5日と20日は歌詞と遊ぼう。

歌詞を読み、統計したりしています。

BUMP OF CHICKEN『オンリーロンリーグローリー』

-受け身の自分から行動の主体としての自分へ-
こんにちは。このブログでは最初のお話として、BUMP OF CHICKENを取り上げたいと思います。
オンリー ロンリー グローリー
試しに、「オンリーロンリーグローリー」とGoogle検索してみてください。私の環境では、Googleは「オンリーロンリーグローリー 歌詞 意味」とってサジェストしてくれました。つまり、この曲の歌詞に関心があって、それを検索する人ってたくさんいるんだなあ、とちょっと感動しちゃったのでした。私がこの曲を選んだのは、そういったちょっとした対抗心です♪

そしてその身をどうするんだ 本当の孤独に気づいたんだろう

という書き出しはなかなか挑戦的ですね。いきなり「そして」から始まります。この曲が始まる前から、歌詞の世界はずっと続いてきたんでしょう。そんな予感をはらんだ書き出しです。どんな続きになるのかな。

歌詞はこちら→http://www.uta-net.com/user/phplib/view_0.php?ID=19363
構成はこちら→A-A-B-サビ-A-B-サビ-(間奏)-C1-C2-C3-B-サビ
構成については、一応「こういう風に呼びますよ」という程度の意味で捉えてください。

歌詞

夜明け前から朝へ

さて、では歌詞を読んでいきましょう!
先ほども引用しましたが、1番の最初は

そしてその身をどうするんだ 本当の孤独に気づいたんだろう

こんな感じ。2番の最初は

そして僕らは覚悟した 本当の恐怖に気付いたんだよ

どちらも「そして」から始まります。そのあともよく似た音や単語が続いていますね。意味は似ているかな? と思って読み進めてみると、そんなに似ていないことが分かってきます。
1番では2連で、

闇に守られて 震える身に 朝が迫る

と歌われています。1番ではまだ夜明け前です。
ところが、2番では途中で

ほら 夜が明けた

と歌われます。1番と2番は、歌詞が描く“場所”にはそれほど大きな変化がありません。でも“時間”は違います。1番は夜明け前、2番は朝になっていますね!

時間が変わり、人称も変わり、

ほかに違うところはどこかあるでしょうか? 見比べて特徴があると思ったのは、
1番では

君だけが貰うトロフィー

になっているのが、2番では、

僕だけが貰うトロフィー

に変わった、ってことです。この歌詞には、二人称はここにしか出てきません。基本的にトロフィーは頂点に立った人だけのものです。ってことはトロフィーはひとつのはず。つまり、この2つのトロフィーは実は同一のものだったりして…。
つまり、ここでいう「君」は、「僕」と同一人物だったりしそうです。1番では自分自身に対して呼びかけの表現を使っていたのに、2番になったらそれを「僕」と言えるようになってます。
1連に特徴的なのは自問自答の形式です。自分自身を「君」と呼ぶことはつまり、自分自身を少し離れたところから見ていることなのだろうと思います。そう考えてみれば、1番の最後「その手」が、2番の最後に「この手」に変わるのもきっと同じ意味ですね。
1番の「君」(=「僕」)は弱い存在として描かれています。心が死んでいるのも分かっているし、目隠ししたのが自分自身であるのにも気づいているのに、「自分だけが歩き出せずにい」ますし。ところが、2番では「僕」が大きく前進します。「いつかは照らされるって事」に気づくと、

目隠し外せ
ほら 夜が明けた

と、急速に次のシーンへと展望が広がっちゃうんですから。
2番に2度 出てくる「合図」とは、夜明けの太陽の光のことだと私は思いました。弱い存在である「僕」が、1番と2番を経て、光にさらされるように変わるんでしょうね。それは、「夜明け前」から「朝」へと時間が変化していくこととシンクロして見えます。

「心」は死んでいたの?

1連のAメロに、「死んだ心をどうするんだ」という表現があります。切れ味の鋭い表現です。この曲はスタートの時点で既に「心」は死んでしまっています。夜明け前のことです。
さて、Cメロを見てみましょう。Cメロ、3連を使って「心」のことばっかりを描いているように見えますよ。

息絶えた 心を撫でた
殺したのは 他ならぬ僕だ

Cメロはこんな始まりです。「心」はもちろん自分の心ですから、「心」と向き合うことは自分の内面と向き合うことですね。それを殺してしまっている自分は、静かにそれをなでながら考えごとにふけっているみたい。バッキングもちょっと内省的な雰囲気を伝えてくれますね。

傷跡に 雫が落ちた
動いたんだ 僅かでも確かに

こういう表現がこのあとに続きます。この「雫」がトリガーになりますね。心は、動き出します。そして次の連、

まだ生きていた、僕の中で一人で
呼吸を始めた、僕と共に二人で

こう歌われます。主語は直接には書いていませんけど、「まだ生きていた」のはきっと、「心」です。
「殺したのは 他ならぬ僕だ」って部分がありました。でも「まだ生きていた」のです。「生き返った」とかじゃないんですね。ということはきっと、そもそも「心」は死んでいなかった、ってことですね。「心」はなんにも変わっていません。単に、「僕」の「心」に対する見え方が変化していったんですね。
そういえば、3連に

目隠ししたのも 耳塞いだのも
すべてその両手

って部分がありました。「心」が死んでいなかった、というのはこことすごく似ていると思いませんか?つまり、ネガティブな状況は自分が作り出したものであって、自分自身が変わることによってその状況を変えることができる、ってことですよね。これがこの曲のメッセージの真ん中なのかな、そう私は思いました。

まとめ-Cメロのあとには

この発見を経た「僕」は、ネガティブな状況から脱することができます。このあとに続くのはポジティブなメッセージです。
1番から2番に進むときには、夜が朝になったことが一つのきっかけになったんでしたね。そしてCメロで「心」が生きていることに気づいたときには、こぼれた「雫」(涙かな?)がトリガーになったのでした。でも、ここからは違います。

選ばれなかったのなら 選びにいけ
ただひとつの栄光

と、今度は自分からアクションを起こす側に回るのです。最初のきっかけは自然にやってくるものでした。2番めのきっかけは自分の行動が偶然に引き起こしたものです。でも、今は違います。自分から行動を起こせるようにと、「僕」の考え方は変わったのでした。
それはトロフィーの描写にも現れています。

君だけが貰うトロフィー

僕だけが貰うトロフィー

と変わってきたトロフィーの描写は、Cメロのあとには

それこそが狙うトロフィー

と変わりました。すごい変化だと思いませんか。「僕」は、逃げ回ることも受け身になることもなく、自分から行動を起こせる主体へと変わったのです。



…って感じです。いかがでした? こんな感じで、これから歌詞のことについてぼんやり考えたりしたいなあと思っています。今後ともどうぞよろしくお願いします。
さて、次回はこの歌詞とある共通点を持った、全く別の曲を取り上げていきたいと思います。この曲に出てくる、あるモノの名前が歌詞のタイトルになってますよ。次回は1月5日“ごろ”更新の予定です。

オンリー ロンリー グローリー

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