼んでいます。ああそうか、『軌跡』は自信の源なんですね。
明日のより先の未来はどんなイメージなんでしょう? 明日になったらまた次の日のことを思いながら、もっと好きになれる、そういうふうに再帰的に(あれ? 用語が違うかな…自信ない)未来をイメージするのみなんでしょうか?
そんなことはありません。最後の最後、

何十年 何百年 何千年 時を超えよう 君を愛してる

という歌詞が表しているように、もっとずーーっと遠くまで見据えながら、歌い手は君のことを愛することができちゃうのですきゃーっ
…こほん。遠い未来が希望にあふれるものなら、遠い過去、つまりふたりの出会いについてはどうだったんでしょう?
2番のBメロ、

僕らの出会いは大きな世界で 小さな出来事
巡り合えた それって『奇跡』

こんな歌詞があります。ふたりの出会いは「小さな出来事」であり、『奇跡』 だったんですね。それなのに最終的には、それがふくらんで、「時を超えよう」という表現になっちゃうぐらいに大きな愛につなげることができているのです。つまりふたりにとって『奇跡』 とは、無限に未来をふくらませることのできる、小さな種のようなものだったのかな?と私は思ったのでした。

まとめ

前回は、西野カナ『if』を取り上げたんでしたね。『if』と、GReeeeN『キセキ』との共通点は、「偶然」と「運命」です。「偶然」&「運命」の描き方、両者の間ではどういう風に違うんでしょう?
西野カナ『if』には、

偶然は最初から
もう決まってたみたいに
重なった二人は運命だって信じているよ

こんな歌詞が出てきます。
この歌詞の中で、歌い手はふたりが「重なった」(=出会った)ことは偶然だけど、でもそれを運命だっと信じてたいよって歌ってるのかな?と私は読みました。ほかの部分を見ても、歌い手は出会いを偶然だと思っているみたい。
でもすごいのは、どっちかっていうと未来観。

君の描く未来に
私はいるのかな

だってこんな歌詞です。過去は偶然だった上に、未来は不確かなのです。だからこそいまをぎゅっとせずにはいられなくて、それが切なさを私たちに運んでくれます。
一方でGReeeeN『キセキ』は、

僕らの出逢いがもし偶然ならば? 運命ならば?
君に巡り合えた それって『奇跡』

という部分に「偶然」と「運命」が出てきます。
このふたつの曲、どっちもけっこう似ているのと思うのです。そもそも「偶然」と「運命」が対義語になっているっていう点で共通しています。私だったら、「偶然」の反対は「必然」にしたいなあ。YUKI『JOY』のようにね。
まあそれはそうと、ふたりの出会いは偶然っていう点も同じです。出会いは必然だったのね!って捉えかたもぜんぜんアリだと思うんですケド、そういうのははやんないのかな?
でもこの2曲、未来観がまったく異なります。『if』では未来は不確かでしたが、『キセキ』では

何十年 何百年 何千年 時を超えよう 君を愛してる

未来はこんなに明るいのです。だから『キセキ』は『if』とは違って、もっとシンプルに愛を歌い上げる、からっとしたラブソングになっているのです。



ここんとこ、若いアーティストの若者に人気のありそうな曲が続きましたので、次回はちょっと変えますね。
ちょっと話が変わりますが、人力検索はてなJ-POPの曲の歌詞を邪推するクイズやってます。分かっちゃったので回答を寄せてみました☆
実は種明かし的な記事とかここに書いてみちゃったのですが、考えてみたらそれじゃクイズにならないのでいまあわてて消しました。途中で気づいてよかったーナイス自分ー♪ ってわけで、しばらく黙ってることにしまっす。
合ってるかどうかは別にして、けっこう楽しかったです。あーいうクイズがいっぱいあったら私、人力検索にのめり込んじゃいそうです。どうしよ(汗)。
ま、そのときはそのとき。
キセキ(通常盤)

キセキ(通常盤)

あっ、ども。おひさしぶりです。(通常盤)

あっ、ども。おひさしぶりです。(通常盤)

キセキ

キセキ

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