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5日と20日は歌詞と遊ぼう。

毎月5日と20日に、J-POPやボカロ曲などの歌詞を読んだり、統計したりしています。twitterは@hacosato。

木村カエラ『Butterfly』

-動と静の間で揺れるバタフライ
こんにちは。6月ですね。6月といえばジューンブライド。というわけで結婚式の歌を取り上げてみようと思いました。
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この曲シングルCD出てなかったんだ…知らなかった…υ
結婚式といえば以前レミオロメン『3月9日』を取り上げたことがあります。興味のある方はぜひ。でも今回は別の曲を取り上げようと思いました。そこで『Butterfly』かなって思ったわけです♪
と思っていたら木村カエラさん結婚されるようですね。おめでとうございます☆(結婚のニュース知る前からこの記事書いてた自分すごい!←ぉぃ)

Butterfly 今日は今までの どんな時より 素晴らしい

から始まる歌詞の世界は、どこをとっても幸せな雰囲気でいっぱい。でも私は前々から疑問だったのです。バタフライってどういうこと? それって結婚式っぽいの?
もちろん、butteflyの字義通りの意味は知っています。蝶、ですよね。でも、たとえばサムシングフォーとかブーケトスとかと違って、結婚式に蝶はつきものってわけでもありません。こういう曲に蝶を持ってきたのは、なにか意図があってのことなんでしょう? それってなんだろう?
…そういうところを考えつつ、歌詞を読み進めてみようと思います。どうぞお楽しみに。
歌詞はこちら→http://www.uta-net.com/user/phplib/view_0.php?ID=80300

構成はこちら→サビサビ-A-A-B-サビA-B-サビサビ-(間奏)-アウトロ

歌詞、実際の音源、動画、と、それぞれ構成がちょっとずつ違うみたいですが、まああんまり気にしないことにして進みます。

結婚式ソング、再び

このブログでは一応、歌詞を読む前の予備知識はなんにも前提としないことをポリシーにしてます。だからまっさらな頭で歌詞を読まないといけないところです、ほんとなら。
でもうっかりな私はすでに、この曲がゼクシィのタイアップだったこと、木村カエラちゃんが親友の結婚式のためにこの曲を書いたこと、なんかをすでに知ってしまっています。ぜんぜんまっさらじゃないじゃん。
だから先入観にとらわれたどこをとっても結婚式に見えちゃうのです。たとえば、

Butterfly 今日は今までの どんな時より 素晴らしい
赤い糸でむすばれてく 光の輪のなかへ
Butterfly 今日は今までの どんな君より 美しい
白い羽ではばたいてく 幸せと共に

1連を引用しました。この曲のサビに当たる部分です。
ここだけでも、結婚式を想起させるパーツはたくさん出てきます。赤い糸、美しい君、幸せとの飛翔…。
でも、ここだけじゃないんですよね、結婚式と相性のいい部分。愛する人のそばで誓う君、響く鐘、ひとつだけの暖かい愛、運命…。
だからこれは私の勘違いや妄想ではないと思います。ここまではっきりと何度も出てきたら、これはもう認めるしかないでしょう。この曲は(ひねくれた私の目から見てもやっぱり)結婚式の曲なのです。はー、すっきりした。
結婚式の曲であるならもうひとつ。ネガティブな要素が丁寧に排除されていることもとっても注目。結婚式には、使ってはならないうっかりキーワードがいくつもありますからね。
せっかくなので、ほかの曲と比べてみましょう。まだこのブログではきちんと取り上げたことがありませんけど、大塚愛さくらんぼ』って曲があります。

手帳開くと もう 2年たつなぁって

から始まるこの曲は、付き合って2年経ったふたりが、思い出を分かち合いながら、これからもふたりでいっしょにいようね、って思いを新たにする曲みたい(がっつり読み込んでるわけじゃないので断定的なことは言えませんけど…)。『Butterfly』は結婚式という節目に紡がれる曲なので、『さくらんぼ』とはそういう点でよく似ています。でも『さくらんぼ』には、

そういや ヒドイ コトもされたし
ヒドイ コトも言ったし

なんていうネガティブな部分が登場したりします。
そりゃ2年もいっしょにいたらヒドイことだって起こりうると思うし、そんな事態に目をそらさずにいることができるからこそ、ふたりはこれからもいっしょにいられると思うのですよ私は。でもそれはふだん地に足がついてる状態での話。結婚式の日は特別です。今日だけはあらゆるネガティブな要素は排除しないと!
そんな観点から改めて『Butterfly』を見てみると…なるほどなるほど、確かにそういう暗ぁいところはぜんぜん描かれていないみたい。ほんと? と思った人はもう一度歌詞を見てみて!
そしてなにより、細かめに分かち書きにされた歌詞とその歌い方が、一歩一歩の幸せをかみしめるようで結婚式にぴったり、なのです☆

動と静、再び

前にレミオロメン『3月9日』を結婚式の曲として取り上げたとき、私はその曲のなかでの対比に注目しました。歌詞のなかで動きのすごく大きい要素()と、その逆の要素()が出てくることを見つけた私は、

瞳を閉じれば あなたが
まぶたのうらに いることで

という歌詞の部分などを引用して、の要素のなかに歌い手の理想の世界があるんだろうなあ、と思ったのです。
まさか、結婚式の曲を再び取り上げたら、動と静の対比がまた現れるとは。
『Butterfly』の中には、の要素があって、対立しています。

Butterfly 今日は今までの どんな時より 素晴らしい
赤い糸でむすばれてく 光の輪のなかへ
Butterfly 今日は今までの どんな君より 美しい
白い羽ではばたいてく 幸せと共に

先ほど引用した1連をもう一度 持ってきました。2行めに「赤い糸でむすばれてく」って部分がありますね。ふつう結んだら動きは固定されます。だからこれはを表していますね。
一方で4行め。同じメロディの部分は「白い羽ではばたいてく」となっています。はばたくということは、ここは明らかにの要素。この部分だけで、の要素はすでに対立しています。
別の部分も見てみましょう。

太陽は沈み いたずらに星は昇る
夜は眠り 朝を待つ

ここは1番のBメロです。ここと対応している2番のBメロを見てみると、

たったひとつだけ 暖かい愛に包まれ
夢の全ては いつまでも つづくよ

こんな感じです。
なあんだ、Bメロは内容もちぐはぐじゃない、と思ったあなたはちょっとアマいです☆ もう少し深追いしてみますよ。
1番のBメロは、移りゆく時間を描いていますよね。太陽が沈んで夜になって、夜を迎えたら朝を待って、朝になったらまた太陽が昇ります。
ところが2番のBメロには、「夢の全ては いつまでも つづくよ」とあります。時間は永遠に、夢の中で止まったままになります。1番では時は巡っていたのに、2番では夢の中で止まってしまいます。からへと推移するわけですね。

じゃあ、この曲も静の曲なの?

1番がだったのに2番がになったのなら、『Butterfly』も『3月9日』と同じようにへと向かう曲なのでしょうか? そういう風には割り切れないのが、この曲の難しくて奥深いところ。最後のアウトロの連を見てみましょう。

運命の花を見つけた チョウは青い空を舞う

「運命の花を見つけた」の部分はです。花を見つけたらそこにとどまるようなイメージが浮かびますもんね。そもそも、運命って私たちの与り知れぬところですでに決まっているものですから、そういう意味でもやっぱりです。
一方で、「チョウは青い空を舞う」は明らかにです。「チョウ」ってだけでもすでに、いろんなものから自由で、気ままに飛び回るイメージがありますもんね。ここでもが対立しています。いったいこの曲で言いたいのはどっちなんでしょう?
結婚することを、ちょっと古い言い方で「身を固める」と言うことがあります。新しい家庭を持って、そこを本拠地にするようなイメージを描いてみたら、なるほど身が固まるって感じもします。この「固まる」って表現は、静の言葉ですね。じゃあやっぱり
とはいえ、結婚したらなにかに固まっちゃって、イエという制度に縛られたり、一生を専業主婦として過ごしたり、永遠にだれかにときめいたりすることもなくなってしまって…なんてイメージだとしたらいかにも時代錯誤だし、そもそもカエラちゃん(ふだんは私は歌い手のことを尊敬も込めつつ呼び捨てにするんですが、なんとなくカエラは“ちゃん”ですね♪)にそういうのって似合わない感じ。だとすればもっとアクティブなイメージを持ちたいんでしょうか? 幸せに向かってはばたいていって、移りゆく時間の中に飛び込んでもその中にちゃんとステキなことを感じられるようながこの歌詞の言いたいことなんでしょうか?
本当は、カエラちゃんの中でもふたつの気持ちが混ざりあっているんじゃないかな、と私は思います。いや、ここはあんまり根拠がないんですが、歌詞の世界がこうして揺れ動いているのなら、そういう揺れ動きを描きたいんじゃないかな、っていう予想が一番シンプルだと思うのです。
ひとつの歌詞の世界には、あんまりたくさんの要素が出てくることはありません。歌詞はそんなに長くはならないので、限られた範囲の中で収拾がつかなくなってしまうからです。でも、『Butterfly』ではなんと、最後の1行まで収拾がついてませんでしたよね。なら、そのつかなくなってる(ように見える)収拾まで含めて、この曲のメッセージなんだって捉えた方がきっとずっと自然なのです。

まとめ

前回取り上げた曲は、荒井由実『やさしさに包まれたなら』。今回の『Butterfly』との共通点は、朝、です。
やさしさに包まれたなら』では、

小さい頃は神さまがいて
不思議に夢をかなえてくれた
やさしい気持で目覚めた朝は
おとなになっても奇蹟はおこるよ

1連のこんな部分に、朝、が登場します。大人になった歌い手が、子どものころの気持ちを取り戻したことを描いた曲だと私は思ったわけなんですが、そのタイミングが朝だったわけです。しかも、目覚めとともに。
これってちょっとした、ほんとにちょっとした生まれ変わりのスタイルだと思うんですが、それが朝だったのはどうしてでしょう? それは、本人が気づかない間に魔法が起こる、っていう描写のにぴったりだからです。目覚めたら変わってた、っていうお話、ほかでもときどき聞きますもんね。カフカとか。原典 読んだことないけど。
一方で『Butterfly』では、

太陽は沈み いたずらに星は昇る
夜は眠り 朝を待つ

というBメロの部分に朝が出てきます。私はここまで、時間が巡るんだね〜という雑な解釈でしか朝を見てきませんでしたが、どうして彼女は朝を待っているのでしょうか?
それは、光を求めているからかなと私は思います。
この歌詞には色に関する表現がたくさん出てきます。そして「青い空」というアクティブなゴールも、「光の輪のなかへ」という静的な世界の境地も、どちらも光を希求しているように見えます。
この歌詞、の間で揺れ動いているのはここまでずっと見てきた通りです。でも、そのどちらも光という共通点でつながっています。その光を持ってきてくれる存在が朝なのかな、と私は思いました。



今回はいつもよりもちょっと丁寧に書いてみました。いつもよりもお気軽な気持ちで検索してこの記事を見つけるヒトが多いのかな?と勝手に予想したので。でもいつも通り長くなってしまったし、丁寧だからといって読みやすくなったのかは…どうかな(汗)。
ところでこの曲、コード進行もおもしろいんですよ♪
コード進行についてはsunshowerさんのブログめちゃ参考になります☆ 読みやすい文章は盗みたいけどどうしたらいーのかよく分からない…υ
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Butterfly

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